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我が家のコロナショック健忘録

オランダに留学していた娘が帰国することになった。志半ばでの帰国に落ち込む娘、仕方がないことだけどかける言葉がない。

検疫所長の定める場所を手配する

航空券の手配はわりと順調だったが、減便による欠航の恐れもあり、不安はつきまとう。娘がオランダを発つ前に、成田で待機期間を過ごすホテルの手配にかかった。

ひと足先に帰国した友人の話によると、国内線への乗り継ぎはできず、空港に自家用車で家族が迎えに来るか、もしくは滞在先ホテルが決まっていなければ空港内の部屋に待機となるとのこと。そこで渡されるホテル一覧を参考に、14日間の滞在先を探さなければならないらしい。ちなみにこのホテル一覧は観光庁HPに掲載されているもので、国が指定宿泊先として押さえているものではない。あくまでも自身で手配にあたる。(ちなみにこの友人はお父様が大阪から自家用車で迎えに来られたとのこと。)

とりあえずその観光庁HPにあるホテル一覧から、到着予定の成田周辺に照準をあてて片っ端から電話をした。正直に待機期間を過ごすための宿泊と伝えると、「満室」「対策ができていない」「改装予定がある」「3日以上の連泊は受けていない」など、次から次へと断られた。検疫所に問い合わせたときは「断らないよう通達を出している」とこのとだったが…。ホテルの状況として受け入れし難いことを理解しないわけではない。だからこそ、帰国する多数の人たちが多数のホテルに連絡し断られているだろうことを考えると、もう少し公の手をさしのべてはくれないものかと思った。

娘の受入れ先は自宅しかない?

成田での14日間待機が叶わないとなるとどうすればよいのか。もし成田から国内線に乗り継ぎ九州まで帰ってこれるのであれば…いや、公共交通機関を利用することは公序良俗に背いている…自宅で仕事をしている父が自家用車やレンタカーで九州まで連れて帰れたら、娘は自宅にいさせよう。そして会社に出なければならない私と学校が控えている息子はウィークリーマンションにという手がある。幸いウィークリーマンションの相談にお邪魔した不動産屋さんは「そういうことでしたらいつからでも」と空室を案内してくれた。が、それは最終手段。東京から九州まで車で連れて帰ることの精神的・肉体的・金銭的負担はやはり大きすぎる。

どう考えても成田で待機

そうこうしているうちに状況が変わってくる。オランダはレベル3に引き上げられ、成田周辺で14日間待機以外に選択肢としてはないだろうということになった。

羽田と成田の周辺ホテルであれば、国が周回バスを出しているという。なんとかこのバスでの移動に乗っからなければ選択肢は「車で成田→九州」のみになる。

またホテル予約のために電話をかけ始める。結局、観光庁HPの一覧では宿泊先が決まらず、旅行サイトの成田検索で出てきたホテルに改めて片っ端から電話する。ようやく受け入れてもらえるホテルにたどり着いた。この時の有り難さは言葉にならないほどだった。

空港での検疫状況

その翌日、無事にオランダ発の飛行機に乗り、成田に到着した娘から「アンケート程度のわりと厳しくはない検疫だった」と連絡があった。待機場所となるホテルが決まっていたことも大きな要因だったようだ。

一緒に帰国した友人は、成田から国内線乗り継ぎ手続き予定で、少し時間はかかったもののそれを許されたそうだ。先述の「国内線への乗り継ぎができない」という情報は羽田空港のもので、羽田と成田の対応に差があることがわかった。水際対策と言いながら、それはいかがなものかとは思うが…。

母の愛を届けるAmazon

こうして無事、成田のホテルで缶詰め生活を始めた娘。どうにか少しでもストレスを減らして過ごしてほしいと願う親の愛に手を貸してくれたのはAmazonだった。

インスタントみそ汁、野菜ジュース、コーヒーに話題の本など、チェックインした次の日にはほとんどのものが届けられた。

個人的所感

外務省が危険度をレベル2と発表した時点で、奨学金が止められ、にもかかわらず娘が借りていた寮は満了まで解約できない話があり、急な帰国費用に待機ホテルの宿泊費…仕方がないけど厳しい状況。謝る娘に切なくなる。

好きで留学したんだから、ある程度のリスクや責任を負わなきゃいけないことはある。ただ、一方的で曖昧すぎる指示、少なすぎる情報、指示に従おうにもかかりすぎる負担(事務的にも金銭的にも精神的にも…)。


報道から受ける印象と、当事者となった娘の状況からみて、世間にあふれる情報がいかに正確ではないかということを感じる。そのギャップに不安を持ち、もしものときに与えられるだろうダメージを恐れながら、選択肢のない中なんとか精一杯の対応をしている帰国者がたくさんいることを知ってほしい。

今命の危険にさらされている方々からすると、重要度はとても低いことではあるが、いわゆる「関係各所」がそれぞれの専門性のある視点で、かつ連携して対策を進めることがなされているのか、いま一つ見えてこない。

一刻も早くこの事態がおさまりますように…

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