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たとえ厨二病と言われても

僕は今年26になった。
そもそも26の世代で未だにがっつりとこのジャンルの音楽を好んで聞いてる人口がどれくらいいるのか気になるところでもあり、周囲を見渡せばもっといい歌詞を歌っているアーティストをよく聞いているメンバーも多い中で「いい加減この趣味卒業しないとなぁ…」となんど思ったか…数えだしたらきりがない。

それでも僕は中学時代に僕を救ってくれたこのジャンルが好きだし、きっとこれからも聞いてくのだろうと思う。
予め断っておくが、僕だっていわゆる普通のJ-POPも聴くし洋楽を聴くことだってある。
ただ、日常的にこのジャンルの音楽を聴くことが生活の一部に溶け込んでしまっていてこればかり聞いているというだけである。

それでは聞いてください…
たとえ厨二病と言われても俺はヴィジュアル系を聴き続ける

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僕とビジュアル系との出会いは中学1年のはじめに割り当てられた机に掘られていた傷からだった。
当時、僕は小学校からのいじめが悪化してクラスの中でも今とは違う意味でびっくりするぐらい浮いていた。
朝、登校すれば上履きに画鋲なんてザラだったし一時期花瓶が机に置かれていた時期もあった。
からかいだったとしてもクラスメイトと会話するほうがむしろ珍しいくらい同学年の中では、なぜかターゲットになっていた。

そんな中でありきたりにゲームとインターネット、音楽に逃げ込んでいた。
当時は2000年初期だったから、ORANGE RANGEとかAqua TimezとかMr.Childrenとかが凄い流行っていた。
勿論僕も聴いていた、当時はiPodもまだ出てなかったからTSUTAYAでCDをレンタルしてきてはMDにめっちゃ手間かけながら落としていた。
(今考えると懐かしいし、めっちゃめんどいことしてたねw)

ただ、その当時J-POPに感じていたことは「みんな良いことか、恋愛ソングしか歌わないんだな」という印象だった。
実際は違ったのかもしれない。
でも、当時26年の人生の中で一番ダウナーだった僕にはとてもじゃないが素直に聴き入れられるものではなかったのだ。

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LUNA SEAはやっぱり凄いバンド

そんな中、中学に入学し最初のクラスで割り当てられた机に掘られていたのがあのLUNA SEAだった。
当時は「なんじゃこりゃ?」程度にしか思っておらず、何の気なしにネットでググってみた。
ググって初めてバンドなんだなということを知り、初めて聴いた曲がROSIERだった。
https://www.youtube.com/watch?v=ULSia2vXPWE

初めて聴いた時、衝撃を覚えて鳥肌がたったのを今でも覚えている。
特にこの歌詞

夢のない この世界

当時の僕にはピッタリの言葉だった。
夢もへったくれもない、明日どうやって無事に過ごすか。
どうやって学校をサボるかしか考えていなかった僕にとってはまさしく夢のない世界だった。

この夜にかざした細い指先
答えを探し求めている

更に歌詞はこう続く、そしてサビで

揺れて揺れて今心が 何も信じられないまま
咲いていたのは my rosy heart
揺れて揺れてこの世界で 愛することも出来ぬまま
哀しい程 鮮やかな 花弁の様に

と語られている。
これがたまらなかった。
当時ダウナーだった僕にとって、初めて自分の感情を代弁してくれているアーティストに出会った気がした。

何より、自分の感情を外に出して良いのだということをこの時初めて知った。
家に帰れば母親がいつもイライラしている。
妹と僕はそれに怯えながら母にとって間違いのない過ごし方をすることしか考えていなかった。
父親は母に逆らえなかったし、ただでさえ寡黙な人だったからそれが更に母の癇癪に拍車をかけて、家の中の雰囲気は常に一触即発だったのを覚えている。

当時、いじめられていることも学校を辞めたいということも母に打ち明けたことがあったがそれも受け入れてはもらえなかったこともあって、自分の感情を表に出してはいけないのだと庵に感じていた。

それがこの曲、このバンドと出会って大きく変わった。
おかげで高校からは、その反動もあってとんでもない明るいチャラ男に変貌を遂げてしまうのである…。
(僕の間違いはあのときの進学先選択だったことは間違いない…)

そこからは早かった。
他にどんなバンドがいるんだろう…と純粋に興味を持ち始めて、当時Wikipediaに記載されていたヴィジュアル系アーティストを片っ端からYou Tubeで聴いていった。

そして、中でも気に入ったいくつかのバンドの曲を当時は海賊サイトも普通にあったから、そこから落としたりYou Tubeから音源だけ落として聴いたりして日々を過ごしていた。

結果、中学3年間で部活が引退する3年の夏までいじめは続いたが、ヴィジュアル系に救われて、軽度の引きこもりをする程度で無事卒業することができた。

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これが沼というやつか…

ここまでなら、高校に入ったら普通の音楽聞けばいいんでね?という感じがする。
僕自身もそう思う、当時僕が仲良くさせてもらっていたメンバーはみな洋楽を好んで聴いていた。

