胡蝶炎舞(こちょうえんぶ)

舞い降りた。

それは きっと 偶然じゃない。

引き寄せた運命だ。

仄暗い照明が 薄い影を創りながら 追いかけるように 僕らを照らす。

焔のように 燃え上がった お互いの心臓で お互いの最深部を 探り合う。

「あ…そこ…」

僕は 捉えた。

そして それを 見逃すはずもなかった。

押し寄せる衝動に 身を任せると 君の汗と艶やかさが 光り輝いた。

その姿は 蝶が 羽を震わせ 鱗粉を 撒き散らすようで。

悶えながら 視線を 動かす君を 身体は 激しく 視線だけは 冷静に 瞳を 覗き込んでいる。

「綺麗だ…」

決して 頭が 回っていないわけじゃない。

ここまでの全てを どう考えても 行き着くのは その言葉以外に 無かった。

「マジメな顔で 言わないでよ…恥ずかしい。」

紅潮した頬と身体が 物語る快楽を 隠すように ウラハラに 翻弄する。

「そんなのも キライじゃない 僕がいる。」

もう1度 捉えた 快楽の入り口へ 案内する。

そのはずなのに 1度目よりも その鱗粉の量は 増すばかりだった。

タンゴを奏でるように 貪り合う。

収穫することは出来ないのに 必死に 果実を 求めた。

蕩けるように 押し寄せる波は 回数を 重ねる毎に 高くなっていった。

『全身』を 駆使して『全心』を 感じとりたいと 願ってしまうほどに。

「わたし…もう…!」

繋いだ両手への 君からの力が 最果てを 告げていた。

新調したばかりだと 知っている 君のネイルが 食い込んでいることに 気付けないまま 呼吸さえも 忘れた。

上下する心臓が 徐々に 穏やかさを 取り戻していく。

掌に 納めるように 蝶を 引き寄せる。

「大好きだよ。」

燃え盛る炎を 彷彿とさせる宴に『終了』という 概念なんて 有りはしなかった。

僕らは 何度でも 舞い踊る。

※この作品は あたすが よく飲ませてもらっている お店のお姉さんによる リクエストに 応えてみたモノになります笑

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