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沖縄のおねえさんから教えてもらったユタの話

私は東京生まれ東京育ち、東京在住なので、東京のことにはそれなりの知識はあるが、それ以外の地域についてはまだまだ知らないことがたくさんある。これは私が23歳くらいのときに沖縄のDFSで働いていたお姉さんと仲良くなり、店頭でお話をしていたときの話。

お姉さんと色んな話をしていて、お姉さんに月9(月曜9時からのドラマを指す言葉)が通じなくて、あれ?って思ったら、東京では月9だけど、沖縄では放送される時間が違うらしい。「笑っていいとも!」もお昼12時からじゃなかったらしい。東京と沖縄ではいろんな違いがあるんだなぁと思った。

なんでそんな話になったのだか忘れてしまったけど、私がどこかで動物の死体をみた話になった。
「かわいそうだと思うけど、何もしてあげられないんですよねぇ」
というと、お姉さんは
「沖縄ではそういうのは、かわいそうって思ってはいけないんです。魂が落ちる、抜けちゃうので。」
「え?」
「よくわからないけど、かわいそうって思うと心を持っていかれるというか魂がそこに置いていかれるんです。」

全く分からない考え方だったので深く聞いてみた。

「私が一時期、どうも体調がすぐれない時期があったんです。何をしても集中できない。お母さんが心配して、知り合いのユタのおばあさんに相談しに行ったんです。」
「ユタって身近なんですか?」
「そうですね。何か困ったことがあったら相談する。沖縄の人なら、たぶんどのおうちも知り合いのユタっていると思いますよ。」

ユタに会ったことはない。お祈りする場所で祈ってる方がいて、ユタなのかな?って思ったことはあるけれども。

「そのユタのおばあさんに私のお母さんが話をしにいったら、ユタのおばあさんが、あなたの娘は道で死んでいた猫をかわいそうって思った。だから魂がそこに落ちていて、抜けてしまっている。もう一度魂を入れ直すから、娘を連れてきなさいって言われたんです。」
「魂を入れ直す?」
「そうです。沖縄ではよく言いますね。魂が落ちるって。」
「で、魂を入れ直したんですか?」
「そうです。そのユタの言う通り、私は学校の帰り、道で死んだ猫を見たんです。かわいそうだって思った。その場所に私の魂は抜けて落ちてしまったんです。ユタのおばあさんと一緒に、その猫を見た場所まで行って、その辺りに落ちてる私の魂をもう一度入れ直す儀式をしました。そしたら、体調も直って、元気になったんですよ。」

とても不思議な話だった。お姉さんは続ける。

「猫がそこで事故にあったのはそれが猫の寿命で決まっていた運命なんです。それはかわいそうなことではないってユタは言ってました。かわいそうって思ってはいけないそうです。」

「魂が抜けることはよくあるんですか?」

「そうですね。びっくりしたり、ケガとかしたときに魂が落ちるっていうのはよく聞きますよ。子供とかがケガしたら、ケガした場所に行って子供の魂を戻す儀式をします。」

そのときは、まだ若かったので「不思議な話だなぁ~」としか思わなかったが調べてみた。
魂のことを沖縄の言葉でマブイ、またはマブヤーという。
魂を戻ずことをマブイグミというそうだ。
ユタがやることもあれば、お母さんやおばあさんがやってくれることもあるらしい。

沖縄のこういう文化はとても興味深いし、かわいそうと思ってはいけないっていう考え方もとても面白いと思う。

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