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ジャック・ドーシーがTEDで語った「Twitterの未来」

はじめに

Twitter CEO のジャック・ドーシー(Jack Dorsey)がカナダのバンクーバーで開催された TED 2019 のトークセッションで、「Twitterの未来」について話しました。

TED の代表者であるクリス・アンダーソン(Chris Anderson)とジャーナリストで現在は TED で扱う問題をキュレートするホワイトニー・ペニントン・ロジャース(Whitney Pennington Rodgers)も同席し、さまざまな危機に直面している Twitter が今後どうなっていくのか注目されました。

ジャックが TED で語った「Twitterの未来」に影響するだろう3つのポイントを紹介します。

□ 気持ちよくTwitterを使えるようになる

Twitter で起きる会話はオープンでパブリックです。そのため、他者から悪口を言われる、ハラスメントを受ける、人の心を操る、悪意のある自動化がされる、誤情報が発信される、といった問題を会社として数多く見てきました。これらの問題は Twitter を開始した13年前には予期していなかったことで、増え続けています。

誰もが Twitter を使い始めるとき、世界のことについて何か学ぼうとしています。しかしながら、現状は他者から被る害を耐えぬくことに、ユーザーは時間を割いてしまっているのです。これは今 Twitter 社が心配している問題の1つなのです。

今までの Twitter は他者から何かしらの被害を受けたとき、その被害者が Twitter 社に報告しなければ問題は解決されないようになっていました。これは、Twitter 社に問題を報告する被害者、そしてその対応に追われる Twitter 社にとって大きな負担のかかる問題でした。

昨年からディープ・ラーニングやマシーン・ラーニングによるアルゴリズムを活用し、先回りしてこれら問題の解決を試みるようにしています。現在、悪意のあるツイートの38%が特定されるようになり、Twitter 上の被害者は以前に比べて問題を報告しなくてもいいようになりました。会社としてもスケールして問題を解決することができます。

よく聞かれることですが、アルゴリズムによって報告された問題の最終的な検証は必ず人を介して行われます。報告された問題が人の目から見ても問題であると判断されると、人の手によってコンテンツの削除やアカウントの停止措置がされます。

Twitter では主に「内容」ではなく「行為」をベースに問題かどうか判断しています。1つのツイートからその内容に問題があるかどうかテクノロジーが判断することは難しいです。一方で、何度も誰かを傷つけるような行為が見受けられると、それは問題として認識されやすいのです。差別的なグループに所属するユーザーが人が嫌がるような画像を送って問題となっていれば、すぐに人の力で対処するようにもしています。

Twitter 上のコンテンツを検閲するチームの体制は柔軟的です。例えば、ある国で選挙が行われるとき、通常よりも多くの人員を検閲にあてさせます。しかし、コンテンツを検閲する人が社内に増えても、問題はスケールして解決されません。なるべくテクノロジーの開発に人員をあて、将来的にテクノロジーが被害者と会社の負担を減らすことを目指しています。会社はテクノロジーの活用と人の創造的な力のバランスを取る必要があるのです。ネガティブなことばかりを処理するのに集中し、Twitter のいいところが失われてはいけません。ネガティブな部分は機械が処理し、創造性の発揮が必要な場面では人が対応することが求められます。

□ 「アカウント」から「興味・関心」のフォローへ

Twitter のサービスを開始したとき、ユーザーのアカウントをフォローすることをコンセプトに設計しました。フォロワー数を表示し、大きくて目立つ数字がプロフィールにあることがいいことだと考えていました。しかし、Twitter を利用するユーザーはアカウントをフォローするために Twitter を利用し始めたわけではありません。Twitterは、興味・関心をベースにして繋がるのに最もいいネットワークなはずです

今後は誰かのアカウントをフォローするよりも、興味・関心のあることをフォローし、それに合わせてトピック、ハッシュタグ、トレンド、モーメント、コミュニティーなどが表示されるようになるかもしれません。そうすることで、Twitter 利用者の見える視野が広がるのです。Twitter はテクノロジーの進化を続けていますが、今後はサービスの根本的な土台が変わることで進化するかもしれないのです。

□ 「会話の健全さ」が生まれる

もしジャックが Twitter を改めて作るとしたら、フォロワー数、リツイート数、いいね数はそんなに強調しません。いいねの機能すら最初に作らないかもしれません。なぜなら、その機能は自分たちが今信じている「健全な会話」を押し上げるものではないからです。

「健全な会話」とは、ネットワーク上の会話が増え、ユーザーが会話に加わり、会話からユーザーが何かを学ぶことができるものです。Twitter 社はこのような世界を目指しています。Twitter を開始した13年前には思ってもいなかったことですが、今はとても重要なものだと思っています。

今 Twitter にある機能が本当に「健全な会話」を押し上げるものなのか、会話の健全さとは何か、「健全な会話」を押し上げるものは何か、何を指標にして会話の健全さを測るか、ということを考えています。会話の健全さを測ることは可能だと信じていて、現在 MIT の「Cortico」ラボと共同で取り組んでいます。

ジャック自身は、誰もが世界の直面するさまざまな問題を知り、世界中で会話が生まれ、1人では解決できなかった問題が世界中の協力者たちと一緒に解決することができる世界が来たらいいなと思っています。Twitter はその世界を実現させる一部のツールなのです。

Twitter 上で豊かなネットワークやコミュニティーを作り、毎日何かを学んでいるユーザーは今もいます。一方で、ネットワークやコミュニティーを作ることに、多くの労力と時間をかけすぎてしまうユーザーもいます。ユーザーが興味ありそうなトピックを与え、ユーザーが Twitter で得られるものを最大化してあげたいのです。現在の Twitter 収益は主に広告ビジネスからきていますが、ビジネスを大きくするためにユーザーの利用時間を最大化することは考えていません。たとえ1日のサービス利用者数が減ったとしても、会話が生まれユーザーが会話から何かを得ることができればそれでいいのです。そのため、会話がどれだけ注目されているのかという点で、会話の連鎖を測ろうとしています

最終的には「Twitter 上でユーザーが何かを学ぶことができ、Twitter を去った。」というのが測れる指標があればいいなとも思っています。

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