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農家の平均年齢66.8歳という衝撃

農水省の統計によると2019年農家の平均年齢は66.8歳だったそうです。結構衝撃的な数字だと思いませんか?
ちなみに私は47歳ですので、農業界では若手になります。直売所(道の駅)へ納品に行くと、確かに農家さんはお年寄りばかりです。この状態ってヤバイのではないでしょうか。
今回は、なぜこのような状態になったのか?今後どうしていけばいいのか?を弱小農家視点で勝手に解説していきます。

儲からないから継がない

「息子はサラリーマンしていて農業は継がない」「農業は儲からないから継がせない」のような声をよく聞きます。ご年配の方は農業の辛さや苦労を嫌というほど味わってきているので、息子さんにそんな思いをさせたくないのでしょう。

確かに天候や害虫などにより不作になったり、逆にみんなが豊作だと市場価格が暴落します。確かに収入は安定しません。また真夏の草刈りや、重たいものを運んだりと、肉体的にもしんどい仕事を、わざわざ息子さんにやらせたくない心情は理解できます。それより安定したサラリーマンの方がいいと...。お年寄りはそのような思い込みが強いようです。

中山間地は耕作放棄地だらけ

お年寄りの農家は次々と引退していきます。当然畑が空きます。都市部周辺や、平野部の畑は人気があり、誰かが引き継ぐことが多いようです。私の畑はいわゆる中山間地「山沿い」にあるのですが、年々畑が空き、荒れてきています。耕作放棄地と呼ばれます。例えば横の畑が荒れてくると、害虫が飛んできたり、虫を介して病気がまん延するなどの問題が発生します。また景観も悪くなります。全国的な問題として、たびたび取り上げられますが、改善することはありません。

「じゃあお前が耕作しろよ」
と言いたくなる方いらっしゃるでしょうが、もちろん条件のいい畑ならやります。耕作放棄地になるのは、道に面してなかったり、水が不便だったり、土質がよくなかったり、プロ農家としては農業しずらい畑ばかりなのです。

あるベテラン農家さんの言葉ですが、人口も減ってくるし、中山間地は山に返して、農家も分散させずに平地に降りてきて集合体にした方が効率的だ。その通りかもしれません。抜本的な対策が必要です。

新規参入者も苦戦中

このような状況で国がとった作戦は、若者や企業を農業界に参入させることでした。補助金をつけたり、農業特区をつくり参入障壁をなくす取り組みもなされたようです。実際にかく言う私も補助金をもらっている新規参入者です。結果として、ある程度若手農家は増えたと思います。企業さんが農業に参入したケースも聞くようになりました。

ただ、撤退した企業の話も聞きますし、私のまわりの新規就農者は経営に苦労されている方が多いです。理由はいくつかあるのでしょうが、農業の構造的な問題が一番大きいのではないでしょうか。

5年間農業してきた経験から言わせていただくと、新規参入者が古来から続く農業をまともにしたところで、「勝てない」と思っています。

お手上げ状態?!

現状をどのようにとらえたらいいのでしょう。マクロ的な視点で言えば問題ありそうですが、そこは国に任せるとして、個人的な農業の未来、可能性について考察します。

農業って未熟な産業だと思うのです。1次産業だから、作物を作って、販売するという極めてアナログな世界です。気象に左右される、害虫に、病気に、市場が暴落して...などで収入が落ちる、そして補助金が入る。という構造こそが農家の思考停止につながっているのではないでしょうか。

「国民の食を担う重要な産業だから保護する」

というのなら、いっそ農家を公務員にすれば良し。と感じるわけです。農家も起業家です。脳みそフル回転させて「農」を使ってなりわいする。農業ビジネスを構築していくべきだと思います。特に新規参入者はいい意味で農業に染まっていないので、ご自身が他業界で学んできたことを農業に活かせば、きっと新しい農業のカタチが生み出せるのではないでしょうか。

農業を儲かる産業にしていくのは、新規参入者の新しい風です。
農業界が儲かる産業、おもろい産業になれば、若者は絶対来ます。農業の諸問題を解決するのは「農業で稼ぐことのみ」だと感じているのは私だけでしょうか。



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