見出し画像

体が女だって忘れるこの冬

僕はお風呂や温泉が大好きだ。特に冬のお風呂は足の先がジーンとお湯の温度が染み渡る感覚が好きだ。温泉の露天風呂に入ってると、顔に冬の冷たい夜風が当たって、スカッと気持ちいい気分になる。

え?温泉は男湯、女湯どっちに入るの?と思われる方もいるかもしれない。僕は今は女湯に入っている。僕はトランスジェンダーだけど、体はまだ全く治療できていないからだ。
トランスジェンダーFTMでも、全く手術や男性ホルモン治療をしない人、男性ホルモン治療だけをする人、胸を取って男性ホルモン療法までする人、それプラス子宮卵巣まで取る手術をして戸籍の性別を変える人など、人によって様々だ。
僕は胸を取る手術は必ずやりたくて、男性ホルモン注射は考え中だ。スポーツをしていると、男性ホルモンを注射していると大会に出られるのかよくわかっていないからだ。

まぁ、だから今は僕は女湯に入る。本当は女湯に入るのはすごく嫌だ。え?って顔をされたり、こっちは女湯ですよとか言われないか不安だからだ。

だから温泉や銭湯では、チケットを渡して、店員さんにロッカーの鍵を貰った瞬間、さささーーっと気配を殺して女湯と書かれた暖簾をくぐる。それはもう忍者にも劣らない自信があるくらいだ。僕としては女湯の暖簾にくぐる前に、誰かに「そっちは女湯ですよ」なんて言われたら、固まって動けなくなる。言われた瞬間、頭の中でどう言おうか…という様々な思惑が思い浮かぶ。『やべえ…この人に、「いや女です」って言わないといけないし、ほんとは女じゃないのに女って宣言する…考えただけでつらい』
そういう状況を避けるために、僕はロッカーの鍵を貰って脱衣所で裸になるまでは気配を消すのだ。

そこまでして温泉に入るの?と思われるかもしれない。そこまでしても温泉が好きだ。あの夜風が気持ちよくてスカッとするのは温泉でしか味わえないと思う。ジェンダーニュートラルな温泉とかできてほしいなぁ。

話を戻すと、冬が好きな理由はたくさんある。その中でも厚着をすると胸が目立たなくて、胸の存在を忘れることができるのが冬の良いところだ。そんなことを考えるのはトランスジェンダー FTM(Female to Male 女から男へ)くらいのものかもしれないけど。自分も胸が目立たなくていい冬が好きって方はコメント欄にお願いしますね(^^) Xジェンダーの方やレズビアンのボイの方はそうかもしれませんね。胸が大きくて悩んでるシスジェンダーの方とか。

Xジェンダー→ 出生時に割り当てられた女性・男性の性別のいずれでもないという性別の立場をとる人々を指す。 両方を区分する限りでは、中性、無性、両性、性別という枠組みから脱する、女性か男性か定まりきらない流動的であるというあり方など人により様々である。
レズビアンのボイ→ 男性(男の子)っぽい恰好をする中性的なレズビアンの事を言います。
シスジェンダー→ シスジェンダーとは生まれた時に診断された身体的性別と自分の性同一性が一致し、それに従って生きる人のことをさす。


家ではトラシャツ(胸を潰すシャツ)を着なくても、厚着しているから胸が目立たない。だから最近、自分が女の体だってことを忘れて生活していることが多い。
ある日、お風呂に一日入れなくて、次の日の夜、入ろうと服を脱いでいたとき「あっ、自分にも胸あったんだった」と胸の存在にびっくりした。

まぁ、そういうことで僕は早く胸を取る手術をやりたい。

#LGBTQ #LGBT #LGBTQIA #トランスジェンダー #FTM #エッセイ #お風呂 #温泉 #ジェンダー #ジェンダーアイデンティティ #セクシャリティ #セクマイ #露天風呂 #冬 #ジェンダーニュートラル