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「BUMP」は血液。

 ぼくは音楽との付き合い方を知らなかった。みんなが音楽を聴き始めて、このミュージシャンがいい、このアイドルがいい、このバンドがいい、たくさんのいいが溢れはじめた10代の頃。ぼくには音楽の良さが分からなかった。なんとなくこんな風かなと思って、カッコよさそうなもの、流行りのアイドル、友達が勧めてくれたものを聴いていた。ぼくはみんなほど熱狂できなかったし、「ああ、なんかいいね。」って返していたと思う。その10代の光景は、羨ましかった、あんな風に好きって言えるのっていいよなって漠然と思っていた。

大人になった今でも時々思う。ぼくは音楽を本当の意味で好きって言えるほど聴いてきたかなって。


 BUMP OF CHICKEN、それはぼくにとって革命家の名だ。初めて聴いたのは、友達が「BUMP好きなんだよね」って言ってきて、CDかなんかを借りたんだと思う。そして聴いた。なんだか変なのって思った。今まで聴いてきた音楽とは違う音、違う声がしていた。この音楽をぼくは知らなかった。よく分からないなあと思った。でも初めてきっと「なんかいいね」じゃないものと出会った。「変なの」と思ったんだ。少し放置したような気がする。すると、気になった。もう一度聴いてみようかなと思った。そして、ぼくは聴き始める。そして、取り憑かれていく。


それからはぼくは、気になるたびに手に取った。何でもない時にふと思い出して。


最初は聴いても分からなくて、何度も聴いた。


2回目に聴いても、やっぱり変わってるなって。

3回目には、なんか心臓らへんに重みがあるなあって。

4回目には、なんか少し・・・。


聴くたびに何かが変わっていった。

回数が増えるたびに濃くなった。

何か本当に大切なことが染み込んでくるようだった。


歌詞を読むたび、頷いて、泣いた。


初めて気づいたんだ。本当のこと。歌うことの意味。


ぼくは疑うことなく、好きになった。BUMP OF CHICKEN。



 今振り返ると、ぼくは学生時代、ずっとBUMPを聴いていたように思う。藤くんの声しか残っていない。いつもいつもBUMPだった。ぼくはあまり音楽を聴くほうではなくて、何かしながら音楽は聴けないし、聴くときは聴くことだけに集中する。それでも、何度も聴いた。ただその音楽が、声が、自分に染み渡ればいいのにと願っていたように思う。染み渡っていって欲しかった。大切なことに気づける人になれるように。

今も不意に歌う鼻歌は、BUMPばかりだ。いつだって藤くんの声を思い出せるし、星や雪を見ると、思い出す。

ぼくは、音楽というものの楽しみ方も付き合い方もほんの少ししか知らない。でもBUMPがそんなの飛び越えて、音がどうだとか全部飛び越えて、大切なことを伝えてくれたことだけは、ぼくにも分かった。今もずっと聞こえている。体の中から響くあの音が、声が。存在が。


大切なことを伝えてくれる。





読んでくれてありがとう。


また。



とまお



いただけた時には、本買います。本を。