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50歳の夏の思い出

8月31日、夏休み最後の日。社会人になったら、あまり夏休みは関係ないけど。自由研究や学校の宿題を焦って片付けていた小学生の頃を思い出す。

そんなわけで、8月最後の日に、今年の夏を振り返ってみようかと。50歳の、夏の思い出を。

富士山

「アーバンアルピニスト」という肩書を名乗って、趣味の「登らない山登り」を続けています。2009年に日本橋でオフィスを借りて「会社ごっこ」というアートプロジェクトをしていた頃にはすでにあったアイデアだけど、本格的に活動をしだしたのは2018年頃だと思う。「富士塚」と出会うことで、この登らない都会の山登り活動は自分のライフワークっぽくなっていった。

今年の1月から3月に登った低山や富士塚など、以下の記事にまとめてある。

東京には、「江戸七富士」と呼ばれる有名な富士塚が7つ存在する。いつでも登れる富士塚もあれば、特別な日にしか登れないものもある。3月の時点で、登れる山にはもう登っている。品川神社の品川富士と、護国寺にある音羽富士、そして鳩森八幡神社の千駄ヶ谷富士は通年で登拝することができるため、6月の終わり時点でその3つの富士塚は登頂済み。残るは4つ。7月1日から翌週にかけて、「お山開き」の祭事が行われ、その時だけは普段は登れない富士塚も入山することができる。

下谷坂本富士

7月1日に江戸七富士でまず訪れたのは、小野照崎神社の下谷坂本富士。この日は、朝方に雨が降っていたが、なんとか登ることができた。富士の御朱印もいただいた。

江古田富士

続いて、江古田にある浅間神社の江古田富士。ここは、登拝できるチャンスは年に3回。もちろん、7月1日のお山開きの日がそのうちのひとつというわけで、しっかり登ってきました。ここでも御朱印をいただきつつ。

十条富士

そして、十条冨士神社の十条富士。この富士塚は、2019年頃から道路拡張のために移転工事が行われていて、しばらく登ることができなかった。毎年、お山開きの日は「お冨士さん」のお祭りが行われるのだが、コロナ禍の期間はお祭りも中止に。私は、昨年のお祭りには訪れることができなかったので、この新しい十条富士に登るのは初めて。昨年訪れたときは、頂上へ続く石段の入り口が閉鎖されていたので。6年ぶりか。

豊島長崎の富士塚

同じく、6年ぶりに登拝できたのが、豊島区にある高松富士。重要有形民俗文化財の登録名は、「豊島長崎の富士塚」と呼ばれている。昨年、5年ぶりにお山開きをしたが、雨のために中止になったらしい。私も、今回登るのはコロナ以前の2019年以来。7月6日の13時前に到着して、いまかいまかと開くのを待ちつつ。豊島区長さんと一緒に登りました。

というわけで、2024年は、6年ぶりに江戸七富士のすべてに登拝することができました。

南千住富士

江戸七富士以外にも、この夏もいくつか富士塚を訪れています。やっぱり、一番多いのは、地元の素盞雄神社にある、南千住富士。地元なのでよく訪れるのですが、実は登ったことがありません。

7月1日のお山開きの儀式には何度も参列しているのですが、いつも雨で登れないんですよね。今年も、儀式だけに参加。雨で登ることはかないませんでした。いつか、登ってみたいと思いつつ。なんでここだけ登れないんだろう?

新宿の富士塚

ここから先三つは、新宿にある富士塚です。山手線沿線登らない山登りコースを発掘するため、何日かに分けて上野からずっと歩いて行って、この夏は新宿に到達しました。あとで、全行程を記事化しますが。今回は、夏の間に訪れたこの新宿の三つの富士塚をご紹介。

芸能浅間神社

花園神社にある、芸能浅間神社。ここも、富士塚です。浅間神社というのは、富士山を祀っている神社。よって、富士塚の多くは浅間神社と同じ場所にあることが多いです。あるいは、摂社として浅間神社があって、そこに富士塚もあるというような。

