榎田智子

石川県出身、鎌倉在住。自宅出産を経て3人の子育ての傍ら、夫と情報デザインの会社を経営。…

榎田智子

石川県出身、鎌倉在住。自宅出産を経て3人の子育ての傍ら、夫と情報デザインの会社を経営。各種マネジメント・ディレクション、取材撮影…と出来ることは何でもやってます。不登校だった長女は現在豪州留学中。何事においてもLet it happenを大切にしています。保護犬、猫、亀と同居。

マガジン

  • 読後感想(本、映画、美術展など)

    感動した本、映画、美術に出会った時、生活のゴタゴタに紛れる前に、感想を残しておきたくて、書き留めたものです。

  • 文化、アートについて

    文化やアートなどについて、ふと思いついたことをまとめています。

  • 鎌倉「子育ち」の記録

    子どもの自発性を尊重し、どんな時代でも生きられる力を育みたいーー。自然いっぱいの鎌倉で、「育つ」を見守ってきた記録。

  • 庭仕事、木のこと、土のこと

    鎌倉の自宅の小さな庭で草木を植えてみたり、土を掘り返したり。 シロウトの庭仕事の記録です。

  • 今日の一言!

    思いつきで始めることにした「今日の一言!」 マイペースな家族が放つ衝撃の一言とか、なるほど〜な一言、ズレまくりの一言、何気ない一言で思いついたことなどをその都度書いています。

最近の記事

味噌作り2024

2019年からほぼ毎年作っている味噌。 2020年に初めてちょっとまとまった量を作りました。 その時自分の書いたnoteをレシピがわりにしてきたのですが↓ 4年も経てば色々改良されてきたので、今後のために新しいレシピを、 と思い、書き留めることにしました。 次第に記憶が曖昧になってきたこともあります。 頭の倉庫があやしいなら、外部の倉庫に頼ればいいってことにしました(笑) いつも暖かくなってからあわてて仕込むので、今年はスケジュールをきっちり決めて挑みました。空いてい

    • 読後感想 多和田葉子『尼僧とキューピッドの弓』

      多和田葉子があまりに面白くて、『エクソフォニー』から『地球にちりばめられて』『星に仄めかされて』『太陽諸島』三部作…と、暇があるたびに読みあさっている。 何を読んでも絶対的に面白い。いつ何時読んでも面白い。デューク・エリントンみたいだ。いっぺんに読んでしまうと寂しくなるので、それなりに他の本も交えながら、できるだけセーブして読んでいる。 『尼僧とキューピッドの弓』 2010年に書かれたこの作品は、紫式部文学賞を受賞した尼僧修道院の話だという。帯の紹介文には「熟年の女が第二

      • ズレが生む創造性

        多和田葉子を勧めてくれたのは写真家のIさんだった。 Iさんの車に乗せていってもらい、仕事で三重県まで行った。 その道中、ありとあらゆる話をしたけれど(なんせ片道5時間かかる)、 とりわけ本の話で盛り上がった。 わたしは若い頃、翻訳家になりたいと思い、勉強した時期があった。 でも英語を日本語にした時に「ピッタリ」な言葉を見つけられず、 苦しくなって翻訳の勉強をやめてしまった。 「今になって思えば、そのズレこそが面白かったのになぁ」というと Iさんは「まさにそんなこと言ってる

        • 横浜の老舗映画館で『福田村事件』を観る

          最近思うところがあって、ひとつ生活を変えてみようと色々試みている。 ジワジワと居住いを変えて行くと、思い出したこと、見えてくるものなど結構ある。大きな変化ではないから、忙しくしていれば忘れてしまうようなささやかなことが多いんだけど、できるだけ今は見落としのないように細かく観察している。 例えば、映画鑑賞。 結婚前までは観たい映画が見つかったら「思い立ったが吉日」状態で身軽に観に行っていた気がする。 そういった衝動的な感覚に素直に乗ることを、結構長い間忘れていた。 結婚し

