すずよこ

築コレ〜オツな若ぇの生け捕ってきやした85 神田すず

 女流講談と出会い、講談を聞いているうちにプロの道へ進んだ神田すずさん。今日は修業の思い出が多い旧・本牧亭のあった場所へ案内してもらいました。
 友達に誘われて落語の寄席に行って、何度か行くうちに女性の講談を見る機会があって、その時は女の人もいるんだって思いました。そのうち落語よりも講談のほうが面白いと思うようになり、講談の会に行くことが多くなりました。転職して定時に帰れるようになって、習い事でも始めようかと思った時に、永谷の講談教室があることを知りました。師匠すみれの教室に初級コースがあって、その前にも師匠の高座は聞いていましたので、この人に習いたいと入会しました。
 いろいろ講談を聞いていくうちに、白浪物とか侠客伝を聞いて、悪い人が主役の話があったり、ハッピーエンドではない話があったりすることに衝撃を受けまして、そういう話にやみつきになって、自分の物語に対する世界観が大きく変わりました。こんなに面白いんだ、やってみたいな。でもどうやって入門していいのかわからない。入門するには師匠に土下座をしなきゃいけないんじゃないかとか、思い悩んでいるうちに、やはり弟子入りするなら師匠だろうと思いを固めました。教室が終わった時に恐る恐る「先生、私、講談師になりたいんですけれど」と、思い切って言ってみたら「いいわよ」。嬉しかったです。
 社会人を経験していたので、前座の頃は講談界とのギャップに戸惑うこともあったのですが、春陽兄さん、あおい姉さん、山緑兄さんに親切に教えていただいて、やってこられました。師匠は小食なので、一緒にレストランへ行くと、半分くれるんです。私は1.5人前いつも食べていました。さすがに私が少し太り出したので、それからは師匠はくれなくなりました(笑)。
 いまは『太閤記』や『寛政力士伝』など連続ものをやっています。女には相撲ものは難しいって言われますけれど、とにかく挑戦だと思ってやっています。連続ものにはダレ場もあるんですけれど、師匠の傘の下で、とにかくやらせていただいています。好き嫌いを持たず、なんでもやっていきたい。楽しい講談をやって、もっといろんな人に講談を知ってもらいたいです。(稲田和浩)

神田すず・かんだすず

東京都東村山市出身。2006年8月、神田すみれに入門し「すず」。10年9月、二ツ目昇進。血液型AB。講談協会に所属

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