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日本での年越しと日本人の宗教観

ロシアから帰って2度目の年越し。クリスマスは本当にただの商業的なイベントにしか過ぎず、ヨーロッパでの「クリスマスがやってくる」という全員がクリスマスを待ち望むあの空気は当然ない。
クリスマスマーケットが始まってからみんながクリスマスを楽しみにして、クリスマス前になるとみんな帰省して24日は全ての店が閉まりやっているのはケンタッキーくらい。そこではアラビア系の店員が働いており、アラビア人やアジア人がチキン食べに来るという感じだ。
実際にベルリンにいた頃に指揮者の馬場さんとクリスマスKFCに行ってみたのを思い出した。

あの「クリスマスがやってくる」という感じを完全にスルーしたが、ちょうどクリスマスが終わった頃から日本は
「正月がやってくる!」という雰囲気が一気にやって来る。
晦日に近づいて来るとリースの代わりに門松が飾られ出して、本覚寺ではクリスマスマーケットの代わりに正月の出店の準備が始まっていた。

「日本人は無宗教」と日本人の多くが思っているし、実際ドイツで「あなたの宗教は?」と聞かれるとみんなギョッとして「宗教はありません」という。

しかしみんなが「習慣」と思っているやっている正月のお祝い、初詣、お祓いなどは立派の宗教行事でそのことを「信仰」という

日本で宗教を信仰しているというと新興宗教にはまってしまった人、やばい人、となってしまうし「神道を信仰している」というととんでもなく敬虔な信者と思われてしまう。

しかしドイツでのキリスト教の信仰のされ方も日本の神道や仏教に近く、当然にある習慣、という程度の距離感だった。
結婚式は教会であげるし、クリスマスやイースターには礼拝に行くが普段は行かない
という人が多いらしい。

まさかに日本の神道・仏教との距離感と似ている。
ただしドイツ人は「自分はカトリック」「自分はプロテスタント」と普通に断言する。そこが大きな違いだろう。

これもあくまで自分が6年住んで出会ったドイツ人たちからの話だが。

しかしこの年末に向かってみんながワクワクして、帰省して、スーパーにはご馳走が並んでという雰囲気はヨーロッパのクリスマス並に楽しく、一年で一番日本を感じられる期間だった。

初めて鎌倉の鶴岡八幡宮に初詣に行ってみた。子どもの頃から人混みは好きではなかったから行ったことがなかったが、せっかく近所に住んでいるから行ってみた。


とにかく夥しい数の人。コロナ以降こんなに人が密集したところに来たのは初めてだった。
「無宗教です」と言っている人たちが元旦に一心不乱にお参りにくるこの状況はなんだか可笑しく、ちゃんと日本にも文化と宗教はあるけれど、それを公言しにくい状態にあるということも感じた。

「国家神道」のせいで神道が自分の宗教だとは胸を張って言いづらいのは虚しいことだ。
韓国人や台湾人の友達が「日本に行っても神社へは絶対にいかない」と言うから、国家神道と元々の神道の違いを説明したりもした。あまりにデリケートな問題だし嫌悪感そのものを拭うことは不可能。ドイツでアジアの歴史問題をよく学んだ。

それにしても日本の正月は必ず天気が良く、本当に素晴らしい。ドイツのクリスマス必ず曇天だった。クリスマスだけでなくクリスマスを待ち侘びる期間もずっと曇りで日が短い。
太陽がこんなに大事だとは日本を出るまで知らなかった。日本の冬は最高。

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