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=H=100均からHERMESまで

Hについて。

「Heritage」

意味としては、世襲財産、先祖伝来のもの、遺産、(未来に残すべき)自然環境遺産となりますが、もっと身近に解釈をしてみました。

先日、姪っ子の5歳の誕生日で両親、姉家族、弟家族の12名で実家に集まっていたときのことです。

父がおもむろに、クローゼットからJILSANDERのジャケットと、YOJIYAMAMOTOのジャケットと、BARNEYSNEWYORKのフード付きインナーに、膝丈のすっきりとしたテーラーダウンがセットアップになっているアウターを出してきました。

父は、72歳になり体が小さくなったことと、もう第一線を退いてから7年が経とうとしていて、もう着る機会がなくなった服を、弟にこれ着たらいいよと渡していました。

夕方、食事を用意している最中の何気ないことのようだったのですが、私にはとても感慨深かったのです。

ひとつひとつ、買った時のストーリーを弟に話していました。

JILSANDERのジャケットは日本にバーニーズが上陸した頃に、洋服を見ていたら、今度こんな生地で、幾つかのパターンから選んで仕立てられます。と言われて仕立ててもらったものだそう。

このジャケットは私が父のワードローブの中でも特に似合っていて、着ていてそれ素敵だね?似合ってる。どこの?と思わず何度も聞いてしまったほどでした。

一見特に個性があるようなものではないのですが、着ていると人に馴染み、とてもさりげなく美しいのです。

BARNEYSのセットアップは、ニューヨークで買ったそうで、寒いニューヨークにぴったりな中は風を通さないフード付きインナーで、インナーと言ってもそれだけで着ていても成り立つものでした。

寒い冬にネクタイをしたジャケットスタイルの日によく着ていた記憶があります。

YOJIのジャケットもきっとたくさん着ていたんだろうなー。墨黒の山本耀司!っていう黒で、こちらも本当にシンプルなものでした。

弟もなんだか嬉しそうで、見ていてとても良い光景でした。袖だけ出せば着られるね。と父と楽しそう。

私たちのために一生懸命働いてくれていた時代の、父の戦闘服が、父親になった弟へ引き継がれたんだなーと。

何気ないけれど、とても意味のある大きな出来事だったと思います。

あと、やっぱり質のいいものって時代も、世代も飛び越えていけるんだなと確信した日でした。

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