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心の波に揺れながら

ちょっと前にAudibleで、瀬尾まいこさんの「夜明けのすべて」を耳読した。

それぞれ生きづらさを抱える藤沢さんと山添くんの物語なのだが、瀬尾さんの包み込むような優しい筆致で綴られる世界に、私も自分の経験を重ね合わせながらどんどん引き込まれていった。

前述の藤沢さんは、PMS(月経前症候群)といって、生理前に現れる腹痛やイライラなどの身体的・精神的な症状に苦しんでいる。
人によって症状や程度は千差万別なので、一概にこれ!と言えず、「あの人、何カリカリしてるんだろう?」とか、周りからの理解がなかなか得られないものでもあるPMS。
藤沢さんの場合、生理前になるとイライラが止まらなくなって、些細なことでも怒りが爆発してしまう。

私の場合も、身体的な症状というよりかは精神的なほうが大きく、特に生理の前日や前々日になると途端にメンタルの波が荒波になって、自分でもコントロールが難しくなる時がある。

先日は、まさにそんな日だった。
その日は体もだるくて、「あぁイライラするし、生理が近いなー。」と、直感。仕事ではとにかくエネルギーを消費しないように意識して、頭の中も常にザワザワするので、細かい作業や確認が伴うようなことはなるべく避けるようにした。

そんなこんなで仕事を終え、帰宅。私よりも夫のほうが帰りが遅いので、休みたい気持ちはあったけれど料理を始める。疲れていたけれど、正直ここまでは良かった。メンタルも安定していた。

「ただいまー。」
夫が帰宅。もうすぐで料理が終わるというタイミングだった。
夫はリビングに入るなり、大きなため息をついて、「つかれたーー。」を連呼。

これがアカンかった。

その瞬間、色々込み上げてきて、頭では「やめとけ、やめとけ」って止める声が聞こえているのに、
「私だって疲れてるけど頑張ってるのに、何でそんなこと言うの!?」
と、キレてしまった。
いつもは気にしないことでも、この日は耐えられなかった。怒りが湧きあがり、どんどん涙が溢れてきた。
そして、「もういい!」と言い捨て、部屋に籠もった。

あーあ、やっちゃった。
普段なら全然キレるところじゃないし、やっていることは目茶苦茶だし、自分が一番自分が何をやっているのかわからない。まさに混乱・混沌。
で、この後来るのは、自己嫌悪。メンタルは、大しけ状態だ。

ホルモンのせい。と言えばそれまでだが、結局、1か月間で体も心もすこぶる絶好調!という期間が7日ぐらいしかないのは非効率的というか……。それで仕事も家のこともとなると「無理ゲー」と、思ってしまう。

幸い、付き合っている時から包み隠さず生理やPMSのことは話しているので、夫は私のアップダウンもよく理解してくれていると思う。そこに甘えてしまっているので、申し訳なさも感じているけれど。

それと同時に、自分で自分を苦しめているなぁとも思う。
しんどくても、「仕事も家も頑張らなければ」という思い込みみたいなのがあって、それは私個人の問題というより、この社会で女性として生きてきて、知らず知らずのうちに刷り込まれたもののせいでもある。
もうずっとそういう文化というか構造の中にいたわけだから、頭では「自分に染みついて苦しめているのはこういう価値観のせいだ」とかも分析できるわけだけれど、実生活ではなかなか改められない。
「女性たるもの、妻たるもの」みたいな自分の中のもうきっと核の一部のようにすらなっているものを無理やり変えるのって難しい。
でも向き合わないとどんどん生きづらくなるんだろうな……。とは思うけれど、やっぱり堂々巡りが止まらない。結論が難しいけれど、私みたいな思いを抱えている人ってたくさんいると思う。

いつか自分のことを許して、解放できるのかな。完璧でなくてもいい、自分なりのペースで進んでいけるように。




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