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Dreadfulslap Animals


キューブリック


誰の葬式なのか分からない場所にキューブリックはいた。やけにでかい屋敷のやたらと広い庭に集まった黒い群れ。色々な料理がテーブルの上に並んでいるが、今はどうしても日清焼きそばUFOが食べたい。バリカタで。屋敷に入ってUFOがないか探索した。広すぎてどこにキッチンがあるのか分からない。それに屋敷の中には誰もいない。みんな庭にいるのか?ガタガタと音がする。音がする部屋に入る。壁も床も天井も全て白い。その中央に棺があった。黒光りする真っ黒な棺桶。その中から音がする。まさか生きてる?棺桶の顔を見るための小窓をそっと開ける。何かが飛び出してきた。焼きそばソースみたいな色の猫だった。猫はじっとこちらを見ている。棺桶の中を覗いてみた。空っぽだった。誰も入っていない。「何なんだよ!!!?」とキューブリックが叫ぶ。猫が「さあな」と言ってどこかへ行った。


ヒッチコック


ヒッチコックは映画の資金繰りの為にマジシャンを誘拐した。このマジシャンは本物だ。マジックなんかじゃない。調べによれば一ドル札なら無限に出すことができるらしい。それを資金にするつもりだった。銃口を向けて車のトランクにマジシャンを押し込み走り出す。今は使われていない廃墟のモーテルに停まってトランクを開けると中から大量の鳥が飛び出してきた。驚いた拍子に銃が暴発してその内の一羽に当たってしまう。鳥は飛ばずに地面でバタバタと暴れていた。仕方なくヒッチコックは鳥を動物病院へ連れて行った。死ぬことはないがもう飛ぶことは出来ないと言われた。家に連れて帰り鳥籠を買って飼うことにした。そうやって一週間が過ぎた。鳥が鳴くリズムに規則性があることがわかった。モールス信号になっている。言葉に変換するとジョージ・ワシントンとなる。「一体どういう事だ?」とヒッチコックはつぶやく。マジシャンが出した一ドル札を見る。窓の外を見るとラシュモア山のジョージ・ワシントンの像と目が合った。もしかして....,ヒッチコックは鳥を連れてラシュモア山へ行く。するとジョージ・ワシントンの額に紙が貼り付けられている。「release(放て)」とだけ書かれている。鳥籠の鳥を見る。鳥籠の扉を開けると鳥が飛び出した。空中に飛び出した瞬間、鳥は大量の一ドル札に変わりハリウッドに舞っていった。


デイヴィッド・リンチ


箱のような部屋の中にデイヴィッド・リンチと白熊は閉じ込められていた。なんでこうなった?白熊はじっとこちらを見つめている。たまに大きな手で尻をかいている。全面が青い箱の中で白熊の白がやけに眩しい。正方形の箱の中央には青い小さな箱が置いてある。壁際にはブラウン管テレビ。テレビがやけに大きく感じる。自分の身長が小さくなったんじゃないかとデイヴィッド・リンチは感じている。白熊は座ったままこちらを見ていたが眠くなったようで、床に寝そべりイビキをかきはじめたのと同時にテレビがついた。テレビにはこの部屋が映っているようだった。白熊と自分が映っている。白熊は眠っているがデイヴィッド・リンチはテレビを観ていない。テレビの中のテレビに映るデイヴィッド・リンチはテレビを観ているように見える。カメラを探したがどこについているのかわからない。テレビの中のデイヴィッド・リンチは部屋の中央にある青い箱を見ている。こちらを向いて何かを言っている。音は聞こえない。そういえばさっきから何の音もしない。テレビの中の自分は何かを叫んでいる。唇を読むと「ここは白熊の夢だ。そっちはどこにある?」テレビの中の自分が青い箱を手に取ると、部屋が大きく揺れた。テレビの中の自分が箱の蓋を開けると天井が引き剥がされていき眩しい暗闇が見える。



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