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まるで「春ですか?」と顔を出すような

すこしだけ、街の時計が動き出した気がした。それが善いことなのか、そうではないことなのか、まだ今の私には判断がつかない。

わかることは、それでも季節は日々前に進んでいるのだということ。前に進んでいるはずなのに、繰り返したらまたいつかは春がやってくることに驚きは隠せないけれど、繰り返したところで同じ刻が戻ってくるわけではない。

何の話だっただろう? とくに、何の話もしないのだ。私たちは外を求めなければならない。家のまわり、もう何周もしてしまって、南も北も西も東も、進んでも進んでも同じ景色。と思えばつぼみ開いてまた朽ちていったりして、そういえば冬の終わりに裸だった木々や枝は、いつの間にか緑々しく色づいたりして。

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「変わらない」「飽きた」と感じることの中に、どれくらいの喜びや発見を見いだせるか。それが「暮らす」ことが上手いひとなのだ。繰り返しの中に、新しいことを。そう語っていたのは、誰だっただろう?

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すこしだけ、街の空気が動き始めた気配がした一日だった。4月にずうっと閉まっていた花屋は、母の日の日付が近づくのを見て、一日のちょっぴりだけの時間扉を開けてみたり、久しぶりにコーヒーの香りをただよわせ始めたお店があったり。

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まるで、モグラたちが「春ですか?」と穴から顔を出すような(そんな光景、見たことはないけれど)。歩けど歩けど、春のひかり。「電車に乗らない」家にいるだけなはずなのに、どうして時間が過ぎるのを早く感じたりするの、不思議。

久しぶりにカメラを手に夕暮れを歩いた、そういうなんてことのない日の、日記。

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