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ミャンマーでうっかり生卵を食べたんだけれども

今日の風は、海からの風みたいだな。って、3階建ての建物の屋上で朝ごはんを食べながらふと思った。

ミャンマーは海に面している国だけれど、バガンは内陸部で海はない。けれどすぐ近くにほかの都市へ向かう船着場があったりするから、エーヤワディー川の影響かな。さっき部屋を出た時は少し湿度が高いなと感じたけれど、風が吹いたらこんなに気持ちが良いんだって、思う。

朝は6時に目が覚めて、カーテンを開けて、青い空が見えてご機嫌だった。1日ぶりの青空。今日はバイクを借りて、バガンの街を一周したい。でもきっと、昨日の雨のせいで道がぬかるんでいるから、街のひとはみんな貸してくれないんだろうな。

ミャンマーのひとは、みんなやさしい。国民の90%以上が上座部仏教徒で、ひとにやさしくすることも功徳を積むことになるようだから、それもあるのかもしれない。雨が降っていたって、道がぬかるんでいたって、日本人観光客、とくに私みたいなバカっぽい女性には黙ってバイクを貸してお金をもらったっていいはずなのに、

「今日は危ないからダメ」
「車ならいいと思うけれど、車はいやなの?」
「僕の後ろに乗るならいいよ」(いやそれはちょっと)

とか、なんだかいろいろと心配してくれる。

「何食べる?」とウェイターの女性が聞く。今日のフレッシュフルーツジュースは、アップル、オレンジ、バナナ、パパイヤ、ウォーターメロンだよ、と言う。

昨日はパパイヤだったから、今日はウォーターメロンにする。と言ったあとに後悔した。そういえばあとから運ばれてくるフルーツのお皿には、たっぷりとウォーターメロン(とメロンとパパイヤ)が載っているんだった。まぁいっか。スイカ、スイカ。

今日はあまり、パンを食べたくなかった。いっそスイカ祭りだけでも良い気分だ。けれど、「あんまり食べたくないなぁ、今朝は」と彼女に伝えたら、「メニューにはないけれど、スープはどう?」と聞いてくれた。

スープ。……スープ、いいね!

ベジタブルのスープヌードルでよければ、すぐに作れるよ、と彼女は続ける。うんじゃあそれで、と私も答える。

「エッグはほしい? なし? あり?」とまた聞くから、「じゃあありで」と答えてみる。

コーヒーがいいか、ティーがいいかと聞かれる。今日はスクランブルエッグやトースト、ジャムは不要なのかと聞いてくる。うん、いらないよ、今日は。


ありがと、と言ってみる。彼女も、近くにいる彼(名を"クク"と言う。なぜミャンマーの男性は"チュチュ"とか"クク"とか、可愛らしい名前が多いんだろう)も、にこりと笑う。

「ARIGATO」を知っているのだ。彼女も「ARIGATO GOZAMASU」みたいに答えてくれて、朝からほっこりする。少し話して、紅茶を飲んだら、目が覚めてきた。

***

今日は空がよく見える席に座ってみた。眺めていると、やっぱり海からの風みたいだな、とぼーっと思う。

私もご多分に漏れず、花が人並に好きだ。特に南国に咲く花は大好きで、プルメリアってかわいいなって思う。ラオスの国花だった。あんな花が国花だったらなんかいいよね。

小さな鳥が、私の座っているテーブルの先に、ぴょんぴょん、と乗ってくる。怖くないのかな。何も考えてないのかな。そのままつんつん、と何かをつついて、遠くの空へと飛んで行く。

鳩が一斉に飛ぶ。木の枝をリスが走っている。道の向こうで、馬がひとりで、パカパカ、ゆったりと歩く音がする。ハエはもちろん、多少いる。(でもなぜ蚊が少ないんだろう? この旅で最高に刺されたのは、バリとチェンマイだった)

ヌードルが、きた。美味しso……

うっ


HANJUKU★TAMAGO

in

Oh........No.....


……。ほぼ生やん。まぁいいか。うん、まぁいいか。食べよう。っていうか、まだ寝ぼけてたのか、「うっ」って思いながらも、じつはもう食べてた。最初は割らないようにしようか、って考えたんだけど、フォークで食べてるし、気がついたら割れてた。

うん、タイの生エビもベトナムの半生肉も大丈夫だったから、とりあえずミャンマーの生卵も「食べても大丈夫! 生シリーズ」に加えよう。と謎のことを思って、食べ続けてみた。(でも全部は食べられなかった)

気を紛らわせるために、"クク"に話しかけてみる。「ねぇ、今日雨降るかな」「うーん……わかんないけど、多分この空だと一回は降ると思うよ」「バイクを運転したいんだけど」「今日の天気は悪くないと思うけれど、昨日雨だったからね。道がぬかるんでるから危ないよ、たぶん車の方がいい」

やっぱりか。。

バガンにはメインロードが2つあって、その2本の道以外は基本的に舗装されていないのだ。土、泥、水。歩くときも気を遣うけれど、それがバイクならなおさらだ。

ひとり海外でコケて事故、とかっていう展開は本当に避けたいから、そうだな、今日は天気を見ながら(まだ諦めていない)考えようか。


けれど気温は高くなってきそうだ。じゃあ、生卵も食べたことだし、もしかしたらお腹の具合が悪くなるかもしれないことを見越して、まずはプールで泳いだりして数十分を過ごしてみよう。

……って、このnoteを書きながら全然平気そうな私の胃。お母さん、お父さん、娘の胃を丈夫に産んでくれて、本当にありがとう。

ロビーに出たら、ホテルのすぐ向かいの、一昨日バイクを借りたお店のおっちゃんとおばちゃんが、大きくHi! と手を振ってくれる。受付のスタッフが、昨日はよく眠れた? と問いかける。同じくロビーでパソコンをいじっている一人旅のひとが、今日は何するの? と笑う。

だめだやっぱり、今日はバイク借りてどこかへ行こう。だってなんか今日も、楽しそうな予感がする。

↑見えるかな、すぐそこに白い馬がいるんだけど


いつも遊びにきてくださって、ありがとうございます。サポート、とても励まされます。