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おばあちゃんへの手紙


中学生のころ、ちょっとしたえせヤンキーだった。


スーパーで万引きをして、万引きGメンにつかまった。

控室によびだされ、店長にこっぴどくおこられた。

人生でこれ以上なかったといえるほど、こっぴどくおこられた。

母もよびだされ、ぼくより頭をさげてあやまっていた。

おばあちゃんもよびだされた。

だいすきなおばあちゃんは、わんわんと泣いていた。

おばあちゃんは、わたしがしっかりしておらずごめんなさい、とあやまっていた。

その光景が、いまもわすれられない。

たいせつなひとの信頼をうらぎり、きずつけたひ。


それからぼくは心から反省し、みづから勉強するようになった。

塾にかよい、ちゃんと高校に、いちおう進学校にいけた。

高校でぼくは、東大をめざした。

中学のときに失敗した経験、怠惰だったじぶんへの憤りが、ぼくをつきうごかした。

万引きしておばあちゃんをなかせた経験が、ぼくをまえにすすませた。

おばあちゃんの存在が、せなかをおしてくれた。

そして、ぼくは、あこがれの東大に現役で合格した。


東京にでるまえ、ぼくはおばあちゃんに、せいいっぱいの、感謝の手紙をかいた。

なんとかいたかは覚えていない。

ただ、せいいっぱいの想いをつづった。

たぶん、いままでありがとう、東京ではがんばって社会に貢献するひとになります、と

そんなことをかいたんだろう。

おばあちゃんはその手紙を、ないてよろこんでくれた。

しづしづとないて、よんでくれていた。

ぼくが東京にでてからも、ふるさとでなんどもよみかえしていたらしい。


おばあちゃんはぼくとちがって、ドがつくほどまじめで、いつも屈託のないえがおをうかべた、すてきでかわいいおばあちゃんだった。

そんなおばあちゃんは、もういない。

ぼくからおばあちゃんへの手紙は、おばちゃんのてもとにだいじに置かれて、おばあちゃんと一緒に炎の中に消えていった。

手紙の内容は、よくおぼえていない。

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ごきげんよう。ふんどしと健康と幸福を追求する、断食トレーナーののだぱいです。 「文京区で2番目にやさしい」と良く言われますが、実際そんなに優しくなく、 「根はやさしい」くらいだと思っておいてください。