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岸田政権は「河野太郎と連携」して憲法改正を推進!ネトウヨはそれでも支持するの?

 今朝のニュースには笑ってしまった。

自民、改憲運動の実務部隊発足 世論喚起へ始動
2022/2/1 18:36
 自民党憲法改正実現本部は1日、憲法集会の全国展開の実務を担う国会議員を集めた会合を開き、改憲機運を高める運動を始動させた。古屋圭司本部長は会合で「5月の連休までに全都道府県で少なくても1回集会を開きたい。改憲実現に向けて大きな第一歩を踏み出す」と述べた。
 実務部隊は、全国11ブロックごとの責任者を含めて国会議員約50人で構成。実現本部傘下の国民運動委員会内に置かれる。集会への講師派遣や会場費用補助について、都道府県連や自民議員と調整業務を行う。開催に取り組んでいるか各地の状況もチェックする。知名度のある河野太郎広報本部長と連携し、会員制交流サイト(SNS)などを活用した広報戦略も練る。
 実現本部はすべての党所属国会議員に地元での集会開催を求めている。世論を喚起し、衆参の憲法審査会で議論が進むよう後押しするのが狙い。

 「え?左翼の岸田政権が憲法改正?」と思っていたが、別に憲法改正は保守的なものとは限らない。

 9条改正だって、必ずしも保守のベクトルを向いているとは限らない。むしろ今の自民党が推進している「アメリカの侵略戦争に協力するための9条改正」など、保守派の私は断固反対だ。そんなことをして、もしも自衛官が中東で誰かを殺したら、日本人は一気に国際社会での信用を失う。

 日本人が海外で好意的にみられることは「お金のお蔭」だと思っている人も多いが、お金持ちだけならば中国人の方が沢山お金を落としている。無論、欧米の方が日本よりも富裕層ははるかに多い。

 日本は欧米や中国とは異なり、戦後は(一応)侵略戦争をしていない。そのことが、かなり日本人への信用を醸し出している。私はインドで数ヶ月しか海外経験は無いが、その間に日本が侵略戦争で人を殺していない事の有難さを痛感した。

 本当に「保守」の立場から憲法改正を言うのであれば、真っ先に問題になるのが「天皇」条項であろうし、また「左翼」の側も本気で「天皇制廃止!民主共和制移行!」と言っているのであればその為の憲法改正を主張するべきであろうが、日本の政界では右も左もそんなことは主張しない。

 さらに言うと、本当の右翼は「憲法改正」みたいな、甘っちょろいことは言わない。昨日亡くなられた石原慎太郎元都知事のように「帝国憲法復原・改正」を言う

 無論、「本当の左翼」もそうであって、ガチな左翼は「革命憲法制定」を訴えている。例えば、新左翼の『中核派』の機関紙にはこんな記事が載っている。

――戦後憲法と改憲攻撃を、労働者階級はどうとらえるべきですか?
 憲法とは、国家の骨組み、統治の基本を決め、人民はいかなる権利を有し義務を負うかを定めている最高法規ですから、当然「革命の子」であって、新たに国家権力を握った階級によってその性格は異なります。
 例えば、1789年のフランス革命による憲法と、1917年のロシア革命直後にできた憲法を比べれば明らかです。フランス革命をやったのは新興資本家階級つまりブルジョアジーでした。その憲法が前提とする社会は資本主義社会、「自由・平等」といっても基本は金もうけの自由、資本家どうしの平等であって、労働者にとっては「餓死の自由」です。
 一方、ロシア革命の主体は労働者階級です。だからその憲法は、搾取を廃止し、国際的に労働者が連帯して社会主義の建設に向かう宣言になっている。のちに、ソ連社会もその憲法もとてつもない変質を遂げますが。
 憲法を変えるには、もう一つにクーデターがあります。さきごろタイでクーデターがあり、現憲法を停止し、「新憲法」の制定に向かっている。
 結局、憲法は革命かクーデターによって変えられてきたということです。
 この観点から現行憲法を見れば、ブルジョア憲法です。憲法29条1項は「財産権は、これを侵してはならない」と宣言しています。

http://www.zenshin.org/f_zenshin/f_back_no07/f2293b.htm

 よく憲法改正と言うと「護憲VS改憲」と論評する者が少なくないが、このように護憲でも会見でもない立場が、この国には存在する。(「帝国憲法復原・改正」も「革命憲法制定」も、どちらも『日本国憲法』の改正を主張している訳ではないことに注意。)

