
【人事向け】 採用サイトをUXカードゲームで企画する
人事ごった煮会で、DONGURIの矢口泰介、早川将司、熊本ひとみがワークショップを行わせて頂きました。人事ごった煮会は人事に関わる方が集まる共学コミュニティです。最近WDの採用マーケティング特集に50P程寄稿させて頂いた事をきっかけに、お誘い頂けました。
ご依頼は、市場変化する中で新しい「採用サイト」のあり方を考える場にしたいという内容。その中で今回重視したのは、ユーザードリブンな採用サイトを、みんなで楽しくワークショップしながら考えよう!という趣旨です。
今回はサービスデザインの手法を使い、カードゲームをつくりワークショップを行ってみました。
▼この記事の内容
・いま必要な採用サイトとは
・ゲームの概要 ※当日使用したカードゲームデータを配布してます。
・気づきの設計
・当日の雰囲気
・ユーザーテストでの気づき
・補足
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いま必要な採用サイトとは
カードゲームづくりの前に、まず採用サイトについて、DONGURIメンバーでリサーチしました。その中で多くのサイトは下記のような構成とメッセージになっています。
・企業や代表のビジョン/ミッションを最前面にだしている。
・企業ビジョン実現に必要な、求めるものをつぎに説明。
・その求めるものを実践している、メンバーの声を取材コンテンツで設置。
大枠の流れはよいものの、伝え方によっては上記は効果が出ずらいことがわかりました。なぜならともすれば上記は「会社都合」になりがちで、一方的な押しつけとも取られかねません。
また事前リサーチをしたところ、20代〜30前後のユーザー(応募者)が重視するのは、会社がこれから向かう方向ではなく「現在のコミュニティ価値観と質」とその「エビデンス」ということがわかりました。
そんな背景をもとに、ユーザーの求めるコミュニティに対する「価値観」を理解した上で、採用サイトのコンテンツを考えるきっかけとなるゲームをつくりました。
ゲームの概要
カードゲーム概要は下記のようなものにしました。
▼ 準備したもの
・バリュー(価値観)カード70枚〜
・コンテンツカード20枚
・バリューボード
・コンテンツボード
・ペルソナシート
・模造紙/付箋/ペン
※バリューカード/コンテンツカードの内容はリサーチで抽出
▼ ゲームの流れ
1、4〜6人でチームを組む。
2、チーム毎にユーザーヒアリングし、ユーザーの価値観を推察
3、ユーザーに響くと思うバリューカードを、ボードにまとめる
4、ボードを元に、コンセプトメッセージを考える
5、メッセージを元に、コンテンツカードを並べサイト構成を考える
6、ユーザーにプレゼンし、率直な感想をもらう。
当日使用したカードとボードのデータはこちらです。A3ノビで印刷すると丁度良いサイズです。印刷後ガイドにそって裁断して利用ください。
※二次配布/商用利用はご遠慮ください。
気づきの設計
人事の方が経験ある事で、慣例的な採用サイトをつくってしまい、ユーザーを置き去りにしてしまう事が逆にあります。ですがそれを私達が伝えるのではなく「参加した皆さん自身が、自分で気づく」ことが大切です。それにより、当事者化がされ、初めて次のアクションが産まれます。
ゲームでの気づきの設計は、下記のようなことを意識しました。
あたえる気づき
・慣例的な採用サイトにすると、今のユーザーには響かないという気づき。
・ユーザーが求めるものが変化している、という気づき。
・ユーザーの話をきいた上で、アクションする重要性。
気づきを与える為のギミック
・採用サイトの訴求によく見かけるが、実はユーザーに響かない訴求を
バリューカードの中にフェイクカードとして混ぜた。
・自分の経験だけで考えてしまうと、フェイクカードを選んでしまう。
・リサーチをしっかりすると、正しくカードにたどり着ける設計。
・ユーザーテスト側にデザイナー/エンジニア/セールスで言語化が上手く、
優秀な方をアサイン(THE GUILDの小玉さん筆頭)
・ユーザーテスト側に、プレゼン時に共感できないポイントを言語化し、
率直なコメントをして頂くように事前依頼。
