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動機付けと目標管理:OKRとMBOの根本的な違い

前回記事の最後に、「OKRとMBOの違いは、動機付け理論とも密接に関係しています」と書きました。今回は、その部分をお話しします。


動機付け(モチベーション)とは?

動機付け(モチベーション)とは、「行動の、①方向性、②活力、③持続性に影響するもの」です。

さらにこの動機付けは、報酬や昇進などの外部から与えられる影響で高まる「外的動機付け」と、外部からの影響なしに、純粋にやりたいという内面から湧き出る「内的動機づけ」に大別されます。

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近年は、「内的動機づけ」ばかり注目される傾向がありますが、内的動機づけと外的動機付けにはそれぞれ得意・不得意があり、絶対的な優劣が付けられるものではありません。

動機付けとパフォーマンスの関係

「外的動機付け」と「内的動機づけ」の違いを対象にした有名な研究に、「ロウソク問題」という心理実験があります。

この実験では、被験者に「この問題を他の人たちよりも早く解けたら、お金を上げますよ」という報酬提示をした場合(グループA)と、報酬提示をしない場合(グループB)のパフォーマンス(どれだけ早く問題が解けるか)を比較しました。

また、それぞれのグループに与える問題も「創造性が必要なもの(頭をひねらないといけないもの)」と、「不要なもの」の2種類を用意しました。
結果は、以下の通りでした。

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つまり、報酬提示があった場合(外的動機付け)は「創造性が不要」な作業のパフォーマンスが上がり、なかった場合(内的動機づけ)は「創造性が必要」な作業のパフォーマンスが上がったのです!

目標管理手法との関係

様々な研究・実験から、それぞれの動機付けは以下の特徴を持つことがわかっています。

【外的動機付け】
・単純作業に向く。
・即効性があるが、長くは続かない。
・対象は選ばない。
【内的動機付け】
・創造的な業務に向く。
・コストがかからず、長く持続する。
・対象が限られる。

前回記事では、「既存の目標管理制度(MBO)で管理すべきものは残しつつ、これまで上手に管理できてこなかった「挑戦や創意工夫を促す」タイプの目標管理だけをOKRに担わせる」とお伝えしました。

内的動機づけは創造性を高める有効なアプローチではありますが、「対象が限られる」という特性も持っています。
大半の業務は、「外的動機付け」との相性がよいと思いますので、「どちらか」ではなく、従来型のMBOを中心に、OKRを「ここぞ!」というポイントで使うとよいでしょう。

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