ところが、そうはいかなかった。
当時はけいおん!まっさかり、みんなこぞって軽音部に入部していたし、入っていなくても何かしら楽器を嗜んでいた。
更に輪をかけたのが、交友関係だ。
当時Fate/Stay Nightにドハマリしていた僕はいわゆるヲタク系の友達と毎日ゲームをするかゲーセンに行くかという生活を送っていた。
ご存知の方もいるだろうが、ヴィジュアル系というのはアニメ主題歌に起用されるほど、テンポやメロディーラインがアニメのOP/ED向きだったりもする。
その影響があってか、他のアニソンや音ゲーに入ってる曲もアップテンポだったり泊が短いものが少なくない。

そんな生活で、ヴィジュアル系熱はますます増していっていた。

彩冷えるから始まり、アリス九號.、ナイトメア、ガゼット、キャンゼル、アンティック-珈琲店-、vistlip、ViViD、R指定…あの当時つぎ込んだバンドは数え始めたらきりがない…
今でこそ、海外での活動やアニメ起用も増えてきたり、以前に比べて世界観や歌唱力、演奏力が上がったバンドも増えてきて、過去のバンドのCDも購入しやすくなってきているが、当時ですら廃盤になっていて中古店を探し回ったりして購入するようなこともしていたので、本当にとんでもない金額を投入して聴いていたと思う。

ライブにもどうどうとヴィジュアル系の格好で参戦してたし、母親の入院を堺にこれ幸いと金髪やインナーカラー、アッシュと相当キューティクルにもストイックな環境を強いてきた。

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暗くなって、ネガティブになって何がわるい

ヴィジュアル系の何が良いのか…
ヴィジュアル系といえば
・ネガティブな歌詞が多い
・メンヘラが多い
・真っ黒くろすけ
・歌詞がよくわからない
・変な人がファンに多い
という印象が多いと思う。

実際、暗い歌詞が多いバンドも多い。
そしてファンもどこか変わった人が少なくないこともまた事実としてある。困ったことに、ネガティブだったり暗い歌詞の曲の方がノリやすいテンポだったりする。
いい例がガゼットの貴方ノ為ノ此ノ命だ。
テンポも乗りやすく、メロディーも聞きやすい。
リズムを取りたい時にはおすすめしたい曲だが、何分歌詞が怖い。
この歌は、一人の男の妄想を描いた歌詞になっていて最後

「全ては妄想だもの…(死笑)」

という歌詞が出てくる。
そこまで、女性を思ってどうにかこの思いを伝えたいという歌詞が出てくるのに最後の最後でこれが出てくるのだから最初聴いたときはちょっとゾッとした。

だけれど、これが良い。
特に暗い気持ちになっているときはぼーっと聴いてても、精神的に疲れない。
逆に元気なときは、決して歌詞をちゃんと聴いてはいけない。
疲れてしまう。

また、シドもメジャーデビュー前の曲は幾分暗い曲がある。
妄想日記という曲は、ストーカー女を描いた曲である。
電話、手紙から始まり、果ては相手の出したゴミも回収するやばい女である。
シドといえば、モノクロのキスや嘘、V.I.Pといったアニソンでとても有名になったバンドなので、そっち方面を聴いたことがある、知っているという人も少なくないと思うが、もし興味があればぜひインディーズ時代の曲も聴いてみてほしい。

また、己龍というバンドは『「和製ホラー」と「痛絶ノスタルジック」』というものをコンセプトに掲げているバンドである。
このバンドはまさしくコンセプト通りで歌詞が全体的に暗いし、怖い。
でも、なぜか「カードファイト!! ヴァンガードG Z」の主題歌に起用される歌も出している。

時として、ヴィジュアル系はこのように独特な世界観を常に保った曲やライブをするバンドが少なくない。
己龍ほど振り切ってくれると、ちょっとした小説を読んでいる感覚で歌詞を聴けるから、そういった楽しみ方もおすすめしたい。

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元気に明るいときもあるよ

とは言え、どのヴィジュアル系バンドが出す曲もすべてが暗いわけではない。
そもそも、ヴィジュアル系…ロックはJ-POPでは表現できない言葉で情景や感情を切り取り訴える、表現できる唯一のジャンルだと考えている。

だから、独特な世界観を尖らせて出してくるバンドもいれば比較的J-POPに比べて暗いトーンの曲が多いことも事実。

ただ、そんな中でも明るめでぜひ聴いてみてほしいバンドをいくつかおすすめしたい。

SuG

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(転載元:SuG OFFICIAL WEB SITE https://sug-web.jp/
2017年に解散してしまっている非常に残念なバンドだが、曲調や歌詞が今まで紹介してきたバンドとはまた違うテイストで活動していたバンドなのだ。

