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「帰る場所がいくつもある」という生き方と【大分・別府 #ADDress 】

世界の旅をしていたとき、アフリカの砂漠の果てで「どこかへ帰りたいな」と感じたことがある。

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でも、あれは2017年の始めの頃。各地をフラフラ旅しながら暮らしていた私には、「住所」というものがおよそなかった。

だから「地元が大切なのかもしれない」と考え始めたりもしたのだけれど。

「そうか、帰る場所がないって、こころを休める場所がないってことなんだな」と痛烈に自覚をして、旅先は刺激に満ちているけど、もう少し「拠点」について真面目に向き合ったほうがいいかもしれない、と考えるきっかけになった。

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少し話は飛ぶが、「拠点」を持つために「固定の賃貸契約」は必ずしも必要ではない。と私は思う。

たとえば海外には、2015年創業の「Roam」がある。「Coliving & Coworkingのサービス(世界同一料金で、シェアハウスとオフィスを借りることができる)」を提供している企業で、価格帯は月に20万円ほど。

拠点はアメリカ・サンフランシスコ、イギリス・ロンドン、インドネシア・バリなど。「ホッピング」するには割と遠い立地だけれど、発想としてはとても楽しい。

「暮らす場所」をそうやって選べる、という選択肢があるのはよいことだ。

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時を経て、2019年に入った頃から、日本でも「多拠点」「アドレスホッパー」という言葉が聞かれるようになった(私の周りだけだろうか……)。

敷金礼金ゼロ・初期費用なし・家具家電付きの家が
短期から借りられる「OYO LIFE」
定額制で、世界200拠点に住み放題の「Hafh」

OYOは物件によるけれど、月額8万円くらいから。HafHは期間によるのだけれど、お試し宿泊なら2泊で3,000円(ドミトリー)と破格ですごい。

月20万円に比べて、より現実的な選択肢として登場してくれた気がして嬉しくなる。

そして、中でも私が今のところ一番愛用している多拠点居住サービスが「ADDress」というものだ。

月額4万円で、日本各地の家に暮らせるというコンセプト。1night〜地域に関わらず、自由に予約ができる。

好きなところは、「家に趣がある」「個室にステイできる(ドミトリー以外も選べる)」「拠点に紐付いた家守、つまり地域と家をつなぐ役割の人がかならず居る」という点。

「ただ箱を用意する」とはまた別の、「帰れる場所のひとつ」みたいな感じで、利用できるところが愛らしい。

砂漠で悲しんでいた頃の私に教えてあげたい…

で、先日初めて関東以外の拠点、九州は別府の家に行ってきた。

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もともと地域に愛されていた旅館だった建物だったそうで、今も外風呂の温泉(敷地内のお風呂が温泉、さすが別府)は地域の方が掃除をしてくれる代わりに、お風呂に入れる、という仕組みで運用しているそう。

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家の敷地内に温泉……

家守さんが建築系のデザイナーの方で、暮らしながらリノベーションの案を練っているのだとか。

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私がステイしたADDressの個室

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家守の大堂さん(すこぶるかわいい)

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ちなみに別府の鉄輪温泉エリアには、ADDressはもちろん、街の至るところに歩けば温泉、という感じで0円、100円、とかで入れる温泉がわんさかある。

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鉄輪温泉は、ちょっと心配になるくらい街中から煙が吹き上げている。蒸気を利用した「地獄蒸し」と呼ばれる料理がおいしい

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コワーキングスペースもあったりするので、温泉ホッピングと仕事、観光とお茶、温泉、の重なりが至福な感じ。

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今回は偶然別府で仕事があったから寄れたのだけれど、こんな風に「ただいま」「またくるね」といえる関係性を紡げる多拠点生活の在り方は、とてもいいな、と思った。

たぶんそれは、家守さんがいるからできることなんじゃないかとも感じてる。

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日本国内においても、生きる場所はひとつだけ、と限らなくてもいい時代になってきたのでは。

最近「逃げてもいい」「物理的に、遠ざかることができる」という「前向きなエスケープ」みたいなものが、人生を支えてくれる時代がたしかに在るのではないだろうか、と感じている。

それがずっとじゃなくても、人生の一時期だけ、でも。

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暮らしの延長線上に、多拠点という選択肢。そんなふうに過ごしてみるのもいいかも、といつか誰かの思考の隅で、思い出してもらえたら嬉しい。



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