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【第3話 Day1摩周・川湯編】阿寒摩周国立公園セブンサミッツ 〜国立公園内の山全部登るまで帰れマウンテン〜

「昼過ぎに出て下道(高速使わず)で来たら思ったよりも遠かった・・・。」と九州出身深浦氏。「え?下道できたんですか? だから前電話で言ったのに。」と地元組の我々。

 そんな初歩的すぎる『北海道あるある』により、川湯到着時刻22時すぎと想像以上に遅く到着した札幌・ニセコ組。初めましての挨拶、軽い牽制、軽い愛し合い、ギアの確認などを済ませ、川湯の温泉に浸かり、5時間ほどゆっくり休んだ前夜(はたして休まっているのか)。詳細は冒険前夜編をご覧ください。

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 いよいよ出発の日。朝5:00起床。外気温約10℃。外は濃い曇天。というか全身濡れます系の霧。おまけに風もぼちぼちありそうだ。これから始まる冒険にじわじわ胸を踊らせながらも、ほんのりテンションが上がらない雰囲気も纏わせつつ(写真の表情をご覧いただきたい)眠い目をこすりながら準備を始めた一行だった。本日は3日間の行程の中でも最も行動距離、行動時間が長い。さて、どんな冒険初日となるか。普段のフィールドも、得意な遊び方も、生き方も、バックボーンも異なる4名の異種格闘技戦のような冒険が始まる。ちょっぴり長くなるが時系列でフィールドやお店の紹介、そして自身のログがてら振りかえる。

 【1日目の計画】
川湯エコミュージアムセンター→ 藻琴山ハイランド小清水  バイク17km
ハイランド小清水→ 藻琴山ラウンド  ラン8km
ハイランド小清水→ 摩周湖第一展望台  バイク31km
摩周湖第一展望台(摩周岳経由)→ 西別岳ピストン  ラン19km
摩周湖第一展望台→ Recamp 弟子屈  バイク11km
トータル:バイク59km ラン26km 合計85km

 

5:30 朝弁当と応援

 まずはすずめ食堂で朝弁当を受け取る。というのもチェックアウトが早いので宿の食事は食べられない。朝ご飯どうしようか・・・せっかくだから地元らしいものを。ということで嶋田氏の計らいとすずめ食堂さんのお心遣いにより通常メニューにはない「朝弁当」をいただけることになったのだ。

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 朝5:30に受け取りたい我々4人のためだけに・・・泣ける!(アキシさん無理いってすみません&ありがとうございます!)。

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 嶋田・反中・國分がお弁当にがっつく頃、未だパッキング中の深浦氏。この頃からじわじわと彼の「フリースタイルまじめキャラ」は滲みでるのであった。この指さし総攻撃の写真がなんとなく物語っている。

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 そうこうしていると反中氏の知人でトレイルランナーの吉田さん(美幌町在住)が応援にかけつけてくれた。早朝から熱い。吉田さん、ウイダーインゼリーありがとうございました。エナジーと血と汗と涙になりました。

7:00 出発

 そんなこんなでいよいよ出発。いつのまにかもう7:00になっていた。一応記念撮影を済ませ(前田さん撮影ありがとうございます)いざ出発。

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 深浦氏の提案により笑顔で7ピースをしているわけだが、すでに7つのピークをとれるのか自信がない空笑いの私。

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 川湯を抜けて藻琴山を目指す。周囲はビートやじゃが芋畑が広がり、この地域らしい景色が広がる。自転車での移動は車では通り過ぎてしまうような「その土地の風と匂い」を感じることができるのだ。

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 川湯をぬけて少し走るとここからハイランド小清水までは、ひたすら登りとなる。雨も激しくなってきた。6月で気温10度以下の雨風は体感としては真冬での行動と比較しても辛いくらいだ。

8:10 藻琴山展望台

1時間ほど走り、藻琴山展望台に到着。エネルギーを注入し、さらに高度を上げていく。

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 反中氏がサポートを受けているtrailbutter。なんとオサレな行動食か・・・。私はだいたい、どら焼き、お餅などだが・・・。

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 そしてなんともオサレに口元を汚してペロッと・・・。この男、計算高い。今流行りの「あざと可愛い」とは、もしやこのことか。

9:00 ハイランド小清水(藻琴山登山口)

 約1時間ひたすらの登り。永遠に続くかと思われる登りも必ず終わりはある。藻琴山登山入り口に到着した。本来であれば屈斜路湖、硫黄山、斜里岳と一望できるこの場所だがこの日は生憎の天気。遠征組には屈斜路湖の存在を認めてもらえないようだ。「屈斜路湖?ありませんけど?」。

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バイクをデポし、いざ登る。

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9:50 藻琴山ピーク(1stピーク)

