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経営企画部のあるべき姿は?

経営企画部門の方から下記のような「実態」を聞くたびに、「本来は企業経営の中枢を担う部門なのに、勿体ない・・・」と思います。

・管理部門化している
・社長や役員に振り回されるばかり
・他部署から軽んじられている/煙たがられている

この記事では、私が考える「経営企画の役割」を5つに分けて記載します。

①経営陣の意思決定支援

まず、経営陣の思考プロセスを把握し、彼らが重要な意思決定を行うために必要な情報を整理・分析を提供することで、社内で「参謀」としての地位と信頼を勝ち得ていく必要があります。

経営企画がしっかりと機能する利点は、大きく2つあります。
ひとつめは、経営陣の入れ替わりに左右されない安定的な経営ができることです。コーポレートガバナンスの観点から、上場企業では特に重要です。

ふたつめは、経営陣に「彼らにしかできない業務」に集中してもらい、既存の事業活動の積み上げでは成し得ない「飛躍的な打ち手」を実現してもらうことです。例えば、トップ同士の交渉による異業種大手との電撃提携(トヨタ×ソフトバンクなど)やM&A(ヤフー×LINEなど)が当たります。

語弊を恐れずに言えば、経営陣を「洗脳」しながら苦手分野をフォローし、彼らの個性や強みを生かすことが経営企画の究極の姿です。

②全社戦略の策定

各事業の戦略を統合し、企業全体の戦略に統合するのも、経企の役割です。
全社戦略の策定は以下の流れで行うことが多いです。

・各事業部の戦略と計画を取りまとめる
・会社を事業ポートフォリオの集合体と捉え、投資計画を作成する
・継続的な成長を実現するための方策を描く
・事業間の戦略的整合性やシナジー最大化のための調整を行う
・飛躍的な成長を実現する施策を加え、シナリオ化する

重要なのは、「各事業がバラバラに存在するのではなく、同一企業の中で経営されている意味合いはなにか?」という観点です。
一見シナジーがなさそうな事業を複数抱えていたとしても、人材を内部で様々な経験を積ませることで鍛え上げ、「どのような状況にあっても対応できる人材のポートフォリオ」を構築している企業もあります。

※複数事業を有していない場合には、「どうやって第2、第3の柱を育てるか?」という議論になります。

③中長期戦略の立案

全社戦略は、「複数の事業をまとめ、俯瞰的に見る」という考え方でした。
中長期戦略は、「目先の物事から離れ、長い時間軸で俯瞰的に見る」という考え方になります。
「企業のミッション・ビジョン」と「市場や世の中のマクロトレンド」という内外の視点から、会社が進むべき方向性を検討する作業になります。

具体的には、技術や社会の構造的変化を捉え、自社への影響を分析し、将来のシナリオを想定した上で、今後発生する大きな事業機会をどのように手中に収めるか、事業を危機的状況に追い込むリスクをどう回避するか、足元の業績だけを見ていては考えが及ばない部分に目を向け、戦略や事業計画に落とし込んでいきます。

最終的に、「中期経営計画」や「長期経営構想」としてまとめられます。
※上場企業を中心に、これらの一部をIR資料として公開しています。

④戦略の実行支援/経営状況のモニタリング

4半期ごとの業績目標を着実に達成するために、目標数値をKPIや行動計画に分解し、各種施策が着実に実行されるようモニタリングを行います。
見込み値と実績に乖離が生じた際には、事業部とともに背景要因を検証し、改善に向けた取り組みを実施します。同時に、事業部や現場レベルでも適切にPDCAサイクルがまわる仕組みを構築します。

一般に考えられている「経営企画部門の役割」に近いかもしれませんが、
これは「事業部でもやり切れる」業務という点で、他業務より劣後します。
経営企画部はあくまで「自分たちにしかできない役割」に集中するべきで、事業部が自走してできることが望ましいです。ただ、事業部にケイパビリティが不足している場合は支援しなければならないし、彼らだけでは手が回らないところがあれば、その部分を中心に手助けします。

⑤成長戦略の起案と実行

新規事業創出、新チャネル・新分野への進出、海外展開、M&Aなど、どの事業部にとっても「担当外」の全社的な成長戦略を推進することで、企業の非連続的な成長を主導します。

これも、「自分たちにしかできない役割に集中する」、「事業部と協働する場合は、彼らができない部分を中心に支援する」という考え方は同じです。
特定の成長戦略を高頻度で行う場合には、「海外事業部」や「M&A戦略室」などの専門組織を新設・経営企画部や事業部からスピンアウトさせることもあります。

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