芸能関係の方々が、ここにお参りをしたり、奉納したりしているようで。一番目立つ「芸能浅間神社」の石碑の裏には、八代亜紀さんの名前が刻まれています。

西向天神社

西向天神社の境内のはずれにあるのは、東大久保富士。天保13(1842)年に造られたのち、一時期撤去されていたようですが、大正14(1925)年に再建されて、現在に至ります。ここの富士塚は柵に囲まれて普段は閉鎖されているので、私も登ったことはありません。柵の外から覗くだけ。

鬼王稲荷神社

猫が「こっちにおいで」という風に先導する後についていくと、鬼王神社が目の前に。新宿の街を象徴するように、昭和時代の映画のポスターがあったり、ちょっとだけカオスな雰囲気を味わえる神社です。前回来たときは、ここに東京ビエンナーレに展示されていた幟の作品が展示されていました。

この神社の境内に、富士塚の名残があります。もともとは一つの富士塚だったのだと思いますが、今は参道の両端に分かれて、二つの小山になっています。

柳森神社

秋葉原駅の近く、神田川のほとりにある柳森神社。ここの境内に浅間神社を祀る富士塚の名残があります。多くの富士塚同様、富士山から運んできた溶岩石(黒ボク石)が使われていますが、一度崩れたものを境内の端に積み重ねたようで、元の形とは違うようです。

秋葉原を訪れるときなど、少し足を延ばしてよくこの神社と富士塚にも参拝しています。

富士山へ

江戸七富士をすべて登拝した勢いで、本物の富士山にも登ってみたいと。実は今年の年初に、50歳になった記念に富士山に登ってみたいと、富士登山を今年の目標のひとつに掲げてました。

これだけたくさん富士塚に登ってきているのに、実は私、本物の富士山には足を踏み入れたことがなかったのです。

まずは、7月13日にバスツアーで富士山五合目まで。

中国語、英語、日本語に対応した富士巡りバスツアーということで、申し込むときに「外国からの観光客の方々も参加するのかな?」と思っていたのですが、ふたを開けてみたらびっくり。45人くらいいる参加者の中で、日本人は私ひとりでした。ガイドさんが、英語で案内をしたあと、続いて中国語で同じことを説明し、最後に私ひとりの目を見て日本語で説明を繰り返す。もう、めちゃ緊張ですよ。面白かった。

そして、いよいよ本物の富士登山。

今年に入ってから、実家のある長瀞で宝登山(497メートル)に登ったり、高尾山(599メートル)に登ったりして、登山の経験値を少しずつ上げつつ、会社のある青山ツインタワーの階段を20階分登ったり、東京タワーの外階段を登ったりしてトレーニングを積んできました。

でもまぁ、その程度では富士山登頂は無理そうだなと判断して、今年は早々に登頂は諦めて、5合目までバスで行ったあと、50分かけて6合目まで登り、あとはひたすら麓まで下りていくという行程にしました。つまり、富士登山というよりは、富士下山。富士山をひたすら下りていきます。

風のない日で、立ち止まるとびっくりするくらいに静か。遠くで鳴く鳥の声や、飛ぶ虫の羽音さえもはっきりと聞こえます。途中、野生のシカに出くわして見つめあったり。大きな蜂を一斉に同じ動作で威嚇するミツバチの群れなどにも会いつつ。富士登山&下山を楽しみました。7時間、27.5km、3万5千歩を歩きました。いつか、登頂したいと思います。

Trip.comのポイントで東京観光

今年の夏は、Trip.comのポイントのおかげでいろいろな体験ができました。前述の富士巡りバスツアーも、実はTrip.comで申し込んだもの。2万円分くらいのポイントをいただいたので、それを使っていろんな体験ができました。

東京タワーの外階段を登った時も、実はTrip.comでポイントを使ってチケットを買ったのでした。朝食を食べながらなんとなく思い付きで「今日は東京タワーに登ってみるか」と思い、その場でスマホを使ってアプリからチケットを購入。すごく便利。東京タワーを登ったら、窓からレインボーブリッジが見えたのでこの日はそこまで歩いていき、橋を徒歩で往復しました。富士登山に向けてのトレーニングですね。

