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アーティゾン美術館(3/31まで)でピカソをみてきました。

リニューアルされて、フロアも増え、天井も高くなり、吹き抜けなんかもでき、展示間隔も広がり、かなり開放感がでました。

今開催されている開館記念展「見えてくる光景 コレクションの現在地」も200点以上の作品が展示され、どうまとめようかと思いましたが、ピカソの作品が目についたので7点に絞って感想をつらつらと。

《道化師》1905年(24歳時)

バラ色の時代と言われるこの時は、当時ピカソが頻繁に通っていたとされるメドラノ・サーカスのモチーフが多く使われています。ピカソは大きく分けるとうまい絵(万人向けされる)と独自の絵と分けることができるのですが、この時はまだ前者で、このブロンズ像もオーソドックスに製作されてます。

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《ブルゴーニュのマール瓶、グラス、新聞紙》1913(32歳時)

そしてキュビスム。これはいいキュビスムだと思います。色々な素材を使ったコラージュで、使われている砂の素材感がいいです。おしゃれですね。もしバーやってたら、これ間違いなく飾ってます。

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《生木と枯木のある風景》1919(38歳時)

時代的にはキュビズムから新古典主義に入ってきました。え、これピカソ?っていう地味な感じの絵ですね。ピカソの絵には常に人物が入っている気がするので、タイトルにある左側の木に妙に立体感を表現しているところが、人物の比喩なのかなって思ったりもしました。

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《腕を組んですわるサルタンバンク》1923(42歳時)

ブリヂストン美術館時代からの顔とも言えるお馴染みの作品。時代的には引き続き新古典主義。タイトルの「サルタンバンク」とは大道芸をしながら旅をしている人たちのこと。バックステージ的な一息ついているワンショットでしょうか。バラの時代からもこういう芸人はお気に入りのモチーフで、自分と同じ職人というのも親近感があったのかもしれないです。

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《女の顔》1923(42歳時)

こちらも新古典主義。この系統の方が、古代ギリシャをモチーフにしてるところが新古典主義の作品としてしっくり来ます。表現が少し彫刻っぽいなって気がしました。

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《少女に導かれる盲目のミノタウロス II》1934(53歳時)

恋人の時代でいうとマリー・テレーズ。なんとなく気が強そうな正妻オルガと比べると、当時17歳だったマリーは純心な天使に見えたのかもしれません。そんな思いで見てみると、ピカソ自身をミノタウルスと見たて、逃げる女性と見守る女性。意味深な一枚です。

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《画家とモデル》1963年(82歳時)

晩年の作品です。全く写実的ではないものの、デフォルメされながらも、しっかり構図は決まっていて、色彩も絶妙です。この色彩を超えられるのはマティスかノルデくらいでしょうかね。

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まとめ

写実的なところから始まって、写実的なところを置き去りにして、だんだんメッセージ性が強くなっていった画風。芸術家=表現者とするならば、ピカソは表現者として評価しないといけない画家であることは間違いないかなと再確認しました。

皆さまのお気持ちは、チケット代、図録代とさせていただきます。