 だが、今の国民はマスコミの影響で「護憲VS改憲」の選択肢に馴れてしまっている。しかしその「改憲」の内容も様々だ。

 河野太郎はご丁寧にも自身の改憲案を過去に書いている。

 私は、近い将来、今の政党の枠組みを超えた政界再編が必要だと思います。
 まず、第一段階で、自民党、民主党、そしてその他の自由主義、民主主義、資本主義を標榜する政党が集まって大連立政権を創るべきだと思います。この大連立政権がやるべきは、憲法改正です。
 今の憲法は押しつけられたものだから、といった後ろ向きな理由ではなく、二十一世紀に日本が必要とする憲法をここで創り上げる、前向きな憲法改正が必要です。特に、憲法九条を改正し、集団的自衛権を含めた自衛権と自衛力を保持すること、世界の平和と安定を守るために必要な国際的な協調行動を取ることができることを明記すべきです。
 憲法九条に関しては、憲法改正が行われないのに、内閣法制局などという政府の一機関が、その解釈の変更で、憲法を事実上改正してきました。そのため、安全保障に関する国会の議論は、過去の答弁をガラス細工のように積み上げる、極めて不自然なものになっています。二十一世紀の安全保障を考えると、九条を明確なものにする必要があります。
 さらにもう一点、議院内閣制を改め、国民が国のリーダーを直接選ぶ、大統領制を導入する憲法改正を行うべきだと思います。
 一部の長老ではなく、国民全体でリーダーを選ぶことによって、リーダーの政治基盤も安定しますし、選んだ国民の側にも責任が生じます。また、任期が明確な大統領制を取ることによって、平成になって、総理大臣が十人という短命内閣ではなく、安定した政権が誕生します。さらに、現状では、霞ヶ関の官僚機構が、情報を操作し隠すことによって、行政だけでなく、立法にも大きな影響を持っていますが、大統領制になれば、行政と立法は明確に分離されます。
 この二点を柱とする憲法改正を大連立で成し遂げると同時に、大連立に参加した政治家を、経済政策を軸として、二つのグループに分け、二大政党を創っていく作業が必要です。

 つまり「大政翼賛会的な大連立を実現して、集団的自衛権の行使容認を認めろ!」と言う事である。

 自称平和主義者の中には河野太郎氏が脱原発と言うだけで好意的なものが少なくない。実際には彼は「戦争参加法制」に反対などしていない。彼を平和主義者だと思うのは、スターリンが労働者の味方だと思うようなものだ。

 さらに、保守派にとって看過できないのは「大統領制」導入である。

 「大統領」とは「共和国における国家元首」のことである。つまり、天皇陛下が国家元首では無くなる、と言うことだ。こんなのを支持するネトウヨがもしもいたら、「ネトウヨの正体は左翼」と言う私の主張を裏付けるだけである。

 いや、もしかしたら維新の会の掲げているような「首相公選制」の意味合いかも知れないが、「国民主権」を前提にした「首相公選制」は実質的に大統領制と同じである。

 このことについては、過去に小沢一郎先生の論文でこう述べられている。

 内閣制度については、首相公選論の大きな間違いを最後に指摘しておく。首相公選制は天皇制の廃止を意味するということである。天皇制を維持しながら公選論を唱えることは論理として成り立たない。
 天皇の国事行為には、国務大臣などの認証がある。ところが衆議院議長は認証官ではないし、天皇が国会議員を認証することもない。何故ならば国会議員は直接主権者に選ばれているからである。主権者の意思は最終であると同時に、絶対である。だからこそ天皇が国民の名のもとに認証する必要がないのである。首相公選ということは主権者たる国民が、国の最高責任者を直接選ぶことだから、選出された首相というのはまさに国家元首、いわゆる大統領そのものであり、その状態の中で君主としての天皇の位置付けは不可能である。したがって、首相公選制は、天皇制の廃止を前提とする以外に、これを採用することはできない。

 首相公選制にはそうした保守派から見た思想的な問題だけではなく、もっと現実的な問題も存在している。

 アメリカではトランプ前大統領もバイデン現大統領もどちらも強権的な政治を行っている。韓国も同様だ。大統領制では議会の信任を受ける必要がないため、好き勝手やっても問題ないのである。

 しかも、それを国民も支持することがある。トランプ大統領は前回の選挙で落選はしたが、票は伸ばしていた。そのトランプ氏以上に多くの票を獲得したバイデン氏がこれまた強権的な指導者なのだから、始末に負えない。

 河野太郎氏は「大連立」による憲法改正をかつてから唱えている。「首相公選制」の為の大連立であれば日本維新の会も喜んで参加するであろう。日本維新の会が強権的な政党であることは、言うまでもない。

 無論、河野太郎氏は緊急事態条項を含む「安倍改憲案」に賛成であると明言している。

 過去にも述べたが、自民党改憲草案の「緊急事態条項」は大東亜戦争中ですら行使されなかった「非常大権」(人権条項停止)並みの強権である。それと首相公選制とを合わせると、まさに戦前の天皇陛下を軽く凌駕する強権的な権力者の誕生である。

 岸田文雄首相がどこまで改憲に本気かは判らない。彼は憲法無視が得意技であるから、わざわざ憲法を改正するような面倒なことはしたくないだろう。

 しかし、河野太郎氏はかつてからの改憲論者だ。しかも、その内容は保守的なものと言うよりも、日本維新の会と近い内容で、さらには天皇陛下の地位をも危うくするようなものである。

 岸田文雄首相はトンデモナイ輩と「連携」してくれたものである。総裁選での諍いも独裁体制樹立の前では水に流そうと言うのか。

 こんなのを支持するネトウヨが保守派とは言えないことは、言うまでもない。

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