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チャックま ものがたり 1「チャックまと出会った日」

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おなかにチャックがついた不思議なクマ“チャックま”は、チャック界からやってきたチャック族!?普通のクマの子“コグマ”との出会いが、二人の運命を大きく変えていく。友だちの“ジッパン… もっと読む
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#連載小説

1「チャックまに出会った日」 (01)

1「チャックまに出会った日」 (01)

■プロローグ「いのちって、なに?」
「おかあさん、おかあさん」その小さなくまが隣に座る大人のメスぐまに話しかけました。

「おかあさん、いまボクが踏んじゃったこの虫さんは何で動かないの?」
「それはね、コグマ。この虫さんはもう心がこの体から出ていっちゃったからだよ」
メスのくまはやさしい声で小さなくまにこたえました。
「おまえのその手が動くのも、足が野原を駆け回るのも、みんな心がそうしようと思うか

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1「チャックまに出会った日」 (02)

1「チャックまに出会った日」 (02)

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■コグマ その1「キラキラした日常」
 アツギの山の奥深くに、周囲を森に囲まれた小高い丘がありました。高い山並みが向こうの方に見渡せて、その手前には近くの小川に通じる小さな滝が見えます。足元には草が生え、フカフカのみどりの絨毯のようです。春にはところどころにレンゲソウが、ピンクのかわいい花を咲かせました。

 その丘に一匹の小さいくまが住んでいました。その子供のくまには、まだ名

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1「チャックまに出会った日」 (03)

1「チャックまに出会った日」 (03)

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■チャックま その1「チャック界から」 その世界のことは、いまのところ誰も知りません。地球上のどこを探しても見つかりませんし、そんなことは無理ですが宇宙中を探したとしても見つからなかったはずです。でも確かに存在しているんです。(そんな世界が実は無数にありました。もしかしたらみんながおとなになる頃には、普通に行くことが出来るようになっているかもしれませんね

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1「チャックまに出会った日」 (04)

1「チャックまに出会った日」 (04)

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■コグマ その2「異変」 相変らずコグマたち三人一家は毎日楽しく過ごしていました。お父さんのお陰でコグマの身体はしっかりした体型になりつつありました。お母さんのお陰でコグマは相当な物知りになっていたんです。狩りについてはちょっとだけ遅れていましたけど、それはナイショです。

 ところがその三人の生活は、ある時を境に徐々に変わっていきました。

 一つの兆

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1「チャックまに出会った日」 (05)

1「チャックまに出会った日」 (05)

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■チャックま その2「仕事って、なんだろう」 チャックま たちは時空を飛び越え、新しい世界にやってきました。

「さてさて、ここはどんな世界かな?」
ジッパンダがつぶやきながら周りを見渡します。
「木がたくさん生えていて、草も生えていて、緑がいっぱい。空が青くて太陽が照っていて、なんだかとっても気持ちがいいニャー!」
どうやらファスニャンはこの世界が気に

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1「チャックまに出会った日」 (06)

1「チャックまに出会った日」 (06)

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■コグマ その3「急展開」 その日、いよいよコグマのお父さんとお母さんはかなりの遠出を決心しました。獲り溜めてあった食料もずいぶんなくなってしまったので、梅雨の時期を目の前にもう一度しっかりと食料を獲ってこようというのです。

 早めの昼食をコグマと三人で一緒に食べると、お父さんとお母さんは出かける支度をしてコグマに言いました。
「いいかい、コグマ。一人

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1「チャックまに出会った日」 (07)

1「チャックまに出会った日」 (07)

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■チャックま その3「そっくりさん」 チャックま たち三人は、倒れ込んでいる小さなくまの子のところに駆け寄りました。
 この世界にやってきて出会った生き物は鳥や虫ばかりでした。このくまの子は、はじめてまじまじと見るこの世界の生き物でした。しかし、ジッパンダがさわってもピクリともしません。
「死んじゃってるのかニャー」
「いや、気を失ってるだけのようだ。し

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1「チャックまに出会った日」 (08)

1「チャックまに出会った日」 (08)

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■コグマ その4「不思議な出来事」 なんだか話し声が聞こえたような気がして、コグマは目を覚ましました。けれど起き上がってみると誰もいません。
「幻だったのかしら…もしかしてお父さんとお母さんがボクのことを心配して呼びに来てくれたのかな…」

 夜空を見上げると、今日は満月。真っ黒な空にまん丸いお月さまが煌々と輝いています。今日のコグマにはそのお月さまの中

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1「チャックまに出会った日」 (09)

1「チャックまに出会った日」 (09)

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■チャックま その4「ちょっとした決意」「ボクも、お父さんとお母さんのところにいくのかなぁ…」
そのつぶやきを聞き、月に伸ばした小さな手やお腹が減った様子を見た時、チャックま たちはこの小さなくまの子に起こった出来事がなんとなく想像できました。三人は顔を見合わせました。この、チャックま にそっくりな動物を助けてあげよう。そんな共通の気持ちが芽生えていまし

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1「チャックまに出会った日」 (10)

1「チャックまに出会った日」 (10)

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■出会い その1「挨拶」 そのお腹にチャックが付いたくまは、どうやらまだウトウトしていてコグマが起きたことにも気づいていないようです。
「これは…まちがいなくクマみたいだけど…こんなお腹、初めて見たぞ!」
コグマは近づいてその大きなチャックをマジマジと見ていて、そのくまが目覚めたのに気づきませんでした。

「おはよー」
 頭の上から急に挨拶をされて、コグ

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1「チャックまに出会った日」 (11)

1「チャックまに出会った日」 (11)

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■出会い その2「楽しい一日」

 チャックま の説明を聞いていたので、その二人がチャックま の友だちだということがコグマにはすぐわかりました。同じようについているお腹のチャックを見れば一目瞭然でしたし。チャックま がそれぞれの紹介をしました。それからみんなは取りあえずゴロゴロしながらおしゃべりをしました。何しろ気持ちのいい日差しでしたから、のんびりと日

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1「チャックまに出会った日」 (12・完)

1「チャックまに出会った日」 (12・完)

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■エピローグ 三人がチャック界に帰ると、あとにはコグマが一人残されました。

「…帰るところがあっていいな」
 コグマがさっき『この辺り全部がおうち』と言ったのは強がりでした。
帰る場所がないと答えるのは弱気な気がしたし、そんな風に言えばみんなが帰り辛くなると思ったからです。
でもみんながいなくなると、一人になったコグマは寂しさでいっぱいになってしまいま

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