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花を気軽に飾る/贈るカルチャーを創るということ。

はじめまして。花屋 / フラワーテック・デザインカンパニーBOTANIC代表の上甲(じょうこう)です。

BOTANICとは…
花屋のあたりまえを追求する「ex. flower shop & laboratory(イクス)」、
花と新聞のサブスクリプションサービス「霽れと褻(ハレトケ)」、
D2Cフローリスト「LIFFT(リフト)」を運営するフラワーカンパニー。

「花き業界をアップデートする…」をミッションに、複雑な流通や過剰な廃棄ロス、労働生産性、ユーザーニーズの未開拓など、花の生産から販売までの課題を、合理的かつ創造的に解決することを目指しています。

花屋を経営している中で、よく聞かれるのが、
「なんで花屋をやっているんですか…?」
という質問。

その時の回答としては(パッションの部分はまた別の機会に書かせていただくとして、ビジネスの視点では)、
・モノに飽和した社会の中で、今後期待される感性価値商材だから
・日本人の感性が活かされる、海外でも通用するコンテンツだから
と自分なりに解釈しています。

つまり、とても魅力的な商材と考えているのですが、一方で実際のところ、
・収益性が低く、超分散化市場(でブラック?)
・その結果、マーケティング活動やITや人材への投資が進んでいない
 (レガシー産業=時代に取り残されつつある)

といった深い課題がある業界です。

こういった中で、既存の産業をITの力で大きく変革していくことが必須の状況にある業界と捉えています。

欧米では、海外でも同様の事例が進んでおり、ヨーロッパでは、フラワーテック企業 /ベンチャーフローリストが増えたことで、逓減していた市場規模がかなり伸び率でターンラウンドしているというデータもあります。
また、他のアジア諸国では、花き業界がオンラインの力(インスタグラムフローリスト)によって萌芽し始めています。

さらに踏み込むと、20年以上前から存在する「花をネットで利便性高く売る」という業態の代替では、ほとんど結局何かを変えているわけではないとも考えています。

そんな前提の中で、BOTANICは、以下を実現することで、「花・植物を気軽に贈る/飾るカルチャーを創りたい」と考えています。

①生産者と連携した、品質/鮮度の高いモノの提供
②アート/デザインと融合されたプロダクトの提供
③ 洗練されたユーザー体験の提供

①生産者と連携した、品質/鮮度の高いモノ

花の日持ちは通常1週間から長くても2週間程度ですが、その日にちを一日でも長くすることが消費者の満足につながることが分かっています。

そのためにも、提携する生産者から中間流通を極力省いて仕入れる生産と販売計画をシェアして需給ギャップをなくす…などのいった取り組みを進めています。
(決して既存の流通を否定するわけではなく、最適な流通を選択すべき、と考えています。)

加えて、流通や生産面のテクノロジー化をより進化させることも必要です。
例えばダリアのように日持ちのしない花であったり、ミモザのように配送に向かない商品が、翌日、なんなら即日で、生産地での瑞々しさをそのままにお届けできる時代が来る…そんな時代に向けて、構想を進めています。

合わせて、適切な自宅でのケアも長持ちのために重要なファクターです。
そのために店舗・紙媒体・SNS・オウンドメディア…など多面的な形で積極的に情報発信しながら、1to1でもコミュニケーションをとり、ユーザーに積極的に寄り添うことも進めています。

②アート/デザインと融合されたプロダクト

花EC市場は「第一想起」するブランドがない状態です。
この現状は、嗜好品の極みである「花」という商材にとって、ブランドや感性価値の重要性を物語っていると考えています。

比較購買から発見購買のサイクルが短縮化され切った世界で選ばれることを見越しつつ、我々は「花を贈るカルチャーを創る」というレベルでプロダクトを生みたいと思っています。

例えば、BOTANICは(まだまだ若手ながら)フラワーデザイナーと呼べる技術レベルにあるメンバーによってデザインされた花束やアレンジメントを日々製作しています。
実際、花束のデザインは模倣されることも多いのですが、一方でサービス・プロダクト全体で醸し出すユニークさやアート性は模倣困難です。

現在の国内オンラインフラワー市場ではそこまでのニーズは限られていますが、感性価値商材への評価が高まれば(我々が高められれば)、
花材自体のストーリーに加え、アート活動の延長から生み出されるプロダクトにより、既存のオンライン花屋の延長ではないサービスの提供ができると考えています。

③洗練されたユーザー体験

日本では、「花は生ものだから、お店で買うもの(オンラインで買うのは必要に迫られた時だけ)」という考え方がまだまだ一般的です。

花のサブスクリプションサービスをはじめ、比較的店舗へのニーズを代替するサービスが増えるなかでも、まだまだニッチなニーズと捉えています。
また、実店舗も運営するBOTANICでは、基本的に花屋の購買体験は、実店舗のそれに勝るものはない、と考えています。

2020年のお花の購買行動の変化関するアンケート(n=692人)をBOTANICで行ったところ、「どのような経路での購入がもっとも多かったですか?」という質問に対し、「インターネット(都度購入・サブスク)」と答えた割合は10%を下回り、一方で「花屋」と答えた割合は80%を上回りました。

日々のお客様へのインタビューをしていて感じることは、花に囲まれながら花を購入することによる高揚感は何にも代えられないということです。

オンラインでの利便性も重要なのですが、それだけでは味気ないものです。
定量的にも、オンライン経由で獲得した顧客よりオフライン経由で獲得した顧客のほうが愛着度が高いというデータもあります。

つまり、店舗の購買体験をいかにアップデートし、マーケティングチャネルとしてデータを取得したり、オンラインでの購買をいかに店舗のような体験に近づけるかが重要と考えています。

その先駆けとして、例えば、LIFFTではLIFFT Concept Shopを昨年オープンし、オンライン接客サービス“Your Florist”を始めました。
また、LIFFT Concept Shopでの顧客データ登録を開始するなど、O2Oでの店舗設計を行っています。

モバイル、ウェアラブル、AR/VRテクノロジー etc...の進歩につれ、ユニークなブランドが差別化され、まだスモールサイズの企業がチャンスを得る機会はますます増えていきます。

もちろん、オーダーを大量に受注できるオペレーションやその効率化は重要ではありますが、それと同じかそれ以上に、ブランドに価値を見出す商材となる可能性にも注目しています。

オンラインの花業界でも、合理性からかけ離れたところに顧客は心地よさを感じ、ファンになっていただけると思っています。


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最後に。江戸時代の頃に訪日した、イザベラ•バードやロバート・フォーチュンといった外国人が出版した書籍には、「日本に花・植物のカルチャーが根付いていることに心底驚いた」と言ったような記載があります。
また、華道が花嫁道具の一部であった時代もありました。

僕たちは、そういったカルチャーを読み解きながら、品質の高い花を用いて、 “Old Fasion”なプロダクト/サービスデザインを一蹴し、オンライン発の熱狂的なブランドを創りたい。それによって花を気軽に飾る/贈るカルチャーを創っていきたいと考えています。

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