有明でちょっと時間が余ったので、急遽近くになにか観光スポットはないかと探したところ、スモールワールズのチケットがTrip.comで購入できることが分かったので、訪れてみました。こういう機会でもないと、たぶん訪れることはなかったかもしれないですが、中に入ってみるとミニチュアのジオラマの光景が広がっていて、さらにそれを生み出す工房も見ることができ、素晴らしい展示でした。空港ラウンジを模した休憩エリアで、しばし読書をするなど。本当に空港にいるような錯覚。楽しかった。

東京タワーに続き、スカイツリーにも登りました。竣工から12年が経過していますが、登ったのは今回が初めて。都内を歩いていると、あちこちからスカイツリーを見ることができますが、今回スカイツリーの展望台に上ってみて、今までスカイツリーが見えていた場所がここから見下ろすことができるのだなー、と、なんだかよくわからない感慨に。いつもの隅田川沿いの散歩コースを上から覗いてみるとか。スカイツリーを見上げるとき、スカイツリーもこちらを見ている、みたいな。

なんにせよ、実際に登ってみたことで、今後はスカイツリーを見上げるときに、向こうからどんな風に見えているかもわかるようになって、スカイツリーを見る目がちょっとだけ変わりました。

最後は、夜の首都高を走るオープントップのバスツアー。なんか、突拍子もないツアーで、かつ行く先は事前に教えてくれないというミステリーツアーの要素もあって、これはめっちゃ面白かった。女子大生くらいの女の子グループが、橋をくぐるときなどにジェットコースターなみに悲鳴を上げるなか、都会の生暖かい風を感じつつ、レインボーブリッジを渡ったり、地下トンネルを走ったり。いつも見知った東京の街ですが、まるで全然違う異世界に迷い込んだかのような。スリリングでエキサイティングでアクション映画に飛び込んだかのような迫力のツアーでしたよ。

で、だいたいTrip.comのポイントは使い切ったのですが、少し余った分はすべて地下鉄の24時間チケットに換えました。年内と年明けすぐくらいは使えるので、それを使ってまた都内をめぐりたいと思います。

日曜アーティスト活動

ここからは、趣味の「日曜アーティスト」として、この夏行った創作活動など。グループ展への参加や、ワークショップ、作品制作などを行いました。

恩送りアートプロジェクト

2年前に北千住のBUoYというアートカフェで開催させてもらった「恩送り」をテーマにしたアートプロジェクトを、今月は下北沢で再び開催させてもらいました。ちょうどさっきまで、最終日のクロージングパーティに参加して、アーティストトークにも参加していたところです。

せっせと作品をつくって、500円で販売。作品が売れたら、そのお金が次にくる見知らぬ誰かのコーヒー代になるという企画。善意の輪がどんどん広がっていくというプロジェクトです。

東京ビエンナーレや3331 Arts Chiyodaでの展示設営でお世話になったHAジメさんが新しくつくったForEverという展示空間の一角で、この恩送りアートのプロジェクトやらせてもらいました。今回は、作品のドネーションも受け付けていて、「作家/アーティスト」としても参加できるように工夫もしつつ。

8月10日には、作品をつくるワークショップも開催しました。

ドイツ製の小さな卓上プレス機を使って、名刺サイズの小さな版画作品をつくっています。写真を加工してネガにして、そのインクを溶かして和紙に転写するという手法。アメリカでアートを専攻していた学生時代に、よくこのやり方で作品を作っていました。小さなプレス機を手に入れたことで、四半世紀ぶりにまたこの作品がつくれるようになって嬉しいです。

サイアノタイプワークショップに参加

日光写真の要領で、薬品を感光させて現像する手法、「サイアノタイプ」を使ったワークショップに参加しました。場所は、私がワークショップを開催したのと同じ、下北沢のForEverにて。講師は、同じグループ展に参加している井上さん。ちなみに、私のワークショップにも参加してくださいました。こんな風に、作家さん同士の交流もあって、このグループ展はとても楽しいです。

まずは、紙にサイアノタイプの薬品を塗布。これが乾くと、光に反応して青色に発色し、現像されるというしくみ。

私は、学生時代に撮影した写真をネガにして持参。さらにそこに、レースや造花などを加えて、イメージを作りこんでいきます。構図が完成したら、日光照射。夏の太陽で、見る見るうちに光が当たっている部分の色が変わっていきます。

