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ブラオケ的ジャズ名曲名盤紹介 ~これを聴け~ #9 「クリスマス×Jazz」

0.はじめに

この記事が投稿される今日、12/24はクリスマス・イブである。2022年は土日とクリスマス・イブ、クリスマスが重なっている。これを読んでいる読者の貴方にはどんなクリスマスを過ごす予定だろうか。大切な人と過ごすも良し、一人でゆっくりするも良し、仕事や勉強に没頭するも良し・・・。是非思い思いの一日を過ごしてもらいたい。
さて、せっかくクリスマス・イブに記事を投稿するので今回は「クリスマス」に注目して記事を書こうと思う。

個人的な考えたが、クリスマスは他の季節行事に比べて、街中を音楽で彩るシーンが多いような気がする。それは単にクリスマスを歌った歌が他の行事に比べて多いだけなのかもしれないが、それでも音楽が流れているとそれだけでワクワクしてくる。
街中を流れる音楽に耳を傾けている方は若干お気づきかもしれないが、実はJazzとクリスマスは相性が良い。もちろん、一番は讃美歌や民謡なのだが、クリスマスを彩る音楽の大きなジャンルの一つに「ポップス」がある。今でこそ国内外様々なアーティストが「ポップス」を歌うが、第二次世界大戦前後まで、ポップスシーンを牽引していたのは意外にもジャズ・アーティストである。クリスマスの民謡などを小編成でアレンジし、歌詞をつけて歌う、そんな自然な流れをジャズ・ヴォーカリストやプレイヤーが担うことで、非常に自然な形でジャズが溶け込んでいった。

もしかすると、既にサブスクリプションサービスで「クリスマス・ジャズ」のようなプレイリストから聴いている方もいるかもしれないが、今回は「これを聴け」流のプレイリストを作ろうと思う。有名どころが多く名を連ねるため、既にご存知の曲やアーティストが多いかもしれないが、クリスマスシーンを彩る音楽の一つとして、今晩だけでもジャズを楽しんでいただければと思う。

1. 『It's the Most Wonderful Time of the Year』/Accent (ft. Gordon Goodwin's Big Phat Band)



1曲目はアカペラグループ「Accent」とアメリカを代表するビッグバンドの一つ「Gordon Goodwin's Big Phat Band」とのコラボレーションで生まれたクリスマス・スタンダードの『It's the Most Wonderful Time of the Year』。男声だけとはいえ、そのハーモニーの美しさは素晴らしい。ビッグバンドとのアンサンブルも素晴らしく、特にバス声部とバリトンサックス、バストロンボーンとのアンサンブル(動画だと2:58~)はまさに完璧である。バンドとコーラスの掛け合いも聴いていて心が弾んでくる。
この記事のオープニング、またゴージャスなクリスマスにしたい時にピッタリな一曲である。

2.『Sleigh Ride』/Mel Tormé

2曲目は『そりすべり』でお馴染み『Sleigh Ride』。吹奏楽でもクリスマスナンバーの定番として演奏されることが多い。
ただこの曲の生みの親は、ルロイ・アンダーソン。そう、この曲は「クラシック」である。ただ、この曲は後に歌詞がつけられ、ポップスやジャズの世界にも輸入されることになった。特にジャズ界隈ではヴォーカリストにとってクリスマスのスタンダード・ナンバーになった。今回はジャズ・ヴォーカリストの巨匠、Mel Tormé(メル・トーメ)の演奏。
流石と言わんばかりのグルーヴ感である。リズムセクションが作る4ビートのスウィングの上にどっしりと構え、テンポに対して後ろ目に歌うのはスウィングしている証拠、理想的な歌い方である。

ジャズの形式をとっている以上、ジャズ・ヴォーカルにも楽器の演奏同様、「ソロ」のスペースがある。自由に演奏するスペース故、歌詞がない以上ヴォーカリストはするのか。ヴォーカリストは「Doo」や「Dah」など、シラブルを組み合わせ、まるで楽器のようにソロをとる。(動画だと1:40~)
このシラブルの取り方で、歌手それぞれの個性やテクニカルな側面がわかったりもする。歌詞を伝えるだけではない声の力を感じ取れる瞬間である。

女性ヴォーカリストの『Sleigh Ride』も紹介しよう。歌い手はこちらはジャズ・ヴォーカリストの中でも最も有名なシンガーの一人、巨匠、Ella Fitzgeraldの演奏。

こちらの演奏にはソロスペースはないが、ソロがなくても充分に魅力が伝わってくる歌声とグルーヴ感である。思わず本当に踊り出してしまいそうな絶妙なスウィング、最高にかっこいい。


3.『The Chistmas Song』/Take6

3曲目はアカペラグループの中でも最も有名なグループの一つと言っても過言ではない、Take6の演奏から。
クリスマスの曲で構成されたこのアルバムはどの曲もクリスマスにぴったり。
中でもこの『The Christmas Song』を選んだのは、一番ラストのハーモニーの素晴らしさからである。
最後の10個のハーモニーがシビれる。別に特殊なハーモニーである訳ではないのだが、ここまで気持ちよくハマるとスカッとする。管楽器の演奏でもこんな気持ちよくハマってみたいものである。

4.『A Very Swingin' Basie Christmas!』/Count Basie Orchestra

最後は「これを聴け」らしくジャズで締めよう。
「これを聴け」の#1で紹介したCount Basie Orchestraからの1枚。
結成80周年を記念して2015年に発売されたクリスマス・アルバム。
さすがBasie Band、スウィングのノリとサウンドのゴージャスさは80年間しっかり受け継がれている。どの曲を聴いていても、スウィングの演奏とビッグバンドの素晴らしさが伝わってくる1枚である。
3曲目と6曲目はゲストにヴォーカリストを招いての演奏。ヴォーカルとバンドのアンサンブルでより華やかさが出ている。
8曲目は『そりすべり』。トロンボーンとバリトンサックスでメロディをはじめ、サックスセクションに引き継ぐ流れがおしゃれでカッコいい。歌ものとはまた違う、ビッグバンドならではのアレンジも楽しんで頂ければと思う。

5.おわりに

今回は「クリスマス×Jazz」と題して、クリスマスシーンにぴったりな曲を紹介してきた。これを読んで下さっている貴方の一日に何かしらプラスになれば幸いである。

最後に、ジャズとは関係ないが、どうしてもシェアしておきたかった1曲でこの記事の終わりとしたい。
今年のクリスマスだからこそ改めて聴きたい1曲である。特に私からは何も語らない。是非腰を据えて真正面から向き合って聴いてもらいたい。

Merry Chiristmas!!

(文:もっちー)

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