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【過去ログ2019】松方コレクション展@西美にいってきました。

松方コレクション展ってそれって常設展じゃんって思いながら足を運びました。本展覧会の経緯としては、船舶でひと財産築き、ヨーロッパで爆買いし、一時は1万点以上あった松方コレクションも不況の煽りを受け散逸したり、火災で消失したり、また敵国のモノということで接収されたり、それでもなんとかフランスから返してもらえた375点が現在の松方コレクションの元を成していて、今回はその元・松方コレクションの一部と現・松方コレクションが全150点余りの作品が並ぶ展覧会でした。

初めの部屋

オープニングのモネの《睡蓮》に迎えられて、いきなり階下に移動しますが、ヨーロッパの美術館の雰囲気を出しているのか、ところ狭しと作品が隙間なく展示されています。ウオーっすげーって少し思いました。結局この部屋だけだったんですけどね。ヨーロッパの美術館がそうだったりするように、上段の絵が光っちゃって少し見難かったです。

この部屋で気になったのは、ヨゼフ・イスラエルスの《ホワイト夫人》(株式会社三井住友銀行所蔵)。「ハーグ派」を代表するオランダの画家のイスラエルス。たまにいろんな展覧会で見る彼ですけど、老女を描いたことこの作品は、少しホイッスラーにも似てる感じで、この作品はよかったです。

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レオン・オーギュスタン・レルミットの《牧草を刈る人々》(国立西洋美術館所蔵)もいいです。国立西洋美術館所蔵の割には、あまり記憶になかったです。修復後の展示だそうですが、写実的なこの大きな作品は見応えがありました。

この部屋には、他にもジョン・シンガー・サージェント、フレデリック・レイトン、ウォルター・リチャード・シッカート、ジェイムズ・マクニール・ホイッスラー(全て国立西洋美術館所蔵)の作品もありましたが、習作が主であまり刺さる作品はなかったです。

次の部屋

次の章では、初期の松方コレクションのアドバイザーも務めたフランク・ブラングィンの《救助船》(国立西洋美術館所蔵)もありました。でも1枚選ぶなら、チャールズ・ネイピアー・ヘミーの《水雷艇夜戦の図》(記念艦「三笠」、横須賀所蔵)の方。より臨場感あります。暗めの画面に月夜に映った海面と煙突から火が出てる描写が心憎いです。記念艦「三笠」、横須賀所蔵ということで、船の中に飾ってあるんですかね。筋金入りの海洋画です。

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このあとは彫刻です。やはり西美と言えば筋骨隆々のロダンって感じですよね。ブールデルの作品もありましたけど、違いは一目瞭然ですね。そのあとで常設にもよりましたが、入った直後のロダンスペースはスカスカでした(笑

北方への旅の章

北方への旅の章北方への旅の章でのアルノルト・ベックリンの《眠れるニンフとふたりのファウヌス》(ゴッホ美術館所蔵)。何気においてあるからびっくりして、思わずスマホで調べちゃいましたけど、死の島で有名なあのベックリンでした。作品も象徴派主義っぽい綺麗な絵です。怖い絵に出ててもよかった少し怖い絵ではあります。《死の島》の肉筆はいつかは見てみたいです。

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最後の部屋

《アングルの男の頭部(《ホメロス礼讃》のための習作)》(ポーラ美術館所蔵)もよかったですね。裸婦ではなく、顎髭を生やした男性の横顔です。アングルの習作って嫌いじゃないんですよね。西美でのアングルの作品は珍しくて、所蔵検索でも素描が1点ひっかるのみでした。

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ちなみにルーヴルの《ホメロス礼讃》はこちら。

まとめ

いつも見れる現・松方コレクションより、世界に散らばってしまった元・松方コレクションの方が見応えはありました。散逸していなかったら、さらに充実したコレクションになっていただろうと思うと残念です。



皆さまのお気持ちは、チケット代、図録代とさせていただきます。