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板金の鶴を売る理由。

弊社は屋根や雨樋の修理をしたりする会社なのですが、3年前から工芸品の作製・販売するプロジェクトを立ち上げています。

なんで屋根屋さんが、こんな事やってるの?儲かるの?困ってるの?って聞かれます。

いやいや、正直な話、屋根の工事をした方が、利益は出ますよ。。。(汗)あ、お金に困ってるの?と言われたら、困ってますよww

じゃ、なんで?って。今回はそんな話です。

あ、私の会社、こんなです。


【板金屋(屋根屋)は過酷なんです】


屋根の上は真夏は50℃を越え、真冬は氷点下という劣悪な環境の中、屋根の傾斜に耐え、重いものを持ったりの作業をしています。最悪、真冬は動けば多少暖かくなので、多少マシなのですが、真夏は限界があります。

一日4リットル以上の水分を補給しても、朝トイレに行ってから家に帰るまでトイレに行かないくらいカラカラ人間になります。(ちな、夕方は濃い色のおしっこが出るんです。脱水するので。。)そんな環境故、特に年配の職人さんはとても危険な環境なのです。よって体を酷使してきた板金屋さんの職人としての寿命は短命なのです。

【職人さんの引退後の道を考えた】

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そんな年配の職人さん達が現場から引退した後も、その貴重な技術を生かし生活をすることができ、社会からその価値が改めて評価されリタイア後も輝き続けることができたらどんなに幸せか。そして引き続き、社会に感動を与えることができないかと考えていました。

私たちが今こうやって職人だと胸を張って言えるのは、そんな先輩職人さんたちが連綿と続く技術を過酷な環境の中、必死に継承してきてくれたから。

それを言葉だけで感謝を伝えるのではなく、形としてあげることが一番の恩返しだと思ったからです。キリッ(`・ω・´)

そして熟考し板金の折鶴をブランド化して作製・販売をするプラットフォームを作りました。


おかげさまで、まだまだではありますが、和國商店(工芸品のブランド名)のホームページに辿り着き、コンセプトに共感してくださり、商品をご購入してくださる方がいらっしゃいます。本当に大変ありがたい事です。

そう、最近は自分用ではなくてギフトとして購入される方が目立っています。兄弟姉妹からご両親へ還暦のプレゼントとしてつかわれたり、従兄弟から祖父母へと米寿のお祝いとして送ったりと。

【板金屋に魅力を感じない】

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業界的に若い担い手が本当に少ないんです。特に板金屋さんは。

ウチの会社の職人さんは20代3人・30代3人・40代2人で形成していて、業界の中ではかなり珍しい会社です。現場では40代は若いね、30代なんてレアキャラ、20代なんて絶滅危惧種とまで言われる世界です。

じゃ、なんでそんな若い板金職人がいないのか。

それは今まで先輩方がやってきた教育手法(必殺奥義「見て覚えろ」の技)が良くなかった説。もありますが、私が思うに一番はこの仕事の「魅力」をつくる事・伝える事ができなかったというのがあると思います。

ただでさえ、技術の会得が難しく、暑い寒いの環境、3Kと言われる。よっぽど、この仕事が好きで好きでたまらないか、プライドでやっているか、鈍感力が高くないと、長続きはしません。私も数々の若い板金職人を見てきましたが、9割は親父と一緒にやっている(私も含めた)親の背中を見てきて育った二世職人でした。そんな世界です。

【予想もしなかった雇用への影響】

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一昨年入社した他業種からの転職した職人未経験の20代スタッフ。なんでこの業界を選んだの?なんでウチの会社に来たいと思ったの?と改めて聞くと、こんな答えが。

「いつか、あんな綺麗な銅板の折鶴が作れるようになれるのならチャレンジせずにはいられなかったんです。」

これを聞いた時、私が考えてた職人の引退後の支援の他に、「技術・企業のPR→魅力づくり→若者の雇用」に繋がっていたのかと発見がありました。

屋根工事を生業としてやってきた私たちは屋根の大切さ・建築技術の重要さ”ばかり”をPRしていたのですが、それは間違っていたんです。

完成した屋根をホームページやインスタにアップして、どや!っても響かない。一般的には屋根は雨漏りしなければいいじゃん。と思うのが当たり前。だったら、希少な板金技術を分かりやすく身近なもの(折鶴)に変化させて、感動を与え、興味をもってもらう。それが『伝え方』なのではないか。

【和國商店の今後】

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今後はその魅力を世界に発信するために海外展開を進めています。

やるぞ~!!!!ってなったこのタイミングでコロナが来ちゃったので、今は技術向上の時間にして、来たるべきタイミングで充電満タンで海を渡る準備をしています。

なにか面白いアイデアがある方がいらっしゃいましたら、是非ご意見ください!!www

内野トモカズ

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