        味噌作り2024

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        記事

          人生初オーストラリアと「写ルンです」

          コロナも終わったから、オーストラリアに留学中の長女のところに行きたいな、という話が出たのが今年の冬。どうせなら、大学生になってピカピカしている末っ子と一緒に!ってことになり、役者が揃った(2人だけど笑)。 8月上旬、晴れてオーストラリア行きが実現した。 実は7月下旬からちょっと身辺がゴタゴタしていて、少し日常から離れたところでじっくり考えてみたい、と思っていた矢先だった。たまたまだけど、いいタイミングでのオーストラリア行きになった。 せっかくだから、一眼レフを持って行こ

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          お土産文化から「もの言わぬ」を考える

          2019年から、オーストラリアで留学している長女。 コロナ禍を経て、ようやく遊びに行けることになりました。 いつもお世話になっているホストマザーさんやお友達に、何を買っていったら喜ぶだろうか、と、あれやこれやと悩んでいたのですが、 長女から「いや、そんなに気を遣わなくていいよ。こっちはお土産文化ないから」とあっさり出鼻を挫かれてしまいました。 でも、お世話になってるから、こんな時にこそ何か気の利いたものを…とちょっと強めに押してみたんですが、「じゃあ、ご飯でも作ってあげた

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          こだま

          近頃私たちの周りでは、「伝わった」「響いた」「こだまが返ってきた」という感覚があまりにも乏しくなっている。 「伝わらない」もどかしさは、カズオ・イシグロの小説が現実にも起こっているようで薄寒い。 人間も地球上の生き物も、あちこちでブツブツ切れて断絶している。素でいられるはずの家であっても、SNSとかオンラインなんかに追われて、ダラダラしてるのに、顔だけは取り繕わなきゃいけないんじゃないかという強迫観念に迫られている。 結果「還るところ」はどこにも無くなってしまった。自分

          人の還る場所は森

          この前、愛媛県の久万高原にある「由良野の森」に行ってきました。 現在、資源・環境・文明ジャーナリストである、谷口正次先生のドキュメンタリー映画を撮影しているのですが、そのロケハンとして伺ったのです。 素晴らしい森や人の素晴らしさ、そして森を守り、それによって人も守られるというライフスタイルの素晴らしさに、いたく感銘を受けました。 実はこの、由良野の森の帰り道。 急に「帰るところがない」と感じ、ものすごく悲しくなりました。 「今まさに帰ろうとしているのに、帰るところがな

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          読後感想 カズオ・イシグロ著「わたしたちが孤児だったころ」

          私たちは人生の中で頻繁に、理不尽さや憤りを感じる。 そして、それを心に留めながら、日常生活に戻って行ったり、ブチ切れて今の生活を壊してみたり、いつの間にか記憶が薄れるのに任せて、騙し騙し生活していったりする。 人はとかく白か黒か、左か右か、上か下か、都会か田舎か、環境保全か高度成長か、と2つの相反する選択肢を用意しがちだ。 そして、どっちが正義なのか、どっちが好きか、どっちが趣味がいいかと、どちらかの選択をすべく、自分で自分を追い込んでいく。 私も長い間、そういった攻防

          読後感想 カズオ・イシグロ著「わたしたちが孤児だったころ」

          「思考」と「移動」の関係

          「榎田さんって、ゆっくり読書するようなお気に入りのカフェとかあるんですか?」と聞かれた。 そう言われてみると、ないかも、そんな場所。 というより、カフェとか喫茶店でゆっくり読書して過ごしたくなること自体がないのかもしれない。 割とそういうことに憧れてきたんだけど、実際に本を持ち込んでゆっくりしようにも、どうも落ち着かず、結局30分くらいで出てきてしまうことが多い。(急ぎの仕事で集中して何かやってるとか、誰かを待っているとか、目的があるケースは別) なんというか、時間を

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          旅立ちの日に〜離れていても、繋がっている〜

