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花を好きになった理由を振り返ってみれば #島と花と日々と

最初に花に興味を持ったのは、いつだったか覚えていない。たぶん、強いて言えば……思い返せば、あのときだったと思う。

「自然の色彩が、一番美しいからね」。

出版社のコスメ雑誌の編集部に所属していた時代、敏腕かつ見目麗しい先輩編集者が、部内インタビューでさらりと言い放った。

あの瞬間のときめきや輝き、花の色彩の美しさを私はたしかに今でも覚えている。忘れられない。

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空や海、大地と並んで、花の色彩にインスピレーションを得て、アイシャドウをつくるコスメブランドはたくさんあるのよ、と。彼女はその夏の新作のアイシャドウのラインナップを強く見つめながら、「花の色彩って自然なものだから、一瞬『えっ?』と思う組み合わせでも、美しいのよ。だって、ほら。花って本当にきれいじゃない?」

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花弁、おしべ、茎、筋、色違いで咲く子たち。たしかに花はとても美しく、どんな色の組み合わせだってどこか調和、もしくはひとや虫、なにかしらの生き物を惹きつける魅力を持っている、と私は深く納得したのだ。

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はな、花、ハナ……。その後、私は「大好きなの!」と思っていたコスメの世界には「まじで上には上がいる」と挫折をして(ただ、人並みに好きという気持ちがあっただけで、職業とするにはすこし愛が足りなかったみたいだ、私の場合は)、その後人生で長く愛し続けてゆくこととなる、世界一周、海外への旅へ出る。

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でも、そこでも私は、知らず知らずのうちに花の色彩に惹きつけられて、やっぱり各国で無意識のうちに写真を撮った。

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あの頃の写真の色彩は、ずいぶんと鮮やか

空も、海も、風も、衣服も、食事も、家々も、そして花も、緑も。世界は、本当に美しく、色彩は、目を見張るほど鮮やかで豊かで深く。

4年間の放浪を経て、わたしは神奈川の端っこにちいさな基地を構える。そしてそこで、旅への情熱の陰でそっと育ち続けた、花への恋心に水をやり始める。

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「花と、暮らす」。響きはきれいで、なによ、あなた丁寧に暮らしているとでも声を大に主張したいの? なんて揶揄や非難の意見も聞こえてきそうなワードの並び。

でも、そうなの。花と暮らすことって、日々と季節の移り変わりを慈しむこと。愛すこと。変化を受け入れる、とかじゃなくて、その移ろいの美しさに身をそわせて、そっと流れとともに時間を過ごすこと。

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花が一輪あるだけで、部屋がぱあっと明るくなって、心がすこし上向いて、そしたら窓際の見栄えをよくしたくなったりして、その一環で掃除をして。

もちろん時々枯れてしまったりうっかり出かけてしまったり、うまくいかないことだってあるのよ。

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けれど、家で暮らしたこの1年、わたしは花と暮らしたの。季節を一周すごして、もう花なしでは生きられない、生きたくない。部屋に花がないと、心のどこかにすこしだけ隙間ができたみたいな気持ちになるの。

ねえ、これってとても楽しくてよい人生の過ごし方だと思うのよ。花と生きる美しさを。

島と花の日々を。送るわたしの毎日、綴る場所がここ、ということにできたらいいなと思って、文字を綴り始めた、今日。

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私に「花のある暮らし、の楽しみ方」を教えてくれた、「Lifft」という花屋さん


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