伊豆平成さんの感想への返信

~あるいは「ゾンビ映画を1ミリも知らない俺がゾンビを書いてみた」の話~

ともかく、皆様にはぜひ私の駄文ではなく伊豆平成さんの素晴らしい著作を買って素敵な読書ライフを送ってほしいとおもいます。


↓伊豆さんのプロフィールはこちらです。作家さんです↓


(以下、自分の作品「ゾンビつかいの弟子」の基本設定等について触れていますが、ストーリーのネタバレのようなものは無いと思います。)

最初に、ご指摘・質問?的な部分へのお返事をざっと

・ヒロインのビィについて
→彼女が主人公と一緒にいるシーンは、とても少ないです。なので、印象が薄いのは私の書き方の問題だと思います……正直扱いに困って持て余したキャラクターです。

・伊東の高校の教師がその後出てこない
→単純に、完全に忘れていました(!) あの時点で私の興味が(その結果、必然的に主人公の興味が)神白という男に集中してしまい、他の人物のことがすっぽ抜けていました。

・伊東の亡くなった妹の話は、もう少し知りたいところではあった。あと、お父さんのことももう少し知りたかった。家族が、妹についてなんらかの話をするシーンが出てくるかと思っていたのだ(あ、待ってよ、どこかであった? 読み逃している?←心配になってきた)。

→無いです。
親については、書き漏れではなく、意図してこの話題を避けていました。
本当を言えば、主人公の両親がまったく出てこない話にしたかったです。少年漫画や少女漫画によくあるような、「よく分からないけど親は不在」という状態でお話を進めたかったのです。しかし上手いことそこらへんが調整できず、書きながらだいぶ困ってました。

妹の死については、これも、書き方が分からなかった……というのが正直なところです。書き方が分からないのに何故その設定をぶっこんでしまったのか、主人公のトラウマを別なものに設定すればよかった、と、書きながら何度も思いました。

・T大と書かれると、大半の人は東大を連想してしまうのでは
→こちらは、東北大でした。この点は、この作品の舞台が「実は東北だった」ということと関わってくるので、もう少し書きます。


以下、2点だけ長く書きます

1 作中に出てくる「東北・北関東の地名」について。

色々と無計画すぎました…
地名と固有名詞をどこまで明かすのか、方針が途中でブレまくってしまい、あちこち破綻しかけています。とくに主人公の所属する大学については、ストーリー上、単に頭文字がTの大学なら何でもいいということにはならないので、ここをうっかりと伏せてしまったことは本当に酷いミスで。

物語はM(宮城)県S(仙台)市の西端近くに始まり、そこで主人公の伊東は神白という不思議な男と出会います。そのあと、ふたりがはじめに出かける場所はT(栃木)県であり、その次にC(千葉)県を目指して出発するものの、途中のF(福島)県に長く足止めされることになります。
このF県にいる場面で、主人公の受けようとしている大学が「この地方でもっとも有名な」「T(東北)大学」だと明かされています。
また最終章の舞台は、G(群馬)県です。

私はどこかの時点で「舞台が東北であること」を読者に示したつもりでいて、だから「T大」と「東大」の混同は起きないだろうと思ってたんですが、いま、伊豆さんにご指摘されて思い返してみると、……示してない。うっかりにもほどがある。
イニシャル表記になど、しなければ良かったのです。ほんとに。

この作品は2016年(後半は2017年)の東北が舞台です。そして、もう敢えて触れてはいませんが、この作品の舞台である「架空の東北」も震災を経験しているはずです。だから、主人公の妹の死因も、(私には上手く描けませんでしたが)必然的にそこになってくるしか無いんだろうな、と。

震災への思いは複雑です。私は仙台市で被災しました。しかし、被害がとても少ない地域にいたことや、自分の直接の知り合いがひとりも亡くならなかったこと、それに当時はうつ病の闘病中で正直「それどころではなかった」こと等が重なって、どうしても自分が震災の当事者だったという実感が持てません。

ただ、あのときの「世の中の反応」に大きな衝撃を受けました。自分たちの生活が突然理不尽に破壊され始めたとき、そこに暮らす普通の人たちがどんな反応をするのかを、SNSと、実生活の両方から、目の当たりにしました。それは私の想像とはずいぶん違った反応だったので、とても興味深く思い、それ以降、何年もそのことを考えるようになりました。