こうしたゲームは、事前設計で成功するか決まります。社内でもゲームテストを3回ほどやった上で改善し、当日に臨みました。
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当日の雰囲気
↑当日説明用のスライド
↑カードを元にボードにまとめていく皆さん。
↑THE GUILD小玉さんの簡易ペルソナシート。こちらを元にヒアリングしていきます。
↑ユーザー側のみなさんに、随時リサーチしていきます。
このような形で進行していき、皆さんがまとめ終えたところで、ユーザーテストに移行しました。
ユーザーテストでの気づき
全5チームが、デザイナー/エンジニア/セールス職の4名にそれぞれプレゼンを行い「この会社に入りたいと思えるか?」「思える/思えないなら、その理由を言語化してフィードバックする」。そんな軸で進行しました。
結果的に、ユーザーに好感触のチームも出てきたものの、半数以上はユーザーから厳しいコメントが次々と飛び交い、「そうなんだ??」「えーー」と動揺とざわめきが起こります。印象的なユーザーフィードバックとしては、
会社に対する信用を正直もっていない。だからビジョンとか、未来はこうすると言われても響かない。
具体的に社会にどう役に立っているのかを知りたい。今まで何をしてきたのかの実績を知りたい。
価値観だけではなく、その結果生まれた風土を事実として知りたい。
どんな人がいるのかが一番気になる。
ビジョンと、実際にやっていることに論理破綻がないかがきになる。
などなど。いままで正しいと思っていた訴求ポイントが、実はユーザーには響いてない事や。今まで重視してなかったポイントがユーザーに響いている事が判明し。「勉強になる!」「おもしろい!」という言葉が参加者から出てきていました。
オイシックス・ラ・大地の三浦さんからの総括でも、経験からいかに脱して、ユーザーに向き合う重要性に気づけたとコメント。
またその後の懇親会でも、「面白かった!」「ユーザーに普段聞く機会ないけど、今度から聞いてみたい!」などなど。前向きな気づきを得られた方が多く、無事今回のDONGURIのミッションを果たす事ができました。
また人事ごった煮会に参加されている皆さんのビジネスパーソンとしてのレベルが高く。濃密なワークショップにできたのは参加された方、そしてコミュニティ質が高かったからだと考えています。
本当にお誘い頂けたオイシックス・ラ大地 三浦さん、コネクティヴ渡邊さん、ユーザーテストに参加頂けた小玉さん、三好さん、関さん、谷川さん。そしてご参加頂きました皆さん本当にありがとうございました!
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補足
無事にイベントは終了しましたが、その後に2つの問いが産まれました。
ユーザーの求めるものを理解したとしても、現実的にそれをすべて提供できる訳ではありません。そこには組織の現状とのギャップが発生します。
これに対し出来る事は、そのギャップを理解した上で、できる限りユーザーに寄り添う。そして面談では「ここまではあなたに寄り添えるが、正直こういった要素もある」というネガも正直に話す事が良いと考えています。
この辺りの話は是非WD8月号にまとめましたので、みてください!
ユーザー側で参加頂き、素晴らしいフィードバックを頂けたTHE GUILD 小玉さんの問い。質問者側に「おそらくこうだろう」という恣意性があると、その裏づけをとるためのヒアリングになってしまいがちです。
そうではなく本質にふれる為には、真っさらな気持ちでユーザーを受け入れ、インタビューを行っていく必要があり。改めてインタビューをする事の難しさを、私も実感いたしました。
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以上です!長文拝読頂けてありがとうございました。
またご意見ご感想などありましたら、@tomomiminabeまでぜひごれんらくください。どうぞよろしくおねがいいたします。
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