オンデマンド講義の構成

春学期に実施したオンデマンド講義の収録・公開がすべて終了しました。学生の視聴・課題提出はまだ残っていますが、記憶の新しいうちにメモを書き留めておきます。感想を見る限り、講義構成に対する学生の反応は良好だったと思います。

講義の基本情報

講義名:「経済と人間」 
内容:非経済学部向けの経済学入門
履修者数:250名
評価方法:毎回の課題提出+レポート
情報提供:Googleサイト(manabaの負荷分散のため、manabaは課題提出時にのみ使用)

講義サンプル

まずは講義を見てみたい!という方のために、動画を1つYouTubeにアップロードしました。行動経済学を扱った回の動画で、長期的な意思決定について話しています。

https://youtu.be/rC1fycsdx6g

毎回の授業構成

オンデマンドで視聴可能な講義動画を毎回4本前後作成しました。学生は動画を視聴し、課題をmanabaで提出します。

動画の時間
各動画の時間は10〜20分としました。YouTubeの人気動画がこれくらいの時間設定となっているのを参考としました。

なお、現在私が受講しているプログラミング学習サイトDataCampの動画時間は2〜5分程度であり、講義内容によってはさらに短いほうが良いかもしれません。

課題設定
各動画の最後に課題(学部全体の流れに合わせ、「リフレクション」と呼んでいます)を設定しました。「1動画、1課題」の構成を遵守し、学生がわかりやすいようにしました。1つ1つの課題は100字以上と短めに設定しました。

課題は授業で学んだ経済学の概念を、身の回りの事象にあてはめさせるものを中心としました。(例:「あなたが購入したことのある財の中で、スイッチングコストが高かったものについて述べてください」)

これらに加え、授業全体の感想も最後に記述してもらいました。

課題への返答
課題への回答はすべて目を通し、回答に対するコメントのスライドおよび動画を作成しました。コメントではまず全体的な回答傾向を伝え、その後気になった回答を紹介してコメントしました。

このやりとりは教員との会話のないオンデマンド講義では重要だと考え、力を入れました。スライドは10枚以上、動画は20分を超えることもしばしばありました。履修者が多いため回答を見る時間もコメントを書く時間もかかりますが、学生の反応は良好であり、力を入れて良かったと思っています。

オフィスアワー
本来の授業時間はオフィスアワー@Zoomとし、講義内容をざっと振り返り質疑応答をしました。講義前半は10数名の参加がありましたが、後半は数名程度に減少しました。

上記で説明した回答へのコメントを丁寧にしていれば、リアルタイムでのオフィスアワーはなくても良いのではないかと感じました。ただし、これは講義内容と課題内容に依存すると思われます。

動画作成方法

動画作成本数が多いため、1本1本の質には目をつぶり、効率的に収録できるよう心がけました。あくまでライブ授業の代替であり、素晴らしい動画を作ることは目的でないと肝に銘じて作業しました。

動画はPowerPointを用いて作成しました。普段はMacを使っておりスライドはMac版で作成しましたが、動画収録にはWindows版を用いました。

動画収録においてはWindows版とMac版で機能が異なり、Windows版のほうが機能が豊富です。スライドに紐付けて動画が収録できるのが良いです。

動画には教員のワイプ画像を画面右下に配置しました。顔が見えることは視聴意欲向上に一定の効果があると考えています。ワイプ画像が入ることを前提にスライドを作る必要があります(例.右下を空ける)。

動画収録は、初期は不慣れであったためリハーサルを行ったり、何度も収録し直したりしていました。慣れてきてからはリハーサルなしの一発録りを基本としました。多少言葉に詰まったり言い間違えたりしても無視することにし、どうしてもひどい場合のみ再収録しました。

動画は編集を加えず、PowerPointからエクスポートしたものをそのまま公開しました。

その他

・オンデマンド講義に限りませんが、スライド1枚あたりの情報量は落とすよう心がけました。適宜いらすとやの画像を挿入しました。

・1回あたりの準備所要時間は、資料作成が半日〜1日、講義収録+アップロードが半日、といったところでした。オンデマンド講義ではアップロードする資料がすべてであり、その場での補足ができないので、結局過去の資料は大幅改訂することになりました。

・オフィスアワーとは別にZoomおよびYouTubeLiveでのコミュニケーションを試みました。参加者は10〜30人と多くはありませんが、不足しがちなコミュニケーションの機会ができたと思います。家にこもりがちな自分のためにもなりました。今後も定期的に実施します。

おわりに

講義動画作成にあたっては、様々なWeb上での情報やTwitterでのやりとり、知り合いでの情報交換が役立ちました。情報をご提供いただいた皆さんに感謝します。