誰かが歌い出せば
誰かがそこに声を合わせる
それがやがて美しいハーモニーとなり
ぼくらは自然に笑みがこぼれた
階段の最上階のわずかなスペースに
ぼくらは思い思いに立ったり座ったりしたままで
あの頃のメロディを口ずさんだ
そうだ、この歌は君やぼくがまだ10代だった頃に歌った歌だ
その歌を歌う度に
目には見えない音の繋がりに温もりを感じたものだ
まだ見ぬ未来に夢が広がったものだ
そこに君がいればどこにいてもぼくらの居場所になった
夜の公園や河川敷や街中でも
こわいものなんてなかったし
ただひたすらに今日にときめいて生きて
明日も良いことがあると信じていた
そう思えたのはやっぱり君がいたからだ
ぼくは友を探してこの街に来たんだ
そしてあの限られた青春時代を懸命に生きた友を
ぼくは自然と戦友と呼んだんだ
だって故郷を遠く離れて
慣れない街で
確かに精一杯に戦っていたんだもの
何と戦っていたんだろうか
それは限られた青春の中で
誰も教えてくれない人生の問いに対して
自分だけの答えを見つけるために
毎日と戦っていたんだ
ある者は肩がちぎれそうなほどの夢を背負い
ある者は居場所というものを自問自答しながら
そしてぼくは夢を叶えるまでは故郷に帰らないと心に決めて
あれから二十年
それぞれが戦っていたものから
もう答えを得ている
皆があの日の旅路の未来にいる
皆、幸せになったんだ
よかった
夢の中で何度も再会していた友に
ようやく会えた
その人生の途中では
互いに受け入れられないものもあったかもしれない
しかし、長い長い年月の中で
ぼくたちはまた始まりの日に戻っていたみたいだ
初めて出逢った頃のように
物語が始まる前みたいに
ただただ、友達に戻ったんだ
こんなに笑ったのはいつ以来だろう
大切な宝物をぼくらは持っている
それは変わらない友だ
最後にぼくらは
初めて出会ったあの駅で
言葉もなく抱き合った
次にまた会えるのはいつかわからない
言葉はなくても互いの心は伝わってくる
だけどまたぼくも君も歩き出すよ
だってもうぼくらは
止まらない旅路を進んでいるんだもの
そこには一人じゃないんだ
帰る場所があるんだ
もう行ってしまいなよ
ぼくも行くからさ
ぼくはこれ以上ない素晴らしいエンドロールを眺めた
たくさんの夢と挫折がごった返しては吐き出されるこの街で
確かにぼくらは生き抜いたんだ
電車がその駅を通り過ぎるまで手を振り
また次の街へゆくよ
そしてきっとまた帰ってくる
友に会えるこの街に
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
明日もあなたに良いことがありますように♪