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自己紹介コンプレックス|それは、永遠に飲み込めないホルモン。

自分は何者か?
どこからやってきて、どこへいくのか。

誰もが一度は脳みそのテッペンを往復させたことのある問いではないだろうか。

なにを隠そう、私は自己紹介が苦手だ。


思えば、小学校のときのように"おなまえ"を言うのさえ、苦手だった。

「ナカタトモエ」その言い方にも様々ある。
どんな表情で、どんな声色で、自分を表現していくか。これからのキャラクターが決まってしまうと思うと、うんと考えてしまう。でも、名前だけならまだまし。

社会人になり、仕事という役割を与えられ、期待されるようになるとお名前だけ...とはいかない。

なんらかのキラキラした目でこっちをみないでください・・といたたまれない気持ちになる。こじらせている。


そもそも、私には歴史がある。
26年前に産まれ、家族に愛でられ、沢山の友達に助けられ、プリンとダンスを愛し生きてきた。

それを?いまここで?端的に?まとめろと?そんな無茶な。無理だ。指の先から手の甲に向けてサァっと血の気がひく。

嗚呼、もう私の順番か。その後の記憶はいつもない。

おそらく、ここまでは共感してもらえるひともいると思う。ただ、私の拗らせはもう少しだけ踏み込んだところにある。

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■それは、永遠に飲み込めないホルモン

にとって自己紹介は、永遠に飲み込めないホルモンに似ている。

想像してほしい。


口のなかで味のしない脂をぬちゃぬちゃと転がし続けて噛みきろうとも、その弾力は強く、奥歯でさえ跳ね返す。私は弱々しくそれを噛み続けなければいけない。噛みきれない。飲み込むには大きすぎて、永遠にそのタイミングが訪れない...そんな感じの強敵である。

正直に言えば、自己紹介に限らず、自分の話をすること自体に、強めの抵抗感を感じている。というかわりと・比較的に・はっきり言って・あえて言うなら、めちゃくちゃ苦い気持ちになる。

単に"自己紹介"が苦手なだけではない。もう少し広い意味で"自己を紹介する"ことがそもそも苦手なのだ。

私は「自己紹介コンプレックス」と呼んでいる。

なぜ、こんなにも自己紹介を拗らせているのか。
これを整理し、さらけ出していくことで、同じく自己紹介が苦手なひとに少し勇気を与えられたら嬉しい。

それから、あなたの周りに「全然自分のこと話さへんやんけこいつ」と思う人がいたら、その人はこんな気持ちなのかもしれない。そういう人への理解の助けになったらいいな。

私のことだから、最後は前向きに終わるはず。


■自己紹介コンプレックスの特徴

私が自己紹介が苦手な理由を分析してみると、要素は5つ。

☑1:誰も私に興味がないと思っている
まず、基本的に「他人は私に興味がない」という前提のもと生きている。
(多くの人は、ここでそっとドン引きする) ここには特に理由はなく、まあそんなもんだろうな、と漠然と思っている。つまり、通常のスタンスでは、自分を紹介する意味を見いだせないままでいる。

※念のため※
ここで正しておきたいのは、それは必ずしも私が他人に興味を持てないということではない。とことん興味を持つことだってある。ただ、私自身に向けられる矢印に限っては盛大な例外だと思っている。

☑2:自分への「無責任な自信」を持てない
また、自分自身の「必要性」を根本的に認めていない節がある。(第二のドン引きポイントはここ) だから、生きる理由として、必要とされることがなにより大切なこと。相手に必要とされていて、私でなきゃだめという状況に価値を感じる。そうでなければ、必要性がわからない。

☑3:変わり続けていく自分でありたい
必要とされるためには、成長し続けること。愛を持ち続けること。常に自分をアップデートしたいという気持ちはここから生まれているのだと思う。新しい知見を得たり、新しいスキルと呼べるものが得られることに喜びを感じる。ずっと変わり続けていく存在こそ、私らしいとは言えるかもしれない。

☑️4:あなたに必要とされる私を紹介したい
他人に必要とされるための自分でいるために、それが私が私を愛する手段のひとつであるがゆえに、その人が欲しい情報を以て自己紹介としたい節がある。だからなりふり構わず、私はこうですよ!というのが苦手なのだと思う。あなたにとって必要な私でいたい。

☑️5:確固として「見られたい自分」がない
私は誰に対してもこういう風に見られたい!というのがない。つまり、私の向かう先がどこなのか?私ってなんなのか?を誰かに伝えることができない → 私のことを知っている人なんていない → 他人は私に興味なんてないというループに入る。


多くの人は「わかること」が好きだ。わかると快感を得られる。いや、本当はわかっていないかもしれないけれど、わかっている気分にさせてほしいのだ。自己紹介コンプレックスの最大のデメリット。ひとに自分をわかってもらうことができない。

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■どうしてこうなった?

私は小さいころから夢がない子供だった。
小学生のとき、七夕で短冊を書くというときに、私は一向になにも書けなかったのだ。親友が「歌手になりたい」と書いているのをみて、心底うらやましかった。

オトナの職業を思い浮かべては、心のどこかで、そんなんなれっこないという気持ちと、なれなかったらどうすんだよ、恥ずかしいじゃん。という気持ちでどうしても書けなかった。夢がなかった。

でも書かないわけにはいかないので、小さい子が好きだからという理由だけで「幼稚園の先生」と書くことにしていた。もちろん、"幼稚園の先生"という職業に夢がないと思っていたわけではない。ただそれが当時一番身近な将来だったというだけの理由で大義も夢もなく「夢」ということにしていた。

なんて面倒で、頭でっかちで現実的な子供だったんだ、と思う。そしてそのまんま26ちゃいになってしまった。


さあ、どう付き合っていく?

自己紹介が苦手な理由と、私はどう付き合っていくと良いと思われるのか。先の5つの要素に対し、それぞれ自分に向けてアドバイスをしたい。

☑1:誰も私に興味がないと思っている
➡家族や友だちの熱心な愛を思い出し、その愛をこの世の全員が持つ可能性は0ではない、と自己暗示をかけた状態で自己を紹介しきるとよい。

☑2:自分への「無責任な自信」を持てない
➡「無責任な自信」を持たなくていいように、いくつかのパターンを用意しておこう。また、多くのひとは誰かをわかりたい。わかっている気分にさせてほしいと、ということに気付くと人間関係がスムーズになったりする。そのために、わかりやすいラベルのようなものを持っておくことは有効だ。

<例>
ー仕事:ブランディングディレクター、ことばとビジュアル、ファンづくり
ー好きな動詞:踊る、写真を撮る、プレイリストつくる
ー好きな食べ物:プリン、スパイスカレー
ー好きな音楽:NEOSOUL、R&B、HIPHOP、FUNK(70~90s)

また必要とされる状況をつくるために、全力で愛を注ぐことにしている。周りに愛を注ぐことが、自分を愛する方法でもあるのだ。私は、私と私の周りの優しいひととの関係性によって形づくられる。できるだけ、愛で満たしていきたい。

☑3:変わり続けていく自分でありたい
➡「変わったね」は褒め言葉であると捉える。だって私は、絶えず成長していくのだから。変わり続けることは、輝き続けるってこと。

☑️4:あなたに必要とされる私を紹介したい
➡自己紹介を強いられる状況において、できるだけ事前にあなたは何を知りたいのか?どういう部分に興味があるのか?もっと言えば私とどうなりたいのか?までを探ってみる。自己紹介をお願いするひとはぜひ、その目的を伝えてほしい。

☑️5:確固として「見られたい自分」がない
➡他人軸になりきれる、つまり色んな顔や言葉を持っていること、思考・視座を色んな立場で使い分けられること、表現の媒体を横断できるということ。と言い換えるだけで強みになる。

例えば、私の仕事のミッションのひとつに【経営者の視点で話を引きだし、それを社員/学生に理解されるように伝えること】がある。

色々な立場の方に意識的な”肩入れ”をできるか?ということは最も重要なことなのではないかと思う。そのときだけは、目の前のひとに全力で染まり、共感し、共鳴する。あとはそれを自分なりに表現すればよい。性質が活かせる環境を選ぼう。


■プリンのてっぺんのさくらんぼ

ここまでの文章で、私は34回もの「」を使っている。もちろん”私は~”という文脈でもないものも含まれるが「自己紹介をこじらせる」というテーマで結果として私について沢山語ったのである。

ここまで書いてきたことにウソはないし、正直な気持ちを書いてきた。少し切り取り方を変えるだけで、コンプレックスを覆すことはできるのかもしれない。

このコンプレックスが本当にほどけるということは、私にとって、自分自身の夢を語れるようになるということ。今の自分に自信はなくても、誰に対しても「私はこうありたい!なっていきたい!」と胸を張れる、自分自身に夢を語れる人になりたい。

いま、誰かに必要とされてなくたって、それを発信することで、必要とされるかもしれない。うまくいこうがいかまいが、その過程こそ人生において最高に美味しい部分になるような気がする。

噛みきれないホルモンもきっと、プリンのてっぺんのさくらんぼになる。

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■そして・・

もし、私と同じように自己紹介コンプレックスに悩んでいる方がいれば、これだけは伝えておきたい。

「私はあなたに興味がある。あなたのことをもっと、もっと知りたい。」

きっと教えてくれたらうれしいな。


中田 トモエ


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