で、ネガとモチーフを外して、紙を水ですすいで余分な薬品を流しつつ、イメージを固定。過酸化水素水を吹きかけて発色を強調し、最後に蒸留水をかけて洗い流して、乾かしたら作品の完成。これは楽しい。

夏休みエコワークショップの先生役

縁あって、地元の荒川区で夏休みのワークショップの先生をやらせてもらいました。エコをテーマにした工作ワークショップで、私が担当したのは「バナナペーパーでつくられたハンガーをデザインする」というもの。エコがテーマということで、自然素材のクレヨンなどを使って絵を描くという内容にしました。

私がアメリカの大学で初めてアートのクラスを受講したとき、高価な画材を使うのではなく、一般的な文房具屋さんで売っているようなクレヨンや鉛筆などを使って絵の描き方を学びました。その時学んだことを思い出しつつ、子供たちに絵を描く楽しさを感じてもらおうと。短い時間でしたが、蜜蝋やお米、お野菜などから作られたクレヨンを使いつつ、年齢によって絵の描き方が変わったりする様子をデモンストレーションで実演したり、最近のクレヨンには「はだいろ」がなくなったことや、逆にアメリカで24色の世界中の肌の色を再現したクレヨンが売られていることなどを、実物を見せながら解説しました。

そして、参加者さんたちへのお土産に、手作りのマーブルクレヨンをプレゼント。小さくなったクレヨンなども、一度溶かして固めたら、またひとつのクレヨンとして絵を描くことができます。耐熱のシリコン型を使って、カラフルなクレヨンを20個ほどつくりました。砕いたクレヨンを電子レンジで溶かすだけなので、結構簡単につくれるます。楽しいですよ。

和綴じ製本のワークショップ

ワークショップと言えば、伝統工芸 青山スクエアで開催されたアワガミファクトリーさんの和綴じ製本のワークショップにも参加しました。徳島の、和紙を製造販売する会社さんで、私は以前からここの和紙を愛用しています。和綴じ製本には以前から興味があったので、ここでワークショップに参加できてうれしかった。特別な道具がなくても、家にあるものだけでもできそうなので、今度実際にやってみます。

雨水をテーマにしたシンポジウムのワークショップコーナー

わりとまじめなシンポジウムイベントに参加したのですが、会場にお子さんも参加できるワークショップコーナーがありまして。こういうのを見ると、ついついやってみたくなる。

夏休みの期間中って、いろんなところでワークショップイベントをやってますよね。たぶん、学校に提出する自由研究の課題をこういうところでやってしまおうということなのかなと思いますが。「面白そうなワークショップだな」と思っても、子供か、親子でしか参加できないものもあって、「大人向けもやってくれー」と思います。

私の精神年齢が、子どもなのか?

母校でサマーキャンプ

8月11日と12日の二日間、新宿の母校で開催された「誰でもサマーキャンプ2024」というイベントに参加しました。30年前、僕はこの学校で、留学準備のためにひたすら英語の勉強をしていました。当時の校舎がそのままで、めちゃくちゃ懐かしい。

「スポーツバイリンガルMC」について体験しながら学ぶというワークショップで、小学生から高校・大学の在校生、そして私の年代の人たちまで、いろいろな年代の方々が参加していました。

英語でスポーツイベントなどのナレーションを行うという、全く未知の世界でしたが、これがものすごく面白かった。こういう世界があったのか、と。

今どきのAIを使った合成音声なら、バイリンガルのナレーションなどもわりと簡単につくれるのですが、やっぱりそこに感情を込めたり、より空気感や雰囲気を伝えたり、あるいは伝える力というのは、生身の人間の声の方が優れているのだなと感じました。ただ情報を伝えるだけでなく、感情や気持ちを盛り込んだり、あるいは緊急時の適切な誘導なども含めて、イベントの現場で即時に対応できるバイリンガルMCって素敵だなと思いました。

今年もダンスワークショップのお手伝い

昨年に引き続き、今年もまたモチベーションメーカーが開催するダンスワークショップのボランティアスタッフとしてお手伝いをしてきました。

年も年だし、私はそもそもダンスは苦手というか、はっきり言ってドヘタなのですけど、黒須さんが講師を務めるこのダンスワークショップは誰もが自由に踊れて、上手下手関係なしにみんなが楽しめる。私も、小学生に交じってダンスやゲームを楽しみました。

