ドラゴン桜公式副読本 16歳の教科書~なぜ学び、なにを学ぶのか~
ドラゴン桜は1・2と全巻読みました。ドラゴン桜2については1年ほど前に以下のnoteに感想をまとめてます。
こちらの公式副読本は1・2と2冊あるのですが、一気読みしました。1はテーマが『なぜ学び、なにを学ぶのか』、2は『「勉強」と「仕事」はどこでつながっているのか』というテーマで、各業界の第一人者たちが今を生きる16歳たちに向かって大変示唆に富んだ話をしてくれています。
1のラインアップは以下の通りです。
私が知っていたのは金田一先生、高濱先生、大西先生、藤原先生の4人だけでしたが、いずれの方も大変示唆に富んだお話をしてくださっており、16歳の高校生ばかりではなく、大人の私も感銘を受けることが多く書かれていました。その中で特に印象に残った部分を引用したいと思います。
数学の「見える力」と「詰める力」(高濱先生)
高濱先生は「はなまる学習会」の創設者として有名ですが、私もこれまでにいろいろな番組や記事で彼の話を聞いたり読んだりして、非常に共感を覚えました。(たとえばこんな記事)
その高濱先生が提示する「数学」の定義が私には新鮮で、とても印象に残りました。
数学力というと、とかく計算力や図形を読み取る力などの表面的な力だと考えがちですが(私がそうでした)、試行錯誤できる能力や精読できる能力まで含まれるなんて考えたこともなかったですし、目からうろこでした。
現代は第4次産業革命を受けて、「数学の時代」などと言われたりもします。それが単純に数学ができる(数学の問題で点数が取れる)力ではなく、不確実性にあふれたこれからの時代を生き抜くうえで必要なスキルを培うための手段が『数学』なのだということがよくわかりました。
英語は「並べる言語」。パターンに感覚が通っている(大西先生)
おそらく英語教育関係者で大西先生を知らない人は少ないと思います。私が大西先生を知ったのは大学生時代(外国語学部英語学科に所属していました)で、下記の本を読み、大変感動しました。
これを読んだ後、すぐにこちらも読み、それまで謎でいっぱいだった前置詞の感覚を体得しました。
ちなみにレビューにも書かれていますが、出てくる例文は品のないものばかりです(笑)それは大西先生を知っている人ならわかると思うのですが、彼はまったく大学教授らしくない、超軽いノリの人間です。ただ、私はその軽いノリが好きでしたし、下記の本の出版記念イベントに参加したこともあります。
私の英語の授業は多分に大西先生の影響を受けていますし、上記の本に載っている冠詞(aとthe)の問題などは今でも授業で使っています。
きみの未来は「違和感」の中にある(大西先生)
大西先生はチャラいだけじゃなくて、アツい先生でした(^^)
最後に藤原先生。藤原先生は東京都で初の民間出身の校長先生で、杉並区和田中で様々な改革を起こし、話題になりました。私も彼の著書やスピーチなどはたくさん読み聞きしましたが、中でも「よのなか科」という取り組みは当時(2003年就任)はなかなかセンセーショナルな取り組みでした。
「情報処理力」と「情報編集力」(藤原先生)
日本の教育ではこれまでに答えが一つしかない問題ばかりを扱い、それらが得意な生徒ばかりを育ててきました。藤原先生の言うところの「情報処理力」が高い人間ばかりを育成してきましたが、ご存じの通り世界は第4次産業革命を経て劇的に変化しました。これからは解なき問いにあふれた世界
を生きていかなくてはならず、「情報編集力」を身につけ、その力を発揮していかなければ活躍のできない社会が待っています。このような前提の上で、「情報処理力」と「情報編集力」の両方をバランスよく併せ持つ人材が求められていますし、教育もそのように変わっていかなければなりません。
ひとりで解決しようとしないこと
日本の学校教育は今でも本当にたくさんの問題を抱えていますが、その中の一つとして「学校教育は社会と断絶している」ということが挙げられます。ブラック校則などもそうですが、社会に出たらありえないようなルールや慣習が今でも普通に続いていることを由々しき問題だと思っています。
藤原先生が言うように、社会に出て一人だけで問題を解決しなければいけないということはほとんどありません。どんな仕事であろうと人と関わらずに生きていくことはないですし、そもそも人は一人で生きていけません。学校というコミュニティの中でもっと多くのコミュニケーションを作り出すことはとても大切です。ちなみに日本は先進国の中で最も自殺率が高い国とされていますが、この「ひとりで正解を出さないといけない」という価値観は、もしかしたらこの高い自殺率の遠因になっているのかもしれません。
まとめ
自分が16歳の時は何も考えず生きていた気がしますが、この本を読んでいたら少しは「なぜ学び、何を学ぶのか」ということを理解し、その後に役立っていたかもしれません。本書に登場する方々のような大人たちに16歳で出会えたら幸せだと思いますし、自分もそんな大人の一人になりたいと思いました。
最後までお読みいただきありがとうございました。続編に続きます。