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箱夢の話集 第四集

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2021年7月の記事一覧

【SS】諦めなさい

私はピコモラゲを抱えて審査会場に向かった。 準備に三年、制作に丸一年かけた苦心の作である…

Tome館長
2年前
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【SS】歴史介入者

産院で息子が生まれた。 と喜んでいたら、歴史介入者が現れた。 「この子は将来において、恐…

Tome館長
2年前
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【SS】秘密基地

雑木林を抜けると、ちょっとした広場があった。 近所の子どもたちの遊び場だった。 寺の裏山…

Tome館長
2年前
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【童話】不釣合いな夢

一個のタイヤだけで一軒の家くらいもあるような  大きな大きな大型トラックには、夢がありま…

Tome館長
2年前
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【SS】浮気なキノコ

妻がとんでもない奇病を患った。 夕飯の食卓で妻が文句を言う。 「あなた。もっとおいしそう…

Tome館長
2年前
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【エッセイ】騒がしい

目を覚ましたら真夜中で、窓の外が騒がしい。 「殺されるよー! 誰か助けてよー!」 そんな…

Tome館長
2年前
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【SS】戻れない

全員が渡り終えると、綱は切られた。 吊り橋とともに敵の幾人かが奈落の底に落ちてゆく。 「もう戻れない。我々は前に進むしかないのだ」 崖に背を向け、長老は厳かに言った。 だが、長老は一歩も進むことができなかった。 深いしわが刻まれた顔をゆがめ、口から血を吐き  そのまま前のめりに倒れたのだ。 その背に矢が刺さっていた。 別天地での最初の仕事が墓掘りとは不吉である。 だが、深く掘ってやる余裕はなかった。 新しい長老には私が選ばれた。 他は若者と子どもばかりである。

【怪談】夜の窓

実家の二階で探し物をしていた。 ただし、何を探していたか忘れてしまった。 夜になり、窓の…

Tome館長
2年前
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【童話】高そうな牛

ひとり田舎道を歩いていたら  向こうから一頭の牛がやってきた。 大きな牛で、しかも金色に…

Tome館長
2年前
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【SS】遊びの極意

老犬が猫のところにやって来た。 「わしに遊びの極意を教えてくれんかの」 猫は日向ぼっこを…

Tome館長
2年前
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【SS】踊れや踊れ

おれは踊りに夢中になっていた。 こんなに盆踊りが楽しいものとは知らなかった。 笛や太鼓の…

Tome館長
2年前
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【SS】目覚めの季節

春になって気候も暖かくなった。 すると、冬眠から覚めたばかりの蛇が 彼女の腹からウジャウ…

Tome館長
2年前
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【SS】流れ星

ぼんやり夜空を見上げていたら   天の川が流れていることに気づいた。 本物の川の水のように…

Tome館長
2年前
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【SS】お使いの帰り

お使いの帰りに寄り道して すっかり遅くなってしまった。 母さんから頼まれたお使いは 隣の村の本家の家まで行って 約束のものを預かって戻ること。 その約束のものは風呂敷に包まれてるから 決して中を覗いてはいけないよ、とのこと。 そんなこと言われたら絶対に 中を覗かないと気が済まなくなることくらい どうして大人はわかんないのかな。 あたいは村の境の橋の上で風呂敷包みを開け その中身を見てしまった。 それで死ぬほど驚いて橋から転げ落ちて そのまま川に流されて ちょっとばか