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東京かわら版 築コレ

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「築コレ〜オツな若ぇの生け捕ってきやした」 若手寄席芸人を紹介する、本誌では100回を迎える人気連載を掲載。 バックナンバーは随時更新予定。
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2018年6月の記事一覧

築コレ〜オツな若ぇの生け捕ってきやした108 林家たま平

林家たま平さんと、浅草・尾張家本店で待ち合わせ。天ぷら蕎麦を食べながら幼少期の頃や、今後の事など、お話を伺いました。  高校3年生の12月頃に、大女将・海老名香葉子に「ちょっと話がある」と言われて、二人でここにきて「将来何になるんだ」と言われました。偶然隣の席が和菓子屋・亀十の旦那さんで、急に女将さんの手を握って「いい話を聞いた。俺が仲人になるから、坊っちゃん、噺家になってくれ」って言われ、周りから固められて、断れない状況が生まれました(笑)。  実は師匠の正蔵も、初代三平も

築コレ〜オツな若ぇの生け捕ってきやした107 三遊亭好吉

五代目円楽一門会のホームグラウンド、お江戸両国亭で三遊亭好吉さんと待ち合わせ。  ここは最初は違和感しかなかったです。真ん中に大きい柱があることにびっくりして、会場が斜めなことにもびっくりして、椅子がパイプ椅子なことにまたびっくり。でも演ってるうちに愛着が湧いてきて、改修工事があった時は寂しくなりました。結果、柱が以前より太くなったんですけど(笑)。  落語を聴くようになったきっかけは、大学の試験期間中気分転換に図書館で、大学の先輩でもある桂枝雀師匠のビデオを見たら面白く

築コレ〜オツな若ぇの生け捕ってきやした106 雷門音助

 今回は雷門音助さんが前座時代、毎日のように通っていた憩いの場所、野方の銭湯・上越泉へ。  この銭湯から徒歩1分の場所に住んでいました。おかみさんによくしていただきました。通っているうちに「落語やってるんです」って言ったら、おまんじゅうをくれたり、お総菜をくれたり。毎年大晦日も師匠の家の大掃除を終えて、ここの湯船につかっているうちに年を越していました。今日は久しぶりに来たんです。懐かしいな。  幼稚園から高校卒業までサッカー少年でした。父が指導コーチやシニアサッカーをやっ

築コレ〜オツな若ぇの生け捕ってきやした105 桂竹千代

今日の待ち合わせは上野恩賜公園。そこへやって来たのは、竹丸門下の桂竹千代さん。  ここへは、浅草や上野で打上のあとにやって来て飲んでいました。二ツ目昇進直前の時も、後輩がお祝いをしてくれて、二次会で15人くらいでここへ来て朝まで飲みました。思い出の地です。  大学在学中は落研に所属しつつ、ワタナベコメディスクールにも入り、大学院を卒業するまで、漫才師やピン芸人として活動していました。漫才コンビを解消した時、同期の仲間が「落語家が向いているのでは?」と、落語のCDを貸してくれた

築コレ〜オツな若ぇの生け捕ってきやした104 柳家ほたる

江戸時代に建てられた土蔵がアートスペースとして併設されているカフェ、浅草のギャラリーエフで猫と遊んでるのは…柳家ほたるさん!  動物写真家・岩合光昭さんの猫のテレビ番組を見て、「猫、かわいい♡」ってノックアウトされました。それで、看板猫がいるお店を検索してたらエフさんが出てきたんです。行ってみたら銀次親分っていう猫がいきなり僕の膝をすりすりしてお出迎えっていう最高のおもてなしをしてくれて、もうメロメロ。それから猫にぞっこんです。  二ツ目になって時間が出来て、前からカメラが

築コレ〜オツな若ぇの生け捕ってきやした103 鏡味味千代

お正月らしく、太神楽の鏡味味千代さんにご登場頂きました。思い出の地、国際基督教大学(ICU)でお話を伺いました。  海外志向が強くて、ICUに行けば海外に近い環境に身を置けるんじゃないかと思って、入学しました。リベラルアーツといって、教養学部しかなく、理数系の授業も選択科目で取れますし、全ての学問はつながってるという考えにも共感したんです。  卒業後の社会人だった当時は、海外に日本のことを紹介したいなと思って仕事をしていました。ある日、父に連れられて末広亭に行ったんです。「こ

築コレ〜オツな若ぇの生け捕ってきやした102 林家なな子

林家なな子さんと相撲部屋で待ち合わせをしました。入門のきっかけの一つがここにあるようなので……  入門前は会社勤めをしていました。その頃から将来は自分の好きなことをして生計を立てたいなと考えていたんです。ここでぶつかり稽古を見ている時に、力士たちは人生をかけて相撲道に精進しているし、自分はそういう気持ちで仕事ができてるのかなと思いまして、今よりも情熱を注げる仕事があるのかもしれないと思ったんです。  初めて寄席に行って後に師匠となる正蔵を観た際に、客席がお花畑みたく、ブワァー

築コレ〜オツな若ぇの生け捕ってきやした74  春風亭昇也

今月は春風亭昇也さんと、新宿の熊野神社にやってきました。  通っていたお笑いの専門学校がこのすぐそばで、よくここで相方と漫才の稽古をしていました。久しぶりに来ましたが懐かしいですね。当時の境内はこんなに整備されていませんでした。  実家は酒屋を営んでいて、あまりかまってもらえず、テレビっ子でした。幼稚園のころからひょうきん者のポジション。小学校の3、4年生の頃にはお笑いの道に進むと決めていました。友達との帰り道での会話があまりに面白くて、自分達しか聴いていないのがもったいな