Strange Stranger Carver

レイモンド・カーヴァーが近所のスーパーマーケットで買い物をして帰る途中に汚い原っぱがある。ゴミが散乱している。いつもは気にならなかったのに今日に限っては気になった。よく見ると落ちているのは子供の頃に使っていたものばかりだった。まぁ同じ年代の男なら同じおもちゃだとか文房具だとか自転車だとか持っていてもおかしくない。そいつが子供の頃の物をここに捨てたのかもしれない。けしからん。フガフガ言いながら原っぱを見回していると、筆箱を見つける。俺も同じ物を使ってたな。銀色の筆箱に貼ってあるステッカーまで一緒じゃないか！そんなことあるか？中を開けると鉛筆や消しゴムにも見覚えがある。まさかな。消しゴムの裏を見ると黒い油性マジックで書かれたような「K」の文字。確かこの消しゴムは友達から借りパクしたものだ。そいつのイニシャルが「K」だった。他の物を見るとどれもこれの自分の物にしか見えなかった。昔どうしても欲しかった自転車と、どうしても被りたくなかった自転車のヘルメットが落ちている。自転車は車輪が外れていたがヘルメットは結構綺麗だった。なんとなく被ってみる。妙にフィットした。ヘルメットを脱ごうとしたが抜けなくなった。かっちりハマりすぎていて脱ごうとすると頭の皮膚が剥がれそうだった。仕方がないのでそのまま家に帰ると、部屋の家具やら家電やら洋服やらの何もかもが無くなっていた。何故か何も無いのに何もかもが今ここにあるという気がしている。

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