このバンドはボーカルの人が、作風にこだわりを持っているボーカルでいわゆるネオビジュアル世代と呼ばれている世代だろう。

代表曲のgr8 Storyはとてもダンサブルな曲調でPVもヴィジュアル系とは思えない明るいテイストに仕上がっている

バンドだが、ヴィジュアル系っぽくない衣装を採用していたり導入としてはとても聴きやすいバンドだと思う。

vistlip

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(転載元:vistlip.com https://vistlip.com/
このバンドは、意外と知っている人も少なくないのではないだろうか。
遊☆戯☆王5D's:-ozone-
ディバインゲート:CONTRAST
幕末Rock:Jack
とアニメ主題歌をそれなりに出しているバンドだ。

vistlipは一度大きな事故を起こしてしまって活動を休止していた。
そこから復活し、今ではネオヴィジュアル世代の代表的なバンドとして評価されるほどになったバンドなのだ。

このバンドは、ライブでもなく楽曲内でデス・ヴォイスが入っていたりと意外と純なヴィジュアル系に寄った楽曲が多いバンドだが、歌詞が暗くなく、きれいな情景を描くこともある。
-ozone-などは代表的でぜひ聴いてほしい。
どこか、BUMP OF CHICKENの天体観測と近しい匂いを感じさせる楽曲となっている。

HAKLO

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(転載元:haklo.jp http://haklo.jp/
このバンドはまだデビューして間もないが、最近僕が目をつけて追っているバンドの一つでもある。

衣装やPVはヴィジュアル系のそれだが、出す楽曲の歌詞や情景がまた良い。
暗くなく、どこか懐かしさを感じる楽曲や現代を生きる人でもどこか当てはまるところがあるのではと感じさせてくれる、人間のもどかしさや葛藤を歌った歌詞があって、純粋に歌詞を楽しめるバンドになっている。

デビューシングルに入っている、ログアウトという楽曲は日々頑張って仕事をこなしたり生きてる人にとっては少し共感できるところもあるのではないかと感じる楽曲だ。

POIDOL

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(転載元:poidol-official.com http://poidol-official.com/
最後に紹介したいバンドは、POIDOLである。

このバンドも最近出てきた気鋭のバンドで最近僕が目をつけて追っているバンドでもある。

このバンドもHAKLO同様に様相はヴィジュアル系のそれだが、楽曲はとても楽しかったり切なく淡い歌詞の楽曲と様々なのだ。

https://www.youtube.com/watch?v=3VR4_--d0XQ
AQUA BLUEは、夏の暑さとどこか涼し気な雰囲気を思わせるPVの中で女性の淡い恋が描かれた楽曲で、夏の特別感と恋愛をマッチさせたヴィジュアル系とは思えない独特な楽曲になっている。

https://www.youtube.com/watch?v=r5L1B5SdCQE
パライゾは、とてもダンサブルな楽曲で、PVの中でボーカルの人も実際に踊っている楽曲だ。

歌詞も、前向きな内容となっていてダンサブルなメロディーともマッチしていて、とても聴きやすく楽しい気分にさせてくれる楽曲となっている

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注意点

ここまで色々なテイストのバンドを紹介してきたが、最後にこれからヴィジュアル系を聴いてみようとしてくれている人たちにアドバイスをしたいと思う。

音楽もサブスクが当たり前になっている昨今、それでもヴィジュアル系はそれ以外のジャンルのアーティストに比べて圧倒的にメディア露出が少なく、本当にCDの売上とライブでの売上で生活を賄っていると言っても過言ではない。

その為、ヴィジュアル系アーティストのCDは必ずと言っていいほどにタイプが分かれた数種類を出したりするのだが、まずは手にとってもらう為に最近では公式You Tubeチャンネルを開設してPVを載せてくれていることが多い。
(そうでなくても、個人の人が載せてくれているので安心してほしい)

僕はPVが大好きで、高校生の頃はファッション雑誌ではなくヴィジュアル系バンドのPVを見てファッションを決めていたくらいPVを見るのだが、気になったアーティストがいたら、ぜひまずはPVを見てみてほしい。
できるだけ、初期の頃のPVを。

この時、PVのカメラワークやストーリー構成にも左右されるがメンバーそれぞれが自分が一番かっこよく見えるように撮られていたり、メンバー個々のソロショットがあまりにも多いバンドはおすすめしない。
あくまでも個人的な見解なので、間違っていたり違うと思う人もいることを想定してお伝えするが、そういうバンドは長続きしなかったり楽曲がつまらない。

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ヴィジュアル系は、時代が変わっていくにつれて進化してきた。
一時期、ヴィジュアル系はゴールデンボンバーを最後に死んだ。という記事がネットに出回ったくらい、ヴィジュアル系が停滞していた時期もあった。

だけど、こうして時代にあった楽曲を提供したり活動の場を変えて頑張ってるバンドも多い。

まだまだ幅が広がっていく可能性を感じさせてくれるヴィジュアル系を僕はまだしばらく聴いていくだろうなと思う。

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