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伊佐 知美
2018年1月25日 23:49
離陸する瞬間、隣に座る韓国人の女の子が「うわぁ」と息を飲むのが伝わってくる。時は夕暮れ、黄昏時。速度を上げて飛び立つ飛行機、向かうはニュージーランド、クライストチャーチ。窓の外の空気は乾いていて、終日晴れていたその日のからりとした雰囲気をまだ残していて、それでいてふわりと肌にやさしい感触がした。チケットを見せてと笑ったCAが、今度は飲み物はいかが、と私の席にやってくる。飛行機の下広がる
2018年1月23日 22:21
「沈殿するのを待つしかないのだ」。口癖のように、唱えていた時期があった。口の中で、音を出さずに、笑いながら、泣きながら、けれどそれを出来る限り見せまいと。出すのが恥ずかしいとか、悔しいとか、見られたくないとか見栄とか、たしかそういうことではなくて。「諦観」。そう私は、大人になって、あんなに嫌いだった「諦めること」を知ってしまった。ような気がした。追いかけておいかけて手に入らなかった憧れより
2018年1月18日 22:02
流れ落ちることばを拾い集められるのは、旅先でだけなのかもしれない、と私は気づく。いえ日常の中にも言葉はあふれる。けれど私はどうしても、どうしてもこの街では、走り去るたくさんの車両の気配に、吹きすさぶ悲しいコンクリートの音色に、私の心の機微を、委ねることができない。たくさんの大切なものがある街だと知った。「これからの人生どうやって生きよう」と考えたとき、東京というこの土地なくしては、しばらくは語