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短冊の願い事、一球入魂おねがいね。

七夕だ。大人にこその短冊だ。

夫の眼鏡屋のすぐそばに、こはぜ珈琲という喫茶店がある。毎年7月、入り口あたりに笹をさして、折り紙で作った短冊を配るのだ。

短冊はいくら密になっても問題ない。2020年の夏も構わず楽しめるイベントである。今日、私は美容院帰りにここに寄るのを楽しみに、下北沢に来た。

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願い事はたくさんある。

借金がそりゃあなくなれば素晴らしいし、本も今年のうちにまた出せたらいいなぁとも思うし、劇場や映画館やライブハウスを助けてほしい。

「たくさんあった方が盛り上がるから」と、いつもはこはぜ珈琲の店長に甘やかされて5枚くらい書くのだが、今年は決めている。一球入魂だ。

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健康体でも、得体の知れない肺炎にビクビク暮らす今。友人が病気を患った。しんどいのに都心に働きにも出ている。

お金が空から降ってこない限り、人は働くしかないんだろうか。

私がめちゃくちゃ売れていて、めちゃくちゃ印税をもらっていて、アシスタントが必要な程の仕事があれば、余計なお世話極まりないが彼女にお願いできるのに。在宅でできるから。

何度でも思う。お金が降ってこない限り、人は働くしかないの?

お金は大事で、そして不便な物だね。私はお金が好きじゃない。

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今年は一球入魂だ。彼女の体の復活を願うよ。

眼鏡を買いに店に入ってきたあの時から、もう7年くらいたつ。スーパーの帰りにも、1度しかやらなかったクリスマス会にも、私のサイン会にも、トークイベントにも、「来たでー」と現れた。

今日も、私が下北沢にいると聞きつけて、お店まで来てくれた。彼女はいつも明るい。

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こはぜ珈琲の短冊は、うちの眼鏡屋に集まる友人たちの願い事で密だった。彼女の元気を願う短冊が、私以外にも、いくつもギュッとくくりつけてある。

みんな、あの明るさに助けられているのだ。

そういう生き方をしている彼女を、ずっと前から、とてもすごいと思ってる。

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