簡単な振り付けから、割り箸を落とさないように二人で運んだり、忍者になりきって「だるまさんが転んだ」で遊ぶとか。もう、年を忘れて本気で楽しかったです。

中村印刷所見学

ダンスワークショップのあと、お誘いいただいて少人数でちょっとした見学ツアーに参加させていただきました。中村印刷所っていう、文具界隈では知る人ぞ知る素敵なノートをつくっている会社さん。

町の小さな印刷所という雰囲気なのですが、ここでつくるノートがすごいんです。特許を取得した、水平に開くノート。2年間かけて試行錯誤を繰り返し、発売したのが2014年。製品は良いのに売れ行きは伸びず、在庫を抱えて印刷所もいよいよ閉鎖かと思われた2016年1月、印刷所で働いていた方のお孫さんのSNS投稿により、一気に注目が集まります。

その経緯はこちらの記事にも詳しく紹介されています。

すっかり忘れていましたが、印刷所の見学にお誘いいただいたときに、「あれ?なんか聞き覚えのある名前だぞ」と思って確認してみたら、なんと私も2016年1月にこのノートを購入していました。ちょうどバズったあたりですね。なんとなんと。

中村社長から、この製品の開発から現在に至るまでのお話を伺いつつ。2016年のあのSNS投稿後のエピソードなど、興味深いお話が盛りだくさん。ますます、このノートのファンになりました。

見学ツアーへの参加など

昨年は、「生物の多様性(バイオダイバーシティ)」をテーマに、半年間ほどSHIBAURA HOUSEで定期的に開催される市民参加型のリサーチプロジェクトに参加していました。その流れもあって、ここ最近「水の循環」について興味がわき、地元の水再生センターを見学したりなど、体験品がら学ぼうとしています。

三河島水再生センター

家の近所にある、水再生センター。前から見学をしてみたいと思っていたのですが、同じ敷地内にある歴史的建造物の方は週末なども見学できるのですが、水再生センターは平日の限られた日しか予約ができず。会社の半休をとって、ようやく来ることができました。

当日の参加者は、私ひとりだけ。なので、ガイドさんとマンツーマンでの見学ツアーで、かなりいろいろ学ぶことができました。都内の下水は、ほぼ八割がた「合流式」というシステムで、汚水と雨水が同じ下水管を通って処理されるというもの。つまり、雨が多い日は、下水処理よりも水害を防ぐことが優先されるので、処理しきれない汚水が川に流れ込むということになる。

私は2021年と2023年の二回、東京ビエンナーレで川に小型の木船を流すという「天馬船プロジェクト」というアートプロジェクトに参加したことがあり、その2回とも当日は雨で、下水混じりの川から回収した小船がものすごい臭いを放っているのを体験し、この合流式下水道の仕組みをもっと知りたいと思ったのでした。

実際に見学してみて、限られた設備の中で、なるべく汚水をそのまま川に流さないように努力をしているってことが理解できました。雨の降り初めに、いったん下水をためておいて、雨が大丈夫になってからあらためてその汚れた水を再生させるための仕組みとか。最低限の塩素消毒などは行うということとか。

隅田川沿いを散歩するのが趣味なので、雨上がりの川の状態がなぜこうなっているのかとか、より理解できるようになりました。

虹の下水道館

三河島水再生センターを見学した際、ガイドの方がおすすめしてくれた、有明にある「虹の下水道館」を訪れました。本当は、その日の午後にある水再生センターの見学ツアーにも申し込もうと思ったのですが、私が訪れた10時半には、もうツアーは満席とのこと。事前予約はできず、当日の先着順なのです。施設のオープンから30分後には着いたのですが、もう埋まっているとは!オープンと同時か、あるいはもっと早くに来ていないとみたいですね。まぁ、夏休みの期間中だったということもあるかもしれないですが。

下水道館の展示自体は、主に子供向けのものが多いようでしたが、十分学びもありました。短い映画を観たりもしつつ。子供向けのコンテンツにしては、ふりがなが少ないのがちょっと気になりましたが。観客は、親子連れが多かったです。

