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海岸なのに海は見えないのだった。 大男が大きなオートバイに乗り 砂浜を颯爽と横切ろうと…
夕闇の荒野をひとり くたびれた旅入が歩いていた。 遠く人家の灯りが見える。 頼めば泊めて…
若い頃、煙草を吸いすぎて気持ち悪くなり、 目を閉じて項垂れていたら 幻聴が始まった。 遠い…
あら、ダメよ。 まだまだ我慢して。 あせっちゃ、ダメ。 まあ、いやな目。 そんな顔、しない…
真夜中、見知らぬ女が訪れる。 「助けて。退屈のあまり死にそうなの」 なるほど、そんな顔を…
クルマは高速道路を走っていた。 「えっ、なに?」 返事がなかった。 「なんだよ?」 やはり…
意識の底へ沈もうと思う。 潜水艦に乗って 深く深く・・・・ まずハッチをしっかり閉める。 水漏れは死を意味する。 二度と浮上できなくなる。 小さな丸窓から意識の海が覗き見える。 ありふれた欲望や不安の魚が泳いでいる。 光が失われてゆく。 サーチライトを点ける。 双頭のウミヘビが視界を横切る。 閉じたり開いたりする洞窟のいびつな門。 漆黒の闇の奥で胎児が泣いている。 聞こえぬはずの泣き声さえ聞こえる。 オギャー オギャー オギャー 海ユリが鯨を飲み込もう
ひとり、小学校の砂場で遊んでいた。 砂を寄せ集めて城を作るつもり。 なかなか立派な城がで…
いかがわしい音がホールに鳴り響き、 あやしげな光が舞台を照らし出す。 やがて美女の登場。 …
水槽の中、尾びれを振って泳いでいる。 エラ呼吸なんかして、ほとんど魚だ。 水槽の外では好…
水晶池には、奇妙な伝説があっての。 昔、ある坊さんが村にやってきて 山を掘って水晶の塊…
「いっそ、私を殺して」 「それなら、一緒に死のう」 若い男女が心中することになった。 理…
僕の秘密の遊び場は小学校の裏山にある鍾乳洞。 入口は、お地蔵様の並ぶ崖の下。 ここに入る…
客と商談中なのであった。 なかなかスムーズに進行していた。 ところが、ふと私は気づく。 客から受け取ったばかりの書類がない。 大事なものを紛失してしまった。 テーブルの上を捜しても見つからない。 あわてて自分のバッグを開ける。 安物のバッグが破れ、中身が床に散らばる。 とんでもないものがゾロゾロ。 あられもないものがゴロゴロ。 その恥ずかしい事と言ったらない。 人間性を疑われてしまったに違いない。 あせって席を立ち、急いで拾い集める。 客の視線が背中に突き刺さる。