          去年秋に地方の大学の編入試験に合格した、3人兄妹の真ん中の息子。 今日晴れて家から巣立って行きました。 高校卒業後の進路に悩みすぎて、決めかねていました。 かと言って真面目な性格から、「テキトーにどこでも入ってればいいや」とはいかず…。 「放送大学でまずは一般教養を身につければ」とお父さんに言われ、ひとまず放送大学でお世話になっていたんです。 偶然見つけた「やりたいこと」それが去年の夏に、家族でアニメ『ドクター・ストーン』にはまったのをきっかけに、鉱物に興味を持ち始め、

          旅立ちの日に〜離れていても、繋がっている〜

          「伝わる」は言葉ではなく「感覚」から

          2002年から10年程、横浜を中心に学生映画祭を主催していたことがあります。日中韓から学生の卒業制作作品等を集め、プログラム化し、お見せしていました。 当時、日本映画学校(現: 日本映画大学)の校長だった映画評論家の故・佐藤忠男先生に大変お世話になりました。昨年、佐藤先生が亡くなった際に、いろいろ当時を思い出して書いたのがこちらです。 右も左も分からない主婦が、集まった作品を見て、映画祭のプログラムを考えるのですから、今思えばかなり無茶でした(苦笑) でも、この経験は本

          「伝わる」は言葉ではなく「感覚」から

          苔玉に見る「共生文化」

          数年前、近所の苔玉屋さんで苔玉を買ってから、自分でも作ってみようと思い、いくつか挑戦しました。 ちゃんとお水さえあげておけば、結構長く保ってくれて、しかも季節で色々な表情を見せてくれるので、とても楽しい。 何個か作っていくうちに失敗したものもあったのですが、そこから気づいたことがあったので、忘れないうちに書いておこうかと。 水は大事そうなんです。苔玉は、水やりが命だなぁと。 毎日触れてみて、乾いた感じがあったらボールに水を張って、ちゃぷんとつけます。 「泡が出てくるっ

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          ロバート・プラント/アリソン・クラウス 『レイジング・サンド』

          かれこれ20年ぶりに、大学時代の友人と会いました。なんでも勤続30年とのことで、特別休暇をもらって上京したとか。 久しぶり過ぎて、仕事のメールみたいに他人行儀な連絡をしてきた友人。クソ真面目なメッセージを打っている姿が目に浮かぶようでした(笑) ホテルは神田にあるというので、『かんだやぶそば』に行くことに。 学生時代はあまり深く話したことはなかったのですが、2時間の大半、音楽の話に花が咲きました。 意外に共通点があったのと、大人になって、音楽の捉え方がかなり幅広くフレキ

          ロバート・プラント/アリソン・クラウス 『レイジング・サンド』

          教養を身につけるヒント

          この前、音楽にまつわる学生時代の話を掲載しましたが、 その後ふと感じたことがあったので、ちょっとお伝えしたいと思います。 こちらの記事では、ネットやAIの登場で誰でもすぐに知識が得られるようになったから、「偶然」出会う幸せが減ってるんじゃないか、という指摘をしました。 簡単に知識やモノを得られるようになることへの憧れが、今の便利な社会を生み出したのだと想像します。 今や、少なくとも先進国と言われている国では、どこに住んでいても、情報や物はすぐに手に入る世の中になりました

          教養を身につけるヒント

          音楽遍歴と「偶然」の価値

          80年代半ば。 まだインターネットのなかった時代。 音楽の情報源は、友人か雑誌かラジオでした。 YouTubeみたいにオススメが上がってくるわけでもないし、鼻歌歌えばなんて曲かAIが教えてくれるわけでもない。いい音楽に出会うには、偶然を待つしかなかった。 Hey Pocky A-way  鮎川誠が亡くなった直後、地元のバンド「めんたんぴん」の動画を、友人が見つけてくれました。 (地方のかっこいいバンドみたいな括りでおすすに出てきたらしい) 地元では誰でも知っていた珈琲

          音楽遍歴と「偶然」の価値