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花が一輪綻んで

満開の時、花は満開の愉しさがずっと続くと思っている。

過ぎ去って初めて、満開は永遠なんかじゃなく、ほんの一瞬だったと気づく。

どんなものでも、過ぎ去ってからでないとその真価はわからない。
人間の仕組みはそのようなものなのかもしれない。


輝いていたかけがえのない一瞬。


輝きの中では、その貴重さに気づくことはない。
感触、感興はあとからやってきて、気づいた時にはもう二度と繰り返すことはない。

けれど、だからこそ私たちは「懐かしい」と感じ、
「瑞々しい」「初々しい」といった形容詞を発明できたのかもしれない。

永遠に満開であったなら、それを味わうことは永遠になく、もしかしたら「愉しい」とさえ感じないのかもしれない。

人は「今ここにないもの」に大きな価値を見出した。
それが文化を築いてきたのだし、人を人たらしめてきたのだと思う。






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