1章から2章にかけて主人公がずっと淡々と語っていく「社会の崩壊」は、私がそのときに見たものや、感じたことをかなり反映しています。

で、そのテーマでずっと書いていくつもりだったんですが、途中で続かなくなりました。


2 「ゾンビ」について

これも「妹の死」と同じで、考えなしにその言葉をタイトルに放り込んでしまった結果、いざ書き始めてみると、書けないことに気づいて、苦しむことになりました。この作品を始めたのは3年前ですが、3年前の自分がこのタイトルをどう処理するつもりでいたのか、本当に思い出せないです……たぶん何も考えてなかったんだろうな。

じつは、私はゾンビ映画を1本もまともに見たことがありません。かなり長い間(20代後半くらいまで)、怖い映画がまったくダメだったので、だいぶ平気になってきた現在でも、いまだにホラー映画を見る習慣がなくて。

それで、序盤のほうではどうにかして、ゾンビをはっきりと出さずにしばらく誤魔化せないかなあと(だって書けないから)、そんなことばかり考えていて、そういうわけでこの作品の序盤はゾンビがさっぱり出てこないのです。

で、2章あたりまで来たときに、先に挙げた「社会の崩壊」の描写も「ゾンビ」についての設定も両方行きづまって、長く休載することになってしまいました。

この時点で「今からゾンビ映画を見て勉強しようか」と何度も考えました。そのほうが絶対にたくさんネタは出るだろうし、「ゾンビ」という言葉で読者の皆様が思い描く数々の「お約束」を知らない状態で書くのは、怖くもあるので、やっぱり取材は必要だろうと。

ただ、ちょっとそこで急に興味が出てしまったのは「ゾンビ映画を1ミリも知らない状態でゾンビを書いたらどうなるのか」ということです。知らない状態、というのは、あとから再現ができないですし、私は「ちょっとしか見たことない」のではなく「まったく見たことがない」という人間なので、こういう状況というのも貴重かも知れない、と思って。

結果、私が手探りで考えて書いたものを、多くのゾンビ映画を見てきた伊豆さんからこのように評していただけて、もうなんというか……伊豆さんの感想を読みながらドキドキしっぱなしでした。伊豆さんの感想が「ゾンビ映画が大好き」という話から始まっていた時点で、ああ、よりによって、自分がいちばん感想をもらうのが怖い相手! と、ぞっとしました(笑)

楽しんで読んだという感想をいただけて、ほっとしております。
長々とすみません。
ありがとうございました。


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それはともかく「ゾンビつかいの弟子」「怪獣をつかう者」は二次創作、ファンアート、絵、歌、朗読、コスプレ、無断転載、再配布、全て自由です。作者を偽らないでくれればあとは何をしてくれてもかまいません。もし面倒なら、特に報告なども不要ですので、皆で可愛がってやってください。

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アラサーのママです。長編小説「ゾンビつかいの弟子」「怪獣をつかう者」目次ご覧ください→ https://note.mu/toma_mori/n/n40761080856c SFとかパルプ書きます。
コメント (2)
感想の返信、ありがとうございます!
なるほど~と思うところが多々ありました。
東北は、「もしかしたら?」という気はしていたのですが、T大という表記に安易に東大へ引きずられてしまいました。
そうか、関所やコンビニ屋……そうだったのかあああ……って感じです。
妹の設定に関しては、一読者としてもったいなあ~なんて思っています。いやなに「ゾンビもののお約束」が心のどこかにあった私は、「いつか妹がゾンビとなって出てくるのだろうか。死のことを多く語らないということは、実際には埋葬されていないのでは。だとすると……」などと思っていたからなのです。
そして、「ゾンビを知らない状態で書かれたゾンビの話を貫いた」判断は、正しかったと思います。続編も楽しみです。
伊豆さん、
ありがとうございます。

妹がゾンビに…言われてみればそんな前フリになってましたね… いや、主人公がもっと妹のことを持ち出して騒ぐ、みたいな展開は案としてありました。つまり、あのゾンビは俺の妹の可能性がある、みたいなこと言い出すんじゃないかと。
しかし神白がうるさ過ぎて(?)この話題を入れる隙間が無かったです。

続編は…(どうしよう面白半分で書いてるとは言い出せない…) 題材としてはまた映画的なものになるかと思います。
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