どうして自分で本をつくるのか?

本を作りたいとおもったことありませんか?
今ならネット経由でたくさん印刷会社があります。個人でも作れます。
でも普通、印刷って、大量に刷ったほうが安いんです。 
10冊より20冊、100冊より200冊の方が単価は断然安い。

でも100冊はいらない、10冊でいいんだ。でももしかしたら、30冊になるかも。
そんな風に自分だけの本を作りたいと思ったことはありませんか?
私は大ありでした。そして、二年前から製本を習うことにしたのです。

もちろんきちんと内容を詰めて出版社に持ち込むなんていう方法もあるかもしれませんが、でも(万が一それがうまくいったとしても)、そうやってダメ出しされながら売るための本を作るのもちょっと違う、という感じ。
もしお金を無尽蔵につかってよければ、100冊とか200冊とか個人で印刷して周囲に配りまくるというのもありだけれども、それも自分の気持ちはちょっと違う。

材料の印刷だけしておいて、少しずつ時間があるときに作る。あくまでも少数。金額的な負担は最小に、少しだけ紙の色や質感にこだわり、あとは自分の時間をつかって作り、たくさんの達成感とともにお届けする本。
どこかにいる(かもしれない)この本の内容を好きと思ってくれる人に、手に取ってもらえる本。コミュニケーションの入口になれるような本。

作るのは、3冊でも10冊でも50冊でも。それは後から考える。
(今はとりあえず150冊分の材料を最初に印刷しています)
出来上がった本を廃棄するのは心が痛むし、さみしいけれども、
紙だったら、それをつかってさらなる製本の練習材料にすればいいのです。
ね、ちっとも心が痛まないでしょ?
今の私の製本速度では、時給換算したらまったく無意味な作業ともいえるのだけど、でも作れば作るだけ進歩するって、なんて素敵なんでしょう。
少しずつ、紙と仲良くなれてる気がします。デジタル全盛で、本を作る必要がない時代がくるからこそ、大事な技術だと思っています。

「えー。ただのフォトブックでしょ?」
「本作る会社紹介しようか?」
「変わってるねー。時間の無駄でしょ」
と笑った人はたくさん。
私も、まったくだよね、と笑いがこみあげました。

でももし、お金をかけて一世一代の本をどこかに依頼して作ったら、めったなことでは次作は作れません。でもこのやり方なら、少しずつ印刷費を回収しながら、どんどん次の本を作ればいいのです。
竹ひごをかませて重しをして、一晩寝かせて本が出来上がったときの、そのうれしさたるやもう、ちょっと言葉にできません。

自分らしい内容の、手のひらにそっと乗るような、邪魔にならない写真集。そんな自分だけの本を作ってみたい。
取り敢えず今の気持ちです。また時間がたつと何かが変わってくることでしょう。その時はまた書いてみたいと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?