「クロエ(2009)」美しい人を語る 7回目の映画

※前半ネタバレなし、後半ネタバレあり
※この記事の内容はあくまでも個人の解釈です  
どうも、美しいものが大好きな奇成(キナリ)です。

外面、内面美しさは多種多様だが、光輝く美しさは内に濃く暗い影があるからこそ、より美しく感じるのかもしれません。
例として浮かぶのはグリフィスですかね。いや、彼はいろいろ超越しちゃったのでノーカンかな。

とゆうことで今回は映画「クロエ」についてです。

0.作品紹介

原題「Chloe」/2009年/ R15+
アメリカ・カナダ・フランス合作のアメリカ映画 
ジャンル:官能/サスペンス  
2003年「恍惚」のリメイク作品

◆あらすじ
仕事が忙しくなり、家族関係が希薄になっていたキャサリン(ジュリアン・ムーア)。
ある日、大学教授の夫デヴィッド(リーアム・ニーソン)の携帯に教え子との浮気を思わせるメールを見つけてしまう。
浮気を証明しようと若く美しい娼婦のクロエ(アマンダ・セイフライド)に夫を誘惑させ、夫がどんな行動を取るか報告するよう依頼するが.....。

その他キャスト
マイケル:マックス・シエリオット

スタッフ
監督:アトム・エゴヤン
製作:アイバン・ライトマン
脚本:エリン・クレシダ・ウィルソン

1.二人の主人公 ※ネタバレなし

「秘密のかけら」のアトム・エゴヤン監督に加え、
「毛皮のエロス」の脚本家も参加。
この時点でかなり好みが分かれる作品だと上記の作品をご存知の方は察することでしょう。ただ今作は何と言ってもキャスティングの素晴らしきこと

アマンダ・セイフライドとジュリアン・ムーアの共演。

二人とも大好きな俳優ということもありますが
現実に生きる”中年の危機”を感じるキャサリンと幻想を演じる若いクロエを対象的な美で見事に演じています。
そしてストーリーがより二人の美に深みを与えていました。

とは言いつつも現実の二人だけでなく、
鏡やガラスの演出にも是非、注目してみてください。

二人の主人公についての考察がさらに弾むと思います。
ちなみにNetflixで視聴可能です!





↓↓ここからネタバレあり↓↓




2.渇望※ここからネタバレあり

冒頭では汚れた姿見で美しく着飾る自信に溢れたクロエのショット。

キャサリンは夫デヴィッドのために、誕生パーティーで真っ赤なドレスを纏い若々しい印象です。しかしデヴィッドが帰宅しなかったことで、自信をなくします。その状態の場面での彼女は、暗めのドレスを着ています。

その後、綺麗な鏡で化粧を落としきったキャサリンのショットが入り、
彼女がミッドエイジ・クライシス(中年の危機)の憂鬱を抱えていることが鏡を通じた対比で強調されてます。

■鏡の世界
キャサリンは夫に愛されるための若さを渇望し
クロエは愛を渇望をしています。
物語が進むにつれ、二人は互いにその渇望を相手の像に重ねてゆきます

出逢いの場面では別の鏡に映り込んでおり、まだ二人に距離があります。
しかし、ホテルの一室ではそれが変化します。
入った時点では同じ鏡に映っているとはいえ、キャサリンはクロエに背を向けています。クロエの話を聞き終わると、キャサリンは彼女に近づき、次のショットで鏡の中で顔を合わせます。
この瞬間にキャサリンは望みとクロエを完全に重ねてしまい、
クロエはキャサリンが望む若さを演じきることで、彼女の気持ちを自分の方に向けることに成功します。

そして二人が交わる夜は、大きな鏡に二人の姿が映し出されます。
二人の像が重なり、鏡の世界でキャサリンは若さをクロエは愛を、望むものを相手にみいだします。

この場面をきっかけにキャサリンの魔法が解けます。
つまり、クロエは愛をさらに強く望んだことで、自我に目覚め、幻想を演じきれなくなり、結果的にキャサリンを現実に引き戻してしまうのです。

鏡の世界に取り残されたクロエは、キャサリンの代わりに彼女への愛、そして自分の分身である髪飾りと共に映り込みます。

最後にポツンと映る意味深なあの鏡は一体.....

3.現実とファンタジア

次に、ガラスの演出について触れていきたいと思います。
キャサリンの現実は仕事と家族、彼女にとってクロエはファンタジーの女性でした。
前半にキャサリンが仕事場の窓から時折クロエを眺める描写があります。
全く違う生き方をする二人の世界はガラスによって分断されています。
しかし、クロエと関わっていく内に彼女が仕事場に来るようになり、ガラスの内側(キャサリンの日常)に入り込んできます。

最終的にはキャサリンの最も大切にしている家族との空間、家(ガラス張り)にまで入り込み、彼女の現実を犯していきます。

ラストシーンの直前、二人のキスをガラス越しに見つめる息子マイケル。
彼女の現実であるはずの家族とガラス越しに分断されたキャサリンは自分の世界を取り戻すため、ファンタジアであるクロエを突き放します。

ガラスの割れる音と同時に、現実とファンタジアの境界は崩壊します


崩壊後、クロエは彼女の現実から消える選択をすることで、彼女の世界の一部になります。

4.おわりに

正直に言うと1回目には髪飾りに目が行ってガラスと鏡の演出には気づきませんでした(笑
細かい所まで演出を凝らしているんですね~。
漠然と観てしまわないよう次回からは気をつけていきたいです。

最後まで読んでいただき感謝感激雨あられ

ではまた!

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