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Diversity(多様性)を学校教育に落とし込む

昨日中学2年生に「Glocalに生きる」というテーマで特別授業(オンライン)をしました。私立の中高一貫校で国際教育の責任者をしているので、英語の授業だけでなく、Global Educationという授業を担当しています(本校の特別設置科目です)。普段はこのGlobal Educationという科目は高校生にしかしないのですが、ぜひ中学生にもと学年から依頼を受け中学生向けにアレンジした授業を作りました。

そして、昨日の夜杉原ひろみさんの書かれた下記の投稿を偶然読み、自分も「多様性」についてnoteを書いてみたくなりました。

個人的には日本の学校教育の大きな問題点は、子供たちが「同一性・画一性」が強く求められすぎるところだと思っています。これは日本人の集団主義に由来するものですが、同調圧力が非常に強く、否応なく周りと同じでいることが求められます。しかしながら、世界がグローバル化し、ものすごいスピードで変化が生まれていく社会で、周りの人と同じ自分を求めるのではなく、「人と違っていい→多様性を受け入れる」というマインドセットが絶対に不可欠だと思っています。

『International』と『Global』の違いって何だろう

特別授業では、まず「『International』と『Global』の違いって何だろう」と問いかけ、考えさせました。うちの学校は帰国生や外国籍の生徒が他校よりも圧倒的に多く、また「純ジャパ」の子たちも国際意識の高い子たちが多いのですが、そこはやはり中学2年生。この質問にきちんと答えられた生徒はあまりおらず、ほとんどの生徒は「わからん」という回答でした。

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上の2つの地球の図は、GlobalとInternationalの違いをよく表していると思います。IT革命を機に、世界は国境という垣根が加速的に低くなっていき、人・物・情報が世界中を飛び交うようになりました。そのグローバル化した社会の中で生きていくためにはまずローカルを大切にしなければいけないと伝えました。我々であれば、日本人としてのアイデンティティー、地域、そして学校の一員としてどう行動していくか、が非常に大切であり、”Think globally. Act locally."という考え方がこれから重要になってくると教えました。ローカルがあってのグローバル、です。

『グローバル人材』に必要な要素とは?

ちなみに授業中に「『グローバル人材』に必要な要素とは?」という質問を投げ、アンケートを取りましたが、その結果が下になります。中央の文字が大きいものほど回答が多かったものになります。(120人くらい受けていたのですが、時間切れ等で78名の回答になってます。

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中学生くらいだともっと「英語」と答えるかと思っていましたが、実際は「コミュニケーション(能)力」が一番必要な要素だと思っていて、いい傾向だなぁと思いました。コミュニケーション能力の定義は多々あるかと思いますが、個人的には「相手の文化的背景や思想を理解し、その上で自分の意見や考えを相手に伝えることができる能力」だと思っています。ぜひ子供たちには身につけてもらい力の一つです。

Diversity(多様性)のある世界

そして、Diversity(多様性)の話をしました。世界がグローバル化したことで日本でも異文化から来た人々が身近な存在になりました。そのような自分たちと異なる文化を持った人たちをどう受け入れ、いかに共存していくか。それが日本だけでなく、世界でも求められている喫緊の課題で、人類に課せられた使命である、と話しました。

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そして、同じことが学校やクラスの中でも言えます。同じコミュニティーの中に様々な価値観や文化、人によっては障害を持っていたり、人とは異なる性自認を持っている子もいます。それらの子たちを「自分と違うから」と言って排除するのではなく、「その違いを受け止め、共に生きる」人になってほしいと訴えました。

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そして最後にウィリアム・ジェイムズ(心理学者)の有名な言葉を引用して、授業を終えました。「今日の話を聞いて、もし少しでも響くところがあったら、ぜひこれからの生活における自分の態度を変えてみよう。そして小さな行動を起こしてみよう。その小さな変化が自分の人生を変えていくよ」という形で締めくくりました。まだ生徒からフィードバックをもらっていないので、生徒たちが何を感じ、どう響いたのはわかっていませんが、少しでも自分のメッセージが生徒に届き、彼らが変わるきっかけになればいいと思ってます。彼らにとってはこれがスタートで、これから様々な活動や出来事を通してDiversityの中で成長していってほしいです。