見出し画像

ある晴れた日のインド料理店

あれ。外食したの?、、、あかんでしょ、、、とか言われたりして。
あのね、これには訳が。。

先日、キーマカレーを作ったので、ナンでも買ってくるか、と近くのインド料理屋へ行ったのです。
チャリンコちりんちりんしながら。

そしたらね、だだっ広いお店の中に、人はいないのです。
創り物のインド象とか、彫物の耳に輪っかつけたお姉さんはいましたが。
そして、入り口に等身大のダンボールポスターが。。

なーに考えてるだ、ここのマネージャーは、、 
と店に入ると、、、そのマネージャーがいない。

よくよく話を聞くと、2月頭にインドに里帰りしたマネージャーは、今回のコロナ感染の拡大で、インドから出られなくなっていると、いきなりシビアな話が始まりました。

元々インドはヒンドゥー教信者が多い国。
コロナに対する対処は当然並外れに厳しいのだそうです。

警官は夜な夜なライフルを持って見回り、家から出た
ところを見つかると射殺されると、先日ラインでいてたよ、と。

殺してしまったのでは身も蓋もない。

マネージャーの力でやってきたこのお店、今週から3時から5時迄のランチのみ、としたけど、

「そんなことしなくても、もうお客さん来ないよー。 」

「閉めるしかないよー。マネージャーに叱られるよー、 」

「でも謝るよ、ちゃんと店守れなくてごめんよーて。 」

何かできることない? と聞いたところ、

「しばらくお別れだね、でも私たちはどこへもいけないんだー」

「カレーたくさんあるよ、食べてってよー 」

「ナン焼くから、食べよー」

「ぜったいまたひらくよー、忘れないでよー」 と。

つい先ほど、自分でハンバーガー作って食べたことなどすっかり忘れて、食べちったよ。
スペシャルランチ、サービスのサラダとガーリックパンが付いてきた。。笑

たまたま今回インドに帰らなかった為に、妻子どもが心配。でも両国共出入国禁止規制で、当分の間自国に帰れない三人のインド人と、けらけら笑いながら、半分英語で半分わけわからない言葉、そしてたまに涙が溢れたりしながら、楽しく過ごしてきました。

この数日後の今日、緊急事態宣言がありました。

この日以来インド料理屋の前は通っていませんが、
日本語も拙いインド人の男性三人で、しっちゃかめっちゃかになりながら、今も何とかお店を開いてくれてるといいなあと思っています。

金沢の街中は閑散としていますが、
家の中や建物の中では、熱い心を持った私たちがもう二度とあってはいけないコロナシーズンの終焉を、待って待っているのです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?