見出し画像

車椅子と温泉

障がいと一言で言っても様々な種類がある。僕は障がいに関して知識があるわけでもないし、簡単に語れるものでもないと思う。
でも剛さんと知り合ってから障がいというものを身近に感じ、前よりも考えるようになった。

剛さんは別府で車椅子生活を送る32歳。山登りや温泉巡りなど、障がいの概念を変えたいと様々な挑戦を続けている。

「別府温泉ルートハチハチ」は88か所の温泉を巡りスタンプを集めると名人になれるという「別府八湯温泉道」をモチーフにしている。
車椅子の方も同様に名人になれるのだが、車椅子で温泉巡りをするというのはそう簡単ではない。

剛さんは普段の生活からヘルパーさんに付き添ってもらい生活しているが、温泉に入るためには最低2人と一緒に入らなければならない。1人では車椅子から降りることもままならないからだ。

剛さんと初めて会ったのは2018年の2月。トキハ別府店で働く菊地さんに「神父さんに会わせたい人がいる」と言われたのがきっかけだった。
初めて会った時、僕もルートハチハチをこれから始めるというタイミングで、剛さんもこれから山登りに挑戦すると言っていた時期だった。

「神父さん、おれフロテロリストやりたいんすよ」そんな提案から形を変え「FURO JACK CITY」という名前を一緒に考え、故・村上太陽さんの奥様にロゴの使用許可を頂き、いよいよ公開することになった。(太陽さんが作ったNEW YOKU CITYのロゴとデザインが同じため)

撮影するまでの間、様々な企画を考えたり、飲みに行ったり、温泉を巡ったり、友人としても仲良くなった。
法華院温泉に行く山登りにも参加させてもらったが、常に感謝をしている姿は胸を打つものがあったし、参加者の方が剛さんに「良い経験をさせてもらった」と一番感謝していた。それは僕も同じ気持ちだった。

新聞やテレビで紹介されたこともあり、山登りの後には
「こんなイベントはヘルパーに酷だ」
「自分は何もしてない。ただのお荷物じゃん」
そんな風に叩かれたという。

障がいというデリケートな問題が絡む以上、様々な意見があるのは当たり前だが、剛さんという人に魅力や情熱がなければ、そもそもこれだけ沢山の人達が助けてくれるはずもない。

いつも人を叩くのはその場所にいない人だ。

「神父さん、僕は自分らしく生きたい。まだまだ未熟者ですが、よろしくお願いします」

「自分らしく生きる」というその反骨精神こそが、剛さんの根っこにあるもので、だからこそまだまだ新しい挑戦に踏み出して欲しいと思う。

この作品はハンディキャップによって窮屈な生活をしている人達への応援歌でもなければ、障がいの大変さを訴えるものでもない。
ただ、橋本剛という人間にスポットを当てて、温泉をフロジャックする姿を撮影しただけだ。

障がいがあるなしに関わらず、剛さんの挑戦する姿が、少しでも「自分らしく生きる」きっかけになってくれればと思う。

2019.7.7 東京神父
塚原温泉「FURO JACK CITY」

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

note.user.nickname || note.user.urlname

東京神父 写真家。1978年4月20日生まれ。 別府出身、自由が丘在住。

大好き。
4
「神父の湯」では主に現在撮影中の「別府温泉ルートハチハチ」のメイキングの話をします。 http://bor88.com
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。