雨水をテーマにしたシンポジウム

墨田区が主催する、「雨水」をテーマにしたイベントがあると聞き、参加してきました。事前予約なしの一般参加は珍しいらしく、受け付けの時に一瞬手間取ったりもしましたが、無事に入場。プレゼンテーションのセッションと、クロストークが面白かった。私が聴講したのは、水文学者で東京大学教授の沖 大幹先生による、「雨の恵みと災い─わたしたちの都合」という講演。データから見えてくる気候変動など、データのとり方によっても見え方が変わるんだなというのがわかった。いろいろな記録をいかにデジタルデータ化して活用していくかとか、実例を見ながらわかりやすく解説。そのあと、パネルディスカッションではさまざまな立場の人が「雨水」という共通テーマでプレゼントディスカッションをするという。アートや文化からイノベーション、建築など、いろんな視点でのクロストークは聞いていて面白かった。QAコーナーで、がっつりと自分語りをする年配の男性が出てくるところとかも、こういうイベントっぽいなと思った。

私はブロガーとして、あるいはただの興味本位のイベント好きとして、こういう催し物に参加する機会はわりと多いので、今回もとても楽しかったです。学びも多く、もっと深堀りしてみたいと思う情報やデータなどもいろいろあり。引き続き、水の循環についてはいろんなところに見学したり体験したりしつつ、学んでいきたいと思います。期限のない自由研究みたいですね。

イベントや展示などいろいろ

さて、ここからはなるべく簡潔に、この夏参加したイベントや、鑑賞した展示などを一気にご紹介。

「GUTEN」新製品発表イベント

まずは、炭酸入りプロテイン「GUTEN」の製品発表イベント。久しぶりのブロガーイベントでした。開発者と広報の方が、しっかりと製品の説明や開発の経緯を話してくださって、すごくわかりやすかった。スタートアップなのにしっかりしているなぁ、と思ったら、マーケティング担当の方は業界の経験者で、やっぱりさすがだなと思いました。

カナダ大使館高円宮記念ギャラリー

カナダ大使館の地下にある、高円宮記念ギャラリーで開催中の「国歌:カナダの多様なアイデンティティーを表す」という展示を鑑賞。会社から近いので、よく昼休みなどにここへ来ます。入口の警備員さんに身分証を見せて、持ち物チェックなどもありますが、中に入ると人は少なくて落ち着いて鑑賞できます。

以前はよくここでブロガー向けのイベントを開催していたので、当時はよくイベントに訪れていました。「オーロラ王国ブロガー観光大使」として、カナダのホワイトホースへオーロラを観に行くという体験もやらせてもらったことがあります。なので、今でもカナダはとても好きです。

ITOCHU SDGs STUDIO

ここも、会社のオフィスからわりと近いので、昼休みなどによく訪れます。展示替えのタイミングなど、「待ってました」と来てみたり。この夏開催していたのは、7月18日にスタートした「地球のあした観測所」という企画展示。Apple Vision Proを活用したコンテンツや、デジタル地球儀「SPHERE(スフィア)」の展示など、未来の地球について学べる内容になっていました。

あらかわの伝統技術展

これは、自分の個人的な興味で。毎年地元でやっている、荒川区の伝統技術をテーマにしたイベント。いろんな職人さんが集まって、デモンストレーションを行ったり、展示販売をしたりしています。ワークショップコーナーもあって、以前ここで親子で螺鈿細工の箸をつくったこともあります。

吉村昭記念文学館

地元の図書館「ゆいの森あらかわ」に併設されている、作家・吉村昭さんの記念館。図書館に来たついでに、企画展をめあてに来ることが多いです。吉村さんの書斎を再現した展示があって、そこで机に向かって原稿用紙に書くことができるので、たまに来ては400文字の原稿用紙に自由に文字を書いてます。

元映画館

その存在は知っていたのですが、来てみたのは今回がはじめて。東日暮里にある「元映画館」は、文字通りもともとは映画館だった場所を改装して、展示や上映などができ、バーもある空間です。私が観たのは芸術漂流教室 2023年度 修了展「トロピカル星ダンス」というグループ展。特に知り合いがいたというわけではないですが、この場所を覗いてみたくて、観に行ってみました。30年前に閉館になった映画館を再利用した施設。面白い。

植物画コンクール入選作品展

国立科学博物館で開催された、第40回植物画コンクール入賞作品展を観に行きました。博物学とアートの中間にある、植物画が好きなのです。今回は、小・中・高の入選作品。みんな、すごいな。
https://www.kahaku.go.jp/event/2024/07botanical/

なお、私は国立科学博物館が好きすぎて、年パス(リピーターズパス)を持っています。

油画専攻3年宮本ゼミ展覧会

東京藝術大学 油画専攻3年宮本ゼミによる展覧会「YADORU / 宿る」を観てきました。国の登録有形文化財「鳳明館(ほうめいかん)本館」を使って、「宿る」をテーマに作品を展示する。これは面白い。

有田泰而「First Born」

六本木の富士フイルムスクエアで開催されていた有田泰而さんの写真展。商業写真家としてファッションやコマーシャルの写真を数多く手がけたのち、晩年は北カリフォルニアの森でテント暮らしをしながら絵画や彫刻を制作したらしい。そういう人生にあこがれる自分がいる。当時の妻のジェシカさんと、赤ちゃんを写した写真作品。単なる家族写真以上の芸術性を感じる、素晴らしい作品。

シェアする落語

ブロガー時代からとてもお世話になっている四家さんが席亭を務める落語会「シェアする落語」。今回で36回を迎える落語会のゲストは、三遊亭ぽん太さん。この会の特長は、一般の落語会と違って「シェアタイム」というものがあること。その対談の時間は、写真撮影や、SNS等でのシェアもOKという。毎回参加できているわけではないけど、楽しみなイベントです。

代官山蔦屋書店

代官山の蔦屋書店で、中銀カプセルタワービルのフェアをしているということで、さっそく行ってきました。ここの店員さんのひとりが、以前中銀カプセルタワービルに住んでいた方で、過去にも何度かここでイベントやフェアを開催しています。私も、ゲスト登壇者のひとりとして、トークに参加させてもらったことがあります。

今回のお目当ては、和歌山県立近代美術館に展示されているカプセルとのコラボグッズ。私も、2019年に1か月間中銀カプセルタワービルに住んでいたことがあり、2022年に建物自体は解体されてしまった後も、保存・再生された23個のカプセルの「追っかけ」をしていて、今年の1月に和歌山のカプセルも訪れています。

今回は、缶バッジをゲット。ちなみに、2022年に発売された50周年記念の缶バッジの方は、私がデザインを担当しました。

チェコセンター東京

写真と陶芸を学ぶチェコの美大生たちが作品を展示する、「さあ、食卓を飾ろう」という展示がチェコ共和国大使館のチェコセンター東京で開催中。初日に観に行ってきました。私は大学で陶芸彫刻を専攻しており、さらに写真のクラスも受講しており、卒業後は写真が仕事に結びついたということもあるので、今回の展示にはがっつりと心を掴まれました。あぁ、また陶芸をやりたいな、と。

本とつながり

この記事の最後に、この夏出会った本のつながりとエピソードなど。

本を読むのは好きです。留学していた学生時代は、活字中毒患者の禁断症状みたいになって、日本に一時帰国した際に段ボール箱一杯の古本を買い集めて船便で送ったりなどしていました。ロサンゼルスに住んでいた頃は、リトルトーキョーにあった日本語の古本屋さんで、旧仮名遣いの古い文庫本を買いあさったり。

読むのが好きなので、必然的に書くのも好きになったのですが。1993年に英語の勉強をしていた際に、アメリカ人の英語の先生が「フリーライティング」という書き方を教えてくださり、それがきっかけで書くということがもっと好きになりました。

この夏、一冊の本と出会います。『世界を配給する人びと』という、シリア、マレーシア、マダガスカル、ウガンダ、グリーンランドにそれぞれ縁がある筆者たちが、出会いやきっかけについて書いた本。その編者であるアーヤ藍さんから、献本しますという連絡をいただいたので、その予習としていくつかの本を読みました。

まずは、もともとはこの本を編集・出版するはずだったみずき書林の岡田林太郎さんによる『憶えている』という当人の日記(ブログ記事)をまとめた本。副題が「40代でがんになったひとり出版社の1908日」とあるように、出版とガンとの戦いを赤裸々に描いた自伝でもあります。

この本を出版して間もなく、岡田さんは亡くなります。

岡田さんが出版した数少ない本のひとつが、大川史織さんの『マーシャル、父の戦場』。1945年4月にマーシャル諸島で亡くなった日本兵の佐藤冨五郎さんの日記が、2歳で父と別れた息子の勉さんのもとに届き、その日記内容と、いかにして解読しかのエピソードなどが書かれている本です。

大川さんのことは、岡田さんの『憶えている』にも何度も登場しています。もともとは、佐藤勉さんが父の足跡をたどってマーシャルを訪れた様子を大川さんが撮影し、ドキュメンタリー映画作品『タリナイ』がつくられました。私が、大川さんのことを知ったのはその映画の舞台挨拶で。その時、アーヤさんも司会兼広報としてその上映会にいました。その後、浅草で富士塚に登るという朝活の遊びをした際、アーヤさんと大川さんが参加してくださいました。

佐藤冨五郎さんの日記によって、『タリナイ』と『マーシャル、父の戦場』が生まれ、さらに岡田さんの『憶えている』がその二つの作品の裏側にある隠れたエピソードを表現し、岡田さんの遺志を受け継いだ大川さんと、同じく『タリナイ』のプロデューサーを務めた​藤岡みなみさんが共同で出版社「春眠舎」を立ち上げて、その出版第一弾としてアーヤ藍さんの『世界を配給する人びと』を完成させた、と。

7月27日、『世界を配給する人びと』刊行記念イベント「シリアを想う国際協力従事者&マダガスカルのバニラ商人と一緒に"世界の重なり合い"を考える」に参加。本書で、シリアについて書いた斉藤亮平さんと、マダガスカルについて書いた武末克久さんがご登壇。司会進行は編者のアーヤ藍さん。そして会場には大川史織さんもいらっしゃってました。この日、私は本を受け取り、さっそくこの本を書いた4人の皆さんにサインをもらいました。

実際に本を読んだのは、翌週に英治出版で開催された『夜な夜な読書タイム』のイベントにて。45分間参加者が各自自由に本を読んで、その後読んだ内容を会場にいる皆さんとシェアするという内容の読書会。週に一回くらいのペースで開催されている会で、私も会社帰りに時間があえば参加するようにしています。会場にある英治出版の本を読んでも良いですし、自分で本を持ち込んで読んでもOK。この日は、『世界を配給する人びと』を持ち込んで読みました。

そして、8月22日に英治出版で開催された、『世界を配給する人びと』と『自分の「声」で書く技術』という二冊の本がコラボしたイベントに参加。この、『自分の「声」で書く技術』という本こそが、私が1993年に強く影響を受けた「フリーライティング」について書かれた本だったのです。そしてこの本も、英治出版の「夜な夜な読書タイム」で初めて読んでみて、かなり内容に興味を持ったのでその場で購入。改めて、古い初版の方の原書にも目を通しました。フリーライティングだけでなく、グローイングや、クッキングと呼ばれるプロセスがあること。ティーチャーレスクラスという、先生不在のライティング学習の方法など、それまで私が知らなかった新しい情報も学びました。

そして、この、自分が影響を受けた二つの本が出会うイベント。小さなきっかけや繋がりを追いかけていったら、バチンとクロスして、ストンと腑に落ちるというような。なんだか、来るべくして来たというか。導かれているなぁと感じるのです。とにかく、自分が興味を持ってその方向に進んでいると、そのスピードとベクトルに合わせていろんな流れが合流してくるというような。

こういう瞬間に、とても満ち足りた気分になります。

というわけで、そんな「夏の思い出」を書き綴ってみました。8月31日の朝に書き始めて、途中ほかの記事から抜粋して持ってきたりもしつつ、午後はグループ展のクロージングパーティでアーティストトークをしていたので執筆を再開したのは22時ころになり、日付が変わって9月1日になったけれど、なんとか「夏休みの宿題」は終わったかな、と。

いったんここで、この記事を公開しておきます。

この記事が参加している募集

「日曜アーティスト」を名乗って、くだらないことに本気で取り組みつつ、趣味の創作活動をしています。みんなで遊ぶと楽しいですよね。