 軽いジョグ程度のラン、登山口から50分でピークに到着。当然だが屈斜路湖は見えない。しかしこの笑顔。雨の中走るというのは、こう、何だろう、アドレナリンがドバッと分泌する。

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 眼鏡につく細かい霧で常に視界が奪われ、若干嫌気がさしている嶋田氏。そして、当然なのだが、3人の走りについていけないという事実を身を以て感じる私。さぁ、下山。

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 これがアスリートの走りだ。

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 これがビギナーの走りだ。

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 これが眼鏡が気になっている人の走りだ(クールに眼鏡を「クイッ」とする嶋田氏)。

 下山はあっという間。私の感覚で言うと『スキー・スノーボード滑走』のごとくだ。ハイマツや笹、木の枝をかわしつつ、岩、コケ、雨で滑る狭いトレイルを上手くライン取りしていく(足を着く場所を探し進んでいく)。トレイルラン経験がほぼない私でもこの感覚は興奮せざるをえない。この感覚は『滑走』だ。

10:30 藻琴山下山

 天から降る雨、草木の露、蹴り上げた泥水を全身に浴びて下山。大地のエネルギーを存分に吸収した。屈斜路湖?見えませんけど?

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 下山後は濡れた体が一気に冷える。気温はほぼ一桁だ。

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 各々、携行したギアはフル活用だ。まぁまぁ過酷なコンディション。レインウェアは当然だが、インナーには化繊素材の「濡れても保温力が落ちないウェア」に限る。(嶋田・國分はpatagonia ナノパフを使用)

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手持ちのギアをフル装備。とはいえ雨風の中常にくだりのハイスピード。みるみる体温を奪う。

11:30 そば道楽ピットイン

 冷え切った手足と身体。自転車を漕ぎながら皆思うことは同じ。「温かいものをたべたい・・・」。縦一列の最後部で漕いでいた嶋田氏が先頭へ行き、皆を先導。

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 一路、川湯の名店『そば道楽』へ。

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【かしわそば 750円】
 蕎麦をすする際に鼻にぬける出汁と蕎麦の香り。親鳥の上質な脂。コクと食感。たまらない。普段は「蕎麦屋といえば冷たい蕎麦!」な私もこの日ばかりは温かい蕎麦をチョイス。間違いない。そば道楽さんといえば、お蕎麦についている副菜も注目だ。この日はホクホクのじゃがいもだった。うまい。

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 くはぁ〜あったまる〜。

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 ちゅるっと。嶋田氏の眼鏡もカメラのレンズもこの曇り具合。店内での温まりようが伝わるだろうか。前日から『嶋田氏✖️ご当地フード』の構図にすっかりハマってしまった私。

そば道楽さん。お蕎麦、ご馳走さまでした。

12:40 森のホールピットイン

 そば道楽を後にした一行。お蕎麦だけでは胃袋足らずと川湯駅前にも立ち寄る。ローカルの嶋田・國分としては川湯駅前はぜひ立ち寄って欲しいスポット。酒屋・骨董品屋・パン屋・カフェ・洋食屋・ノスタルジックな駅・なんと足湯も・・・と立ち並ぶ、大好きな場所だ。当然のように「せっかくだから」と吸い込まれていった。

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 食後のスイーツは「漢気ジャンケンで決めましょう」と反中氏。流石札幌の猛者に囲まれて過ごしている漢。完全にノリ慣れしているようだ。恐ろしい。

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見よ。この写真。ぶっちぎりで私の快勝だ(素直に勘違いをし、全力で喜ぶ)。

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漢気お買い上げ。

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もはや言わずと知れた川湯の名店『森のホール』さんの絶品スイーツにありつく。食後のデザートもいけちゃうとはフィールド遊びのエイドとして最高な川湯だ。

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顔ハメはハメずにはいられない。

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 川湯駅にいるちょっと変な人たち。でも、バイクにロングハイクなどアウトドアフィールドに囲まれた川湯なのだ。こんな感じの利用者が増える町になればいいな〜なんて妄想もしている。

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 たっぷりゆっくりした。しかしこんな感じのユルいペース感で、フィールドだけでなく、町を巡って人と会い美味しいものを食べるのが今回の旅の目的なのだ。

14:00 摩周第三展望台付近 応援

 しかし、ゆっくりまったりなんてのもつかの間。摩周湖までの登りはハッキリ言ってしんどいしんどいしんどい。本当にしんどいので3回言った。

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 途中、別海町は野付より応援に駆けつけてくれた『漁師&yamatuneサポートランナー』の上林氏。私はこの時が初めましてだったが、ほとばしる太陽のような笑顔と優しいオーラに、包まれ抱かれた。何だろう・・・人の温かさに疲れが抜ける。本当だ。

14:45 摩周第一展望台 到着

 摩周第三展望台まで激しい登りをぬけると第一展望台までは気持ちのよいくだり。第一展望台に到着し、ここで再びバイクをデポ。2ndピークの摩周岳、3rdピークの西別岳を目指す。

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 ここで参戦。道東を代表するランナーの上林氏。

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 プロ2人の走り。

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 と言ってもほぼ私のペースに合わせていただいていたのだが・・・。

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 あぁ、待ってくれ。みんな。

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 そんな時は足元に目を向けよう。雨粒がついたチシマフウロ綺麗だなぁ。

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16:40 摩周岳ピーク

 摩周岳ピークにて記念写真。え?爆裂火口?摩周湖?どこにありますか?
そう。何も見えない。

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 ここまでが長かった・・・。実は私、途中から膝が崩壊し、走れるコンディションではなかった。歩いている状態も足ひきずり状態。みなから「え?DAY50ですか?」と言われる始末。みっと見ていられないペースで歩いていた。ロクにトレーニングもしていない私。そりゃそうだ。

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と言うわけで西別岳は断念し、第一展望台にまっすぐ戻ることにした私。「では、ゴールで!」

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 日没までもうすぐ。山で1人になるのはなかなか心細いものだが、仕方がない。

18:00 アクシデント発生

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 一人てくてく、というか黙々と歩みを進める。疲れもピーク。そんな意識散漫な時にアクシデントは起こるもの。展望台まであと2kmほどの地点。左右を笹に囲まれたゆっくりとした右カーブ。ヒグマのおでましだ。

 しまった。その距離わずか15mほど。あまりに意識の外側からの出来事。心拍数が激しく上がる。思わずとっさに半身後ろを向いてしまったが、すぐに前を向けた。危ない。後ろを向いてはいけない。その後ヒグマは唸り声をあげて左側の笹薮へと逃げていった。ホッと肩をなでおろした。そしてすぐに西別岳へ向かったメンバーへも連絡。

 本当にしまった。ここまで、ただ歩く事にしか集中していなかった。声も出してなければ手も叩いていない。やはりアクシデントというのは、こういった「普段ならこうしているのに」「なぜその時は」と言う時に起こる。おまけに熊スプレーはチームで1本しか持っていなかったため西別岳へ向かったみんなが持っていた。戒めの意も含めあえてここに書く。この時の行動について深く反省している。

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 ひと段落した時のチョコバー。この写真を見ただけで緊張感と安心感を思いだす。その後、私1人先に第一展望台に戻った。それからほどなくしてメンバー全員が戻ってきた。まったく、早いなぁ。

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 さぁ、あとは町まで下るだけ。もうすぐ日没だ。早く休みたいしビールも飲みたい!急げ!

19:15 桜ヶ丘キャンプ場到着

 キャンプ場に到着するとたまたま開催していたReCAMPのオープンイベント。そこで待っていたのは環境省のBOSS笹渕氏。なんと地元焼肉店『石花木金』の豪華なBBQを振舞ってくれた!あぁ!ありがとうございます!

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 そして上林氏からは野付産の天然ホタテ。

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 疲れた身体にしみわたる!

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わいわいガヤガヤ。このエリアのフィールドやトレイルの可能性について語り合う一行。こういったリアルな場での分け隔てない話あいから未来が創られる。少々大げさですがジワっとそんな気がしています。そして宴は続き、上林氏プロデュースの2次会会場へ。

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なんと素晴らしいブース・・・。ほぼベースキャンプ。嶋田氏と反中氏はマイテントを張らず、このままこちらでゴロンの予定だ。

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昇龍軒』のぎょうざでお鍋。

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くぅ〜。たまらん。

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ビールがどんどん進む。

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笹渕さん、上林さん、何から何までお世話になりました!


23:00 就寝 

 ちょっぴりお疲れ模様の深浦氏は少し早めに就寝。一番ボロボロの私はただの酒好きへと変貌し軽めに呑んだくれて23:00頃就寝。そして猛者3名の宴は続いた。おそるべしトレランの猛者3名・・・。こうして屈斜路湖も摩周湖も見えない初日は終わる。夢の中で見れたことを祈るばかり。


1日目の結果

反中・嶋田・深浦
1日目86km(Bike: 62km/Run: 24km)行動時間12時間 
累積上昇(標高)2474m
國分
1日目86km(Bike: 62km/Run: 19km)行動時間11.5時間 
西別岳分岐〜西別岳ピーク Run往復5km ロスト


次回、冒険2日目。
弟子屈〜辺計礼山〜阿寒編。
行動時間約8時間。
2日目55km(Bike: 48km /Run: 7km)。
晴れ間に浮足だつ一行、ジャンケンがひたすら強い私、まったく走れなくなった膝。

つづく。













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