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#わたしの好きなえほん 『ころべばいいのに』

ときどき、絵本のことを書いてみます。

子どもが生まれる前から絵本が大好き。みじかく、シンプルな言葉の中にたくさんの意味がこめられているような気がするから。そして、その意味をどうとっても間違いじゃないんだよ、とそっと寄り添ってくれるような気がするから。じぶんがどう感じるか、を知ることがより大事になってきているこの頃。あらためて読み直すのも楽しいひとときです。

今日はこの一冊。

「ころべばいいのに」ヨシタケシンスケ/ブロンズ新社

「きょうほいくえんでいやなことがあったんだよね」

ときおり、そんなどきっとする言葉を聞く日がある。おうちごっこにいれてもらえなかった、とかお散歩で好きなおともだちと手を繋げなかった、とか。聞けばささいなことなのだけれども、5歳のムスメにとっては’とてもおおきなこと’だっただろうと思うと、どんな言葉を返していいか迷ってしまう。

そんな日は、「そっかそっか」「わかるよ、いやなきもちになることってあるよね」と話を聞いたあと、一緒にこの本を読むようにしている。

わたしにはきらいなひとがいる。

最初のページから本題にぐっと踏み込むのはさすがヨシタケシンスケさんらしくストレートでいいなぁと思いながら、その気持ちにどう向き合おうと奮闘する主人公の様子がほほえましくて、思わずくすっと笑ってしまう。で、終わりのページに近づくと主人公はこんな考えにたどりつく。

おとなになってもきらいなひとはいるかもしれない。でも、いたっていいわよね。だって、ちゃんとかんがえたり、ちゃんとそのばしょからにげたり、ちゃんとむかいあったり。どうするかはじぶんできめられるんだもんね。

そうそう、そうなんだよ。

大人の私も思わずうなづいてしまうこの一節。嫌な気持ちになることって、誰でもある。でもそのときどうするかは’自分で決められる’んだよね。それって、すごいことじゃない?話しながら目をきらきらさせているのはわたしのほう。ムスメはわかったような、わからないようなちょっと不思議そうな顔で「そうか〜じゃあそういうときムスメちゃんはどうしようかな〜」なんて言ったりする。

楽しい気分になれること、好きなことをたくさん見つけていこうね。とりあえず大好きなチョコスコーンをつくってみようか。そんなことを話していたら、ほら、いやなことなんてどこかにいってしまったよう。楽しげにきらりと光るムスメの瞳をのぞきこみながら、「うん、きっとこれで大丈夫」じぶんにも言い聞かせて、本を閉じた。

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