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まんがでわかるアドラー 勇気の心理学

先日妻とあるYoutubeを見ているときにアドラーの話が出てきたので、わかりやすいアドラー入門書を探しました。そうしたらAMAZONのPrime Readingでこれがあったので、妻に勧めてみました。アドラー関連の本は何冊か読んだことがあり、長女にも子供向けのアドラー心理学の本を買ったこともあるのですが、今回は復習がてらに読んでみました。

「まんがでわかる」というタイトルなものの、実際はまんがは全体の10%程度で、ほとんどがその解説になります。ただ、入門書らしく、とてもわかりやすいので、すらすらと読めてしまいます。

ちなみに構成は下記の通り。

第一章 自分の中の常識をひっくり返してみる。
第二章 自分を苦しめているものの正体を知る。
第三章 意識せずに行っていた行動を意識する。
第四章 自分をよりよくする極意。
第五章 対人関係をよりよくする極意。
第六章 人生の課題と最終目標。

いくつか印象に残った点を記します。

①ガイドライン

人間関係は「尊敬」「信頼」「共感」「協力」という4つのガイドラインで考えるとよいとのこと。どんな相手であっても「尊敬」の念を持って接すること、相手を「信用」ではなく「信頼」すること(「信頼」とは裏付けも担保もなく相手を信じること)。心を開き、深い部分で理解しあえるとような付き合ができれば素晴らしい人間関係が築ける。

そして「共感」。「共感」とは相手の気持ちになること(相手の関心ごとに関心を持つこと)。「他者の目で見て、他者の耳で聞き、他者の心で感じること」はアドラー心理学の重要な要素であり、良い人間関係を築く必要条件と言えそう。良い人間関係とは、上下の関係ではなく、あくまで対等であることが基本であり、その上で同じ目標や同じ気持ちで「協力」しあえることができれば、強固な絆ができるということらしい。

②課題の分離

アドラーといえば「課題の分離」って気がします。

× 他者の課題に踏み込む × 自分の課題に踏み込ませる

〇 他者の課題に踏み込まない 〇 自分の課題に踏み込ませない

教師という仕事をしているので、常に多くの子どもたちの課題を共有しています。その際に気を付けているのが、その課題はあくまで彼らの課題であって、最終的にその課題を解決するのは彼らであり、自分ではない。もちろん親身になって話を聞き、経験やデータから的確なアドバイスをすることを常に心がけているが、自分の人生における重要な選択をするのは自分でなくてはならない。だから最終的には自分で選ばせる。東大に行くのも、勉強をしないのも、それが自分が選ぶ道ならばそれでいいと思っている。

3人娘の親としては、将来彼女らにボーイフレンドができた時や結婚したいと思える人が現れたとき、「課題の分離」をできるように今からイメトレに勤しみたい。例えば、バンドでの成功を夢見る無職のロック少年が彼氏だったとしても、娘が幸せならば応援してあげたい・・・が、そんなことできるか、俺?

③叱ってはいけない、ほめてはいけない

これは前から思っているのですが、唯一アドラー心理学で納得がいかないというか、すとんと落ちないところです。

アドラーは叱ることもほめることもしてはいけないと唱えています。これらは一時的な効果しかなく、本当の問題解決にはならないからだそうです。また、こんな風にも言っています。

『叱られたり、ほめられたりして育った人は、叱られたり、ほめられたりしないと行動をしなくなる。そして評価をしてくれない相手を敵だと思うようになるのだ』

「そりゃいいすぎだろー、アドラー」って思いませんか。だって叱らなければ、子供は善悪の区別もつかなくなる可能性があるし、ほめられなければ自尊心や自己肯定感だって育まれなくないですか?自分の子どもにも生徒にも感情的に「怒る」のではなく「叱る」ように心がけています。もちろん理路整然と相手を説得できればいいのですが、教育ってそんなに簡単じゃないですよね。

アドラーの話は本当にわかりやすく、示唆に富んでいます。人生を生きやすくする様々なファクターがちりばめられていて、もしかしたら人生観が変わります。読んだことない人はどれでもいいので一度読